Shackleton with Ernesto Tomasini "Devotional Songs"

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Artist: Shackleton with Ernesto Tomasini
Album: "Devotional Songs"
Label: Honest Jon's
Year: 2016

Tracklist
01. Rinse out All Contaminants (7:38)
02. You are the One (13:06)
03. Tweleve Shared Addictions (12:27)
04. Father, You Have Left Me (10:17)


UKのベース・ミュージックが、現代UKのブルーズであるとするならば、Shackletonはそこから一定の距離をおいて自身の音楽をストイックに追求してきたといえるでしょう。
実際、蠢く低音とシンバルを融解させるリヴァーブの中でヴォイス・サンプルを細切れにし、狂気的にねじらせて都市生活者の苦悩を表現するベースミュージックのマナーから外れ、トライバルで有機的なビートと呪術的なドローン、そして呪文のようにつぶやかれるヴォイスにより忘我的あるいは祝祭的(ダークではありますが)な雰囲気すら漂わせるような独特のアプローチを彼は常に見せてきたと思います。

今作でShackletonは、イタリアの前衛歌手/俳優のエルネスト・トマシーニをメイン・ヴォーカルに迎えたうえ、さらにアルバムタイトルに"Devotional Songs"(「祈祷の歌」?)と冠して、見事な歌曲を作り上げています。
今まで彼の作品で聴かれた、(そして彼をかろうじてベースミュージックの範疇に関連付けていた)低周波のように蠢くベースは今作では聴かれません。

その代わりにここで前景化しているのは民族風のトライバルなビートや、ラファエル・マインハートによるマリンバ/ヴィブラフォン、日本人演奏家のモトカワタクミ(漢字が分かりません)によるアコーディオン/キーボード、そしてShackleton自身による近未来的な感触を匂わせる電子音です。
メンバーを見るとかなり生演奏の占める部分が大きいように思いますが、サウンドの方でも、もはやベース・ミュージックというよりもニューエイジと言った方が適当にすら思える「軽妙さ」と「心地よさ」がアルバム全体に横溢しています。

ただ、これが急激な方向転換かというとそうではなく、これらの音は今までもさりげない形で、しかしながら大胆に用いられてきていたと思うのです。
特にHonest Jon'sから2012年に発表されたダブルアルバムの内の1枚"The Drawbar Organ EPs"などにはすでに今作に向かうような空気が感じられます。

トマシーニはまるで司祭のように振る舞いながら時に呟き(冒頭などCurrent93のデヴィッド・チベットのよう!)、朗々と歌いますが、アルバムや楽曲のタイトルから感じる神々しい雰囲気はあまり感じられず、Shackletonとメンバーの生み出すサウンドも相まって、民族的な儀式のような妖しげな雰囲気と、レトロフューチャリスティックなSF感との間をふらふらと行き来するような浮遊感を感じさせます。

そもそも、冒頭でも述べたように彼の音楽は元々忘我的かつ祝祭的で、一種のサイケデリックな感覚を常にまとっていました。
今作を「サイケデリック」と表現するのはちょっと違うような気がしますが、今までの彼と同様に忘我的な作品に仕上がっているのは間違いありません。
そしてそれは、彼の求めているものがベース・ミュージックのブルーズとは明らかに違うことの証明に他なりません。
今回彼は、生演奏を大々的に導入し、さらにヴォーカリストまで加えることでそのことをはっきりさせ、今や彼の音楽がベース・ミュージックの範疇のみで語られるべきでないことを改めて示したのかもしれません。

今作が、単なる一過性の試みとなるか、それともここをステップとしてより孤高の音楽を形成していくのかは彼のこれからの活動を待つしかありませんが、その時にこの一風変わった雰囲気をまとった作品がどう捉えられるのか、今から楽しみな気がします。


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