Lourenço Rebetez "O Corpo de Dentro"

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Artist: Lourenço Rebetez
Album: "O Corpo de Dentro"
Label: Tratore
Year: 2016

Tracklist
01. Abertura (O Avesso das Coisas) (2:39)
02. Ozu (7:12)
03. O Mais Profundo É A Pele (5:51)
04. Interlúdio 1 (Opanijé) (2:16)
05. Ímã (5:20)
06. Pontieva (6:35)
07. Birjand (5:23)
08. Interlúdio 2 (Supernova) (1:54)
09. Punjab (6:19)
10. Sombrero (6:11)


オリンピック効果でしょうか?
今年はアルゼンチン~ブラジルあたりで素晴らしい作品がどんどん生まれてきているように思います。
先日紹介したNadisナターシャ・レレーナに引き続いて今回ご紹介するのはブラジルのジャズ・ギタリスト ローレンソ・ヘベッチスの(多分)デビュー作"O Corpo de Dentro"(『内なる体』?)です。

ブラジル音楽において、サンバの(あるいはバイーアの)リズムはそのアイデンティティといえるほどに重要なものです。
ボサ・ノヴァの法王ジョアン・ジルベルトが、ボサ・ノヴァのためのギター奏法であるバチーダを開発するにあたってサンバのリズム面を強調するような、叩くような爪弾き方を採用したうえで、サンバ・リズムをデフォルメしてその核の部分だけを抜き出したことからも分かる通り、サンバ(ブラジル音楽)をサンバたらしめるのは、なによりもその特徴的なリズムであるのは間違いありません。

今作においてヘベッチスは、ギタリストというよりはむしろコンポーザー/アレンジャーとして、その若き才能を発揮しています。
ブラジリアンジャズのサウダーヂに溢れたメロディ/ハーモニーに対し、現代ジャズ的な非常に複雑な変拍子/クロスリズムを掛けあわせて、ややもすればグロテスクでインダストリアルな質感すら孕む、今までにない音楽を作り上げました。

美しい呟きのようなピアノの導入から、本作の異形さは即座に理解されるでしょう。
ブラスの奏でるメロウなメインテーマの裏では、ドラマー/パーカッショニストがリズムを極度に細分化し、物凄い手数でリズムを積み上げていきますが、その実形成されているのはゆったりとして重心の低い、瞑想的な雰囲気のグルーヴです。
このヴィトール・カブラル(Vitor Cabral)というドラマーからはクリス・デイヴやマーク・コレンバーグなど、現代ジャズを代表するドラマーのプレイに似通ったものを感じますが、それと同時に、ここにはアフロ・コンシャスなリズム感覚も現れています。

先述の通り、ブラジル音楽の根底にはアフロ・リズムが根をおろしていますので、こうなるのも当然といえば当然なのですが、不思議なことに、私は今作の細分化された、ややもすればサイケデリックな質感も匂わせるリズムを聴いていると、セネガルのビート・ユニットJeri-Jeriが思い浮かぶのです。
ドラマー/パーカッショニスト、そして時にはデジタル・リズムも交えてポリリズミックに形成されていくグルーヴは、セネガルのンバラにも通底する、複雑さと陶酔感があるように思えます。

そういった刺激的なリズムに加え、楽曲によって参加人数は様々ですがおおよそ6~12人というラージアンサンブル一歩手前の編成により、メロディやハーモニー面でも厚みのある充実した演奏を聴かせる本作は、ジャズ・ギタリストのデビュー作というよりはむしろ新たな才能あふれる作曲家のデビュー作と捉えた方が良いのではないかと感じます。
プロデューサーを務めたアート・リンゼイ(!)は、演奏に参加せずプロデュースに専念しているようですが、恐らくこの非常に現代的で新鮮なリズム・アレンジなどは彼の肝いりによるところも大きいのではないかと思います。

ブラジル音楽そのものはもちろん、ラージ・アンサンブルや現代ジャズ、あるいはアフロ・ミュージックなど、様々な方面に影響を及ぼしそうな力作で、ヘベッチスのこれからの活動が楽しみですね。


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