Seun Kuti & Egypt '80 "From Africa with Fury: Rise"

Artist: Seun Kuti & Egypt '80
Album: "From Africa with Fury: Rise"
Label: Knitting Factory Records
Year: 2011
Tracklist
01. African Soldier (5:16)
02. You Can Run (5:37)
03. Mr. Big Thief (7:38)
04. Rise (7:05)
05. Slave Masters (7:45)
06. For Them Eye (6:56)
07. The Good Leaf (6:12)
久々の新譜レビューです。
ナイジェリアの「戦うミュージシャン」故フェラ・クティの息子シェウン・クティの新作がリリースされました。
父親がそのキャリアの後期に従えていたバンドEgypt '80を引き連れての録音です。ほんとはフェラ・クティの作品を先にレビューすべきなんでしょうがあまりに素晴らしかったもので…
ジャンルとしてはいわゆるアフロビートというものになります。ナイジェリアのジャズ「ハイライフ」を下敷きにして、フェラ・クティがアメリカ留学中にジェームス・ブラウンなどから影響を受けて作り上げた音楽のようです。
フェラ・クティの作品(特に70年代)にも言えることですが、大所帯のバンドがそれぞれの楽器をポリリズミックに鳴らすその様は異様の一言。そこかしこでリズム/ビートが勃発し、絡まり、巨大なグルーヴを作り出していく過程に、初めて聴く人は衝撃を受けずにはいられないと思います。
フェラ・クティの作品は一曲が10分~30分という長さのものが殆どでしたが、シェウンの楽曲は5~7分とかなりコンパクトにまとまっています。うねるグルーヴの快楽、ということで楽曲の短さに不安を覚える方もいるかもしれませんが、まったくそんなことはありません。タイトで熱気のこもった演奏は聴き手の時間感覚を圧縮し、時間の短さなど全く感じさせません。
「タイト」と書きましたが、実を言うとこのEgypt '80、私としてはどちらかというとゆるいバンドというイメージが強かったのです。フェラ・クティは後期に向かうにつれ初期の荒々しい作風からゆったりとした、円熟味のある演奏に変わっていきましたので、当然その後期を支えたEgypt '80にも同様の印象を持っていました。
しかし、ここで見られるEgypt '80はまるで別のバンドです。どちらかというとフェラ・クティが70年代に率いたAfrica '70に近いものがあります。完全に認識を覆されました。いたるところでビシバシ決まるビート感覚が非常に心地よい。
父親にそっくりのシェウンのヴォーカルも非常に良いです。
かなり真面目に父親のスタイルを踏襲しているようですが、リズム重視で言葉を載せていくなどHIPHOPなどとの類似点が気になるのはやはり我々リスナーがそこを通過したからなのでしょう。アフリカには70年代からHIPHOPが!…は言いすぎでしょうか(笑)
ちなみに、今回プロデューサーの一人にかのブライアン・イーノが名を連ねております。イーノ+アフロといえばTalking Headsを思い出しますが、今回もヘッズと同様、引き際を心得た上手いプロデュースです(もちろん他の二人の色もあるのでイーノだけの功績とも言えませんが…)。
こりゃあ年末ベスト5間違いなしですね、個人的に。
![]() | From Africa With Fury: Rise (2011/06/21) Seun Kuti 商品詳細を見る |
スポンサーサイト