Gareth Dickson "Quite a Way Away"

Artist: Gareth Dickson
Album: "Quite a Way Away"
Label: 12K
Year: 2012
Tracklist
01. Adrenaline (4:10)
02. Noon (4:38)
03. Get Together (7:15)
04. Quite a Way Away (2:47)
05. This is the Kiss (6:59)
06. Happy Easters (5:56)
07. Nunca James (4:02)
08. Jonah (7:39)
トラッド・フォークのヴァシュティ・バニヤンや、アルゼンチン音響派として注目を集めたファナ・モリーナなどのツアー・バンドの一員としても活躍する、ギャレス・ディクソンの2ndが、12Kからリリースされました。
12Kというレーベルのカラーを考えると、この人選は非常に興味深いものがあります。
なぜなら、ギャレスはシンガー・ソング・ライターであり、そしてこの作品は、根本的にシンガー・ソング・ライターの作品なのですから。今までストイックに電子音響系の作品をリリースしてきた12Kを思えば意外に意外過ぎます。
では、これがレーベルカラーと真っ向から対立する作品かというとそんなことはなく、むしろ「今の12K」だからこそリリースできた作品とも言えると思うのです。
彼のギターと声を聴く人がまず思い浮かべるのはニック・ドレイクではないかと思います。
爪弾かれるナイーブなギターと、物憂げなバリトン・ヴォイス。
特に声はニック・ドレイクそっくりで、彼の新作と言われても信じてしまいそうなほどです。
楽曲はその二つの要素のみで構成され、淡々と進んでいきます。
そして、この作品ではその二種の音の、「響き」に強くフォーカスがあてられています。
爪弾かれるギターの残響は波紋のように交じり合い、魅力的なバリトン・ヴォイスの響きと融け合うことで、サイケデリックな陶酔感/浮遊感を強めていきます。
そして、印象的なフックを排した、淡々と進行する歌のメロディーはそういったサイケデリアを強く維持させます。
つまり、音響的な側面でギターと声、すなわちフォーク・ミュージックというものを捉え直し、再構築したのがこの作品なのです。
思えば2009年あたりから12Kのリリースには生楽器と(電子)音響との見事な融合(単純にエレクトロ・アコースティックというわけではなく)が印象的な作品が多くリリースされており、特に昨年末からの方向性というのはそういった側面を強く持っていたようにも思います。もしかすると、こういった作品のリリースがまだまだあるのかもしれません。
今から楽しみです。
![]() | Quite a Way Away (2012/02/21) Gareth Dickson 商品詳細を見る |
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