David Lang & Los Angeles Master Chorale "the national anthems"

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Artist: David Lang & Los Angeles Master Chorale
Album: "the national anthems"
Label: Cantaloupe Music
Year: 2016

Tracklist
01-05. the national anthems
01. our land with peace (5:24)
02. our hearts are growing (2:30)
03. fame and glory (5:41)
04. keep us free (4:37)
05. our common fate (4:53)
06-20. the little match girl passion
06. come, daughter (3:24)
07. it was terribly cold (3:06)
08. dearest heart (0:54)
09. in an old apron (1:17)
10. penance and remorse (1:37)
11. lights were shining (1:33)
12. patience, patience! (0:31)
13. ah! perhaps (2:03)
14. have mercy, my God (4:30)
15. she lighted another match (1:23)
16. from the sixth hour (2:26)
17. she again rubbed a amatch (1:39)
18. when it is time for me to go (2:43)
19. in the dawn of morning (2:42)
20. we sit and cry (3:30)


Bang on a Canの設立者の1人であり、現音楽ディレクターのデヴィッド・ラングによる新作は、2014年に初演された'the national anthems'(『様々な国歌』)と、2008年にピューリッツァー賞を受賞した'the little match girl passion'(『マッチ売りの少女の受難』)の、LAのコーラスLos Angeles Master Choraleと弦楽四重奏のCalder Quartetによる録音です。

以前、マサチューセッツの男女混声合唱団Roomful of Teethがメインを務めた"The Chorolado"を紹介させていただきましたが、今作はレーベルこそCantalopue Musicという、インディークラシック付近のレーベルではあるものの、1964年設立の由緒正しい大合唱団L.A.マスター・コラール(現メンバーはなんと120名とか)による演奏であったり、あるいはその音楽の様式などからするといわゆる王道の(?)クラシックと見做したほうが適当な気もします。
唯一、現代の作曲家による楽曲という部分が現代的といえるのでしょうか?

さて、本作収録の2曲は、どちらも30分前後の大作となっております。
'the national anthems'は世界の国歌を蒐集し、その構想やフレーズを引用することで作り上げられた楽曲で、対する'the little match girl passion'はその題目の通りアンデルセンの『マッチ売りの少女』を題材に、バッハの『マタイ受難曲』からインスパイアを受けた楽曲であるとのことです。
時代の違うもの(複数の国歌やバッハとアンデルセン)を掛け合わせるとういうその作曲手法こそサンプリング的(=現代的)ではありますが、実際に出来上がった楽曲そのものは非常にクールかつスピリチュアルで、まとまりのあるものであるように感じます。

そして、L.A.マスター・コラールは"The Chorolado"のRoomful of Teethのように熱狂的なパフォーマンスを聴かせるというよりは、楽曲の構造や狙いに対する深い理解に根ざした、統率のとれた歌を聴かせてくれているように思います。
高音部を力強く響かせるようなシーンも散見できますが、あくまで楽曲の展開上の要請で必要なことを必要な加減で行っているうような雰囲気で、そのようなシーンでも抑制の効いたクールな歌唱を崩すことはありません。

打楽器も入らず、伴奏も弦楽四重奏のみという構成がよりその印象を引き立てることで楽曲は見事な霊性を帯びていきます。
バッハに影響を受けたことがあってか、どちらの楽曲も非常に対位法的なポリフォニーを作り上げていますが、ただバロック風になってしまうことなく、音響的な側面での美しさにも耳が惹かれます。
今作においては、ハーモニーの複雑さが、ポスト・クラシカル的なテクスチュアへの微視的な注目を煽るような部分につながっているのです。

ラング自身、今作のテーマについて、人間同士が慈しみ合うことや意識しあうことというようなことを語っていますが、そのテーマそのものは楽曲の物語性から生まれるのではなく、複数の要素が当然のように混在する、楽曲の在り方そのものによって表現されているのかもしれません。
そして、複数の要素の混在は、楽曲におけるハーモニーの多層化という現象に帰結し、現代(ポスト・クラシカル)的な魅力を生まれさせているようにも思えます。

個人的にはヨハン・ヨハンソンやマックス・リヒターに似た印象を受けながら聴いているのですが、もしかするとこの聴感上の印象はそんなところに起因するのかも、などと思っています。
メロディそのものは非常に美しく、アンビエントや電子音響ものが好きな方にも何か引っかかる部分があるのではないかと思いますので、ぜひ聴いてみてください。


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