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The Avalanches "Wildflower"

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Artist: The Avalanches
Album: "Wildflower"
Label: XL Recordings
Year: 2016

Tracklist
01. The Leaves Were Falling (0:15)
02. Because I'm Me (4:12)
03. Frankie Sinatra (3:44)
04. Subways (3:10)
05. Going Home (2:06)
06. If I Was a Folkstar (4:33)
07. Colours (3:32)
08. Zap! (1:58)
09. The Noisy Eater (3:14)
10. Wildflower (1:14)
11. Harmony (3:48)
12. Live a Lifetime Love (2:30)
13. Park Music (0:54)
14. Livin' Underwater (Is Somethin' Wild) (1:56)
15. The Wozard of Iz (2:59)
16. Over the Turnstiles (0:41)
17. Sunshine (3:37)
18. Light Up (1:34)
19. Kaleidoscopic Lovers (3:55)
20. Stepkids (4:32)
21. Saturday Night Inside Out (5:07)


サンプリング主体で楽曲を構築していく、ということはそのまますなわち、「複数の時代/土地=位相/階層」を一曲の中で同居させるということに違いなく、各階層間のバランス調整には誰が見ても明らかに時間と熱意が必要になる、という点で、そういった楽曲が破綻なくまとまったものであるということはそれだけでも十分に評価に値するものだと思います。
そして、ナチュラルに「複数の位相/階層」が交じり合うということ、そしてそこから生まれる「予期せぬ印象」こそが、自分達で好みのフレーズを演奏すればよいものをわざわざ他人様のレコードからぐっとくるフレーズをとってきて、それに合う別のフレーズを別のレコードからとってきて…なんて途方もない作業に身を投じるミュージシャン達が求めるものなのではないでしょうか。

オーストラリアのサンプリング・ユニットThe Avalanchesが先日16年ぶりに発表した2nd"Wildflower"にはその「複数の位相/階層の交じり合い」が存分に楽しめる作品に仕上がっています。

アルバムでは様々な音源が使用されています。
19世紀生まれのカリプソ・シンガーや華やかなストリングス、幽玄なメロトロン、古ぼけた木管楽器、ドリーミーなエレピ、ぶっといベースラインにブレイクビーツ…挙げ始めればきりがありませんし、よくもここまでの音を集めてきた(そして、楽曲としてまとめあげた)ものです。
しかも、それがただ単に破綻なくまとまっているというだけでなく、アルバム全体で一つの流れや空気を形成するほどに自然に、作品としての強度を備えているのですから、本当に驚かされます。

各音源の年代は当然のごとく様々なようですが、本作では一貫して60年代のサイケデリック・ロックやソフト・ロック的なフラワーな空気、「未来への大きな夢」のようなものを感じさせる希望に満ちた雰囲気に満ちているのです。
短いイントロのあとの'Beacause I'm Me'からして、力強いブラス、クランチの聴いたギターのコードストローク、古ぼけた女声ヴォイス・サンプルなどの要素のどれからもとても祝祭的な雰囲気が明らかに感じられるでしょう。
続く先行曲'Frankie Sinatra'ではカリプソシンガーの歌声のピッチをちょっぴりいじった印象的なフックに、The Beatlesで言えば'Being for the Benefit of Mr. Kite!'にも通じる、悪夢のサーカス的な空気がブレンドされ、最後には古ぼけたサウンド・オブ・ミュージック('My Favorite Things')に変貌して悪夢と現実の狭間をゆらゆらと漂うような地に足の付かない浮遊感を強く感じさせて終わります。(ちなみに、先行公開verではこの後再度悪夢の世界に逆戻り。MVの方もそんな感じの内容ですね)

その他、6曲目ではドリーミーなエレピがとぎれとぎれにループしたり、9曲目'The Noise Eater'ではピッチこそいじられてますが、あからさまにThe Beatles('Come Together')が使用されていたり、19曲目の'Kaleidoscopic Lovers'ではUKサイケポップのような万華鏡風のギターが、13曲目'The Wozard of Iz'や20曲目の'Stepkids'でいかにも60sマナーなヴォーカリゼーション/コーラス・ワークが聴かれます。
ここに挙げたのはあくまでほんの一部分で、アルバム全編を通してフラワーな雰囲気を体現するフレーズ/手法は溢れていますし、そもそもアルバム・ジャケットはスライの"暴動"なんですから、本作を60年代後半~70年代後半に対するトリビュート/オマージュのような作品と捉えることは何も間違ってないと思います。

また、サンプル自体は60年代のものに限ったわけではないのですが、まるで「ラジオの向こう」の音であるかのように錯覚させる薄いノイズが特定のパートや時には楽曲全体にかかったり、音が強烈に奥に引っ込んだり、かと思えば突然クリアでハイファイな質感になったり、という音響操作を行っていることもアルバム全体を白昼夢的な、サイケデリアを感じさせるものに仕上げるのに一役買っています。
この「ラジオの向こう」と「こちら」を行き来するような音響操作は、前作"Since I Left You"でも見られた要素ではありますが、今作ではメインのテーマ(60sサイケデリック)とこの要素の相性がとても良く、アルバム/楽曲の完成度の高さのうえに、さらに風格のようなものを付加しているように思えます。
ブレイクビーツやラップなど、現代的な要素はあれ、あの時代の名作に並べて売られてても不思議ではないサウンドなのです。

16年も空いてからの2枚目ということで期待値もハードルも爆上げの状況だったと思いますが、前作と併せて聴いてみて、どちらかの出来が上、というのは全く思いませんでした。
要はどちらも同レベルで非常によく出来た作品ということで、あとは好みの問題だと思います。
個人的には、前作がリアルタイムでなかったこともあって衝撃が薄いのかもしれないけど、あからさまに60sサイケな本作の方が好みかなぁ、なんて思ったり(笑)


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