The Most 10 Discs of 2011

さて、年末よりやってきました2011年の新譜・再発モノの紹介に続き、それらの締めくくりとして新譜旧譜関係なく、個人的な「2011年の10枚」を選んでみたいと思います。
最初はLast.fmで最も再生回数の多いものを…と考えたのですが、車の中で単曲で再生した回数が多いものなども含み正確ではないことと、またそのように機械的に選んでも面白くないかな、ということで再生回数は関係なく「私の心に強烈な印象を残したもの」ということで選んでみました。

まぁ、実際問題10枚では到底足りないのですが、それでもなんとか考えに考えて絞っております。…とかいいつつ最後に次点もいくつか紹介しちゃうんですが(笑)

それでは、主たる10枚はジャケ写と収録曲の動画とでお送りします。
ちなみに、選盤テーマの性格上順位付けはいたしませんのでご了承ください。


"Voodoo/D'Angelo"(2000)

「私の2011年=このアルバム」といっても全く過言ではありません。
スライの"暴動"を現代的にアップデートしたような密室性と、まるでマーヴィン・ゲイのようなスピリチュアルな美しさが混在するカオス。それが今の私に表現できる精一杯なのですが、ここまで陰鬱で、しなやかで、深く、美しく、そして力強い作品というのは本当にないのではないかと思います。
昨年の「完成間近」の報から早一年、今月末には久々のツアーを行い、そしてリリースされると噂の3rd"James River"が今から楽しみで楽しみで仕方ありません。
本当に、音楽界最高の作品の一つだと確信しています。



"S.T./The Smiths"(1984)

スミスの作品がリマスター、という報は本当に待ちに待ったものでした。
なんといっても2009年に発表されたリマスター・ベストやシングルBOXなども手に入れ、その音の良さと、そこから立ち現れるスミスの魅力に再度虜にさせられていたものですので。
全キャリア通して愛しいスミスの作品ではありますが、私は特に初期、すなわち1stであるこの作品と編集盤"Hatful of Hollow"を偏愛しております。
この二作はリマスターの効果も高く、初期の全方位に毒を吐く、破滅/自滅型人間モリッシーの魅力が、ついに完全な形で提示されたのではないか、とすら言いたくなります。「ギリギリの美しさ」こそがスミス(モリッシー&マー)そのものだと、この二作を聴けばはっきり分かるでしょう。
個人的ベストの"Hatful of Hollow"も良かったですが、リマスターにより得た輝きは1stの方が高かったように感じたので、ここにランクインです。



"Fillmore East, June 1971/Fank Zappa & The Mothers of Invention"(1971)

熱病にうなされたように聴きこんだのは昔の話。
少しだけそんな風に思っていたフランク・ザッパ。しかし、改めて聴き返す内に、当時の自分が如何に彼の音楽を「聞いた」だけで「聴いて」いなかったかを思い知りました。
改めて、いろいろな作品を聴き返しましたが、今回は特にタートル・マザーズ期の音が自分にしっくりきた気がします。
凄腕ヴォーカリスト、フロー&エディーを従えた無敵のコミック・バンド。コント主体でありつつもところどころに挿入される名曲・名演奏。そして無敵のバックにより輝きを得るコント。ぐいぐいと聴き手を引っ張るカオス。
ザッパ、あんたはやっぱり凄かった!



"Things Fall Apart/The Roots"(1999)

"Voodoo/D'Angelo"があまりにシームレスにR&B/ソウルとHIPHOPをつなげたものであったため、遂に私もHIPHOPの世界に完全な形で入門することになりました。OutkastやCommon、ATCQなどといった名グループの音を貪るように聴きましたが、やはり一番心に残ったのはThe Roots。
「HIPHOPバンド」という特異なスタンスを貫き通している彼らのキャリアのなかでも、とびきりの傑作だと思います。
ジャジーなHIPHOPを生演奏で聴かせる、というスタンスから一歩踏み出し、HIPHOPを芸術の域まで押し上げた作品の一つと言っても決して言い過ぎではないんじゃないでしょうか。ダウナーで、まるで空気のように染み入るグルーヴがたまらない作品です。



"S.T./James Blake"(2011)

新譜でもベスト1に選びましたが、やはり「昨年の顔」だと思います。
一昨年の'CMYK'から予想できそうで全くできなかった転身。ファイストのカヴァー'Limit to Your Love'に驚き、'The Wilhelm Scream'で腰を抜かしました。いや本当に。
ダブ的な音響をまさかここまでズブズブと、自分の内に沈み込むような形で使用するとは、恐れ入りました。
美しいピアノと、ヴォコーダーによる歪さと生のソウルフルさを兼ね備えた歌声、そしてこのダブ音響により彼は唯一無二の世界を築いたのです。
それだけに、EP"Enough Thunder"でのヴォーカル方向へのシフトには危機感を覚えます。頼むから、ただのピアノ弾きのあんちゃんになりませんように…



"Samba '68/Marcos Valle"(1968)

思えば昨年はあまりジャズやフォークを聴かなかったような気がします。
でも、ボサノヴァは折に触れよく聴いていました。私はボッサに関してはわりと「ジョアン・ジルベルト原理主義」なところがあり、60年代後半以降のボッサはあまり…と思っていたのですが、ここでもグルーヴの強い黒人音楽にのめり込んだことが影響したのか、今まで聞こえていなかった部分を感知できるようになったと思います。
それは勿論、ボッサの裏に密かに、しかし確かに存在する「サンバのグルーヴ」なのです。
このマルコス・ヴァーリの名作は、それをとても上品に表出させることに成功しています。熱狂と上品さ、そしてサウダーヂ(ブラジル独特の郷愁感覚)。これらが混ざり合って、例えようもなく「クールな」雰囲気が醸成されています。
そして私はコレを足がかりにジルベルト・ジルやトン・ゼー、ムタンチスなどのMPBモノにしっかりと眼を向けることができたのです。本当に感謝!



"カメラ=万年筆/Moonriders"(1980)

ライダースは"青空百景"から"Don't Trust Over Thirty"までの、黄金期をよく聴いていましたが、昨年の春に再発されたコレを聴き驚きました。
ここまで向こう見ずで、青臭い時代がライダースにあったなんて!
勿論、ライダースはどこまでも青臭いバンドなのは事実です。その「青臭さ」を客観視できていて、ニヒルに構えているという前提が存在している(まぁ、そのニヒルなふりすら客観視してますが…)のが黄金期ライダースの魅力だったのですが、この時期の彼らには全くそれがない。
ダブという新たな音の魅力に飛びつき、それをどうにかものにしようともがく姿が新鮮であり、そして黄金期の特徴とも言えるシンセ/キーボードサウンドが抑えめで、ギター・ベース・ドラムのシンプルなバンドサウンドが骨格となっているのもまた新鮮でありました。
しかし、ヌーヴェル・ヴァーグ期の映画のタイトルをそのまま拝借した曲タイトルに今にも続くライダースを感じたりもして、非常に面白かったです。
無期限活動休止とのことですが、いつまでも帰りを待ってます。だから、死なないでね(笑)



"Superfly/Curtis Mayfield"(1972)

何度も言いますが、"Voodoo/D'Angelo"は本当に私の興味を色々な方向に拡散させてくれました。
勿論、ブラック・ミュージックはそれまでも好きではありましたが、"Voodoo"を理解したことでそれが次のレヴェルに進んだと言いますか、とにかくそのような感じです。
そしてそのことは、すでに聴いていたブラック・ミュージックの印象すら一気に変化させたといっても過言ではありません。
カーティス・メイフィールドも"Voodoo"後に見方(聴き方?)の変化したミュージシャンの一人でした。
美しいオーケストレーションに彩られながら、その実芯に据えられているのはしなやかで力強いファンクビート。上品な雰囲気と、野蛮とも言える力強さが非常に上手く昇華されて、アーバンで危険な匂いのする作品に仕上がったこの作品は、70sニュー・ソウルの魅力を実に雄弁に語っていると思うのです。



"Flying Teapot/Gong"(1973)

プログレも、改めて聴き直したジャンルの一つです。そのとっかかりになったのは、サイケから飛んだゴングでした。
初期のソフト・マシーンにも所属していたギタリスト、デヴィッド・アレンの率いるサイケデリック・ジャズ・ロックバンドというのが正確なところでしょうが、とにもかくにも、その宇宙的でトンデモな世界観に魅せられてしまいました。
プログレの特徴の一つである変拍子は見られませんが、ずんずんと音を積み立てて爆発させるカタルシスやひねくれた展開にはやはり「らしさ」があります。これもまた忘我の音楽。…私、昨年忘我しっぱなしだったような…(笑)



"S.T./장기하와 얼굴들(チャンギハワ オルグルドゥル/チャン・ギハと顔たち)"(2011)

巷ではK-POP(笑、いや苦笑)がチャートを賑わせていたようですが、彼ら「チャン・ギハと顔たち」はそんな波にも乗らず(乗れず?)、ひっそりと名作をドロップしてくれました。
そもそも彼らを知ったのも今年なのですが、ちょうど2ndのこれが発売ということで非常にタイムリーであったのは間違いありません。
1stではサヌリムやシン・ジュンヒュンといった60s/70sの韓国ロック/フォークの泥臭さを色濃く匂わせていた彼らでしたが、そこに加えて彼らのもう一つの影響元である80sポスト・パンク/ニューウェーヴが見事に絡んできた印象です。(「顔たち」というバンドネームもそもそもTalking Headsにあやかったもの、とのこと)
洗練されているような、泥臭いような、新鮮なような古めかしいような、そんな微妙な道を綱渡りのように、いや、迷いなく突き進んでいるような爽快感があったのは事実です。フロントマン、チャン・ギハのアジテーションの上手さにはちょっとストーンズなんかも想起しちゃいます。語りっぽいヴォーカルはディランかな(笑)
韓国に対する偏見は捨てて、一度聴いてみていただければと思います。K-POPは全く価値ないですけど(笑)




以上、いかがでしたでしょうか。
新譜の選択はあいも変わらず音響系に偏ってはいますが、実際としてはロックやブラック・ミュージックに立ち戻り、その新たな領域に進んだ一年、と言えるかもしれません。
しかしここに至るにはやはり一昨年の音響やノイズに浸った時期がなくてはならなかったとも思っています。音の重ね方、構築/レイヤーの仕方、そして音響そのものを聴取する感覚、というのは間違いなくその辺りで培われたと思うので。

なんにせよ、2011年は知っているものを更に深く知れたという点で、非常に充実した一年でした。
現在はまたノイズ/インダストリアル系が気になり始めていますが、今年はどうなるでしょうか。今から楽しみです。

さて、あとは次点をいくつかならべて締めるとしましょうか。
Pygmalion/Slowdive
浅川マキの世界/浅川マキ
O Pirulito Da Ciencia/Tom Ze
Sons of Soul/Tony! Toni! Tone!
Nature Unveiled/Current 93
Lantern Parade [2nd]/Lantern Parade
Explorations/Bill Evans Trio
S.T./For Carnation
D.o.A. The Third and Final Report of Throbbing Gristle/Throbbing Gristle
S.T./Solo Andata
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