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Sarathy Korwar "Day to Day"

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Artist: Sarathy Korwar
Album: "Day to Day"
Label: Ninja Tune
Year: 2016

Tracklist
01. Bhajan (4:43)
02. Bismillah (8:05)
03. Dreaming (4:35)
04. Eyes Closed (3:30)
05. Hail (3:49)
06. Indefinite Leave To Remain (5:49)
07. Karam (5:35)
08. Lost Parade (1:12)
09. Mawra (Transcendence) (4:58)


こんな出会いがあるから音楽を聴くのはやめられない。
US出身のパーカッショニスト サラシィ・コルワー(読み方は自信ないです)がNinja Tuneより発表したデビュー作を聴いてまず思ったのはそういう嬉しい思いでした。

彼は、生まれこそUSですが、両親がヒンドゥスターニー音楽(北インドの古典音楽)の歌手であったことも関係してか、インドのアーメダバードやチェンナイで育ちました。
10歳頃からタブラ演奏などを始めた彼は、当然のこととしてインド音楽にも親しんでいたと思いますが、それと同時にラジオから流れるアーマッド・ジャマルやジョン・コルトレーンの音楽にも魅了されたそうです。

インド音楽とジャズから深く影響を受けた彼にとって、今回題材に選んだシッディ族の音楽はまさにその2者をつなぐミッシングリンクとして最適であったのでしょう。

シッディ族は過去に東アフリカからインドに渡ってきた、インド西部/南部に5万人程度が点在するだけの少数部族です。
彼らの音楽はタブラなどの打楽器を中心として構成され、他のインド音楽と同様に反復性と即興性の強いものであります。
彼は本作の制作にあたり、実際にインド西部グジャラート州ラタンプールを訪れてシッディ族の演奏をフィールドレコーディングし、素材として用いました。

通常、民族音楽を一般的なポピュラー音楽に取り込もうとすると、どうしてもどちらかに引っ張られてしまってバランスの悪いものになることが多いように思います。
そもそも、楽曲がはっきりと展開していく、あるいは「ここがソロでここがテーマで」といった構成がある程度存在する、機能性を求められるポピュラー音楽と、ただ演奏者達の気の向くまま、それこそ気に入れば何分も何時間も同じフレーズを反復することすらある(即興性の強い)民族音楽とはただ混交しただけではうまくいかないのは当然のことでして、その部分に対処するためにはやはり民族音楽に触れられる環境でその音楽/民族の精神に触れながら育っていくことと、西洋音楽理論への理解/応用が必要となってくると思います。
ついでに言うと、それを世界で最初に(英米側の人間以外で)やったのはフェラ・クティということになるのではないか、とも。実際クティはアメリカに留学して学んでますし。

コルワーもその例に漏れず、ロンドンに渡ってタブラ演奏を学ぶ傍で、インド古典音楽のリズム語法をインド外の打楽器演奏に適応させる方法を模索していったとのことです。
そんな経緯から生まれた本作は、シッディ音楽の土着的な霊性/呪術性を帯びた歌声や、トライバルなビートをベースとしながら、そこに西洋の楽器であるエレキギターやサックス、シンセサイザー、ドラムなどの演奏を加える形で制作されたのではないかと予想されますが、それが非常に見事に、西洋的な構築美と民族音楽的な陶酔感とを両立していることにはまず驚かされます。

1曲目からすでに明らかではありますが、冒頭に反復して歌われる、いかにも民族音楽らしいメロディがいつの間にかギターにとって変わられてブレイクを飾るフレーズとして使用されたり、あるいは自然な歌声とガチガチに調律されたサキソフォンのメカニカルな音、さらには電子音であるシンセサイザーの音が当たり前の様に1曲の中で同居し融合している様子などはそういった両立の一例として非常に分かりやすいものであると思いますし、こういった例は本作を聴いている間中そこかしこに散りばめられており、枚挙に暇がありません。
シッディ族の反復と即興が生み出す陶酔感/サイケデリアに、ジャズの即興、電子音楽のアンビエンスなどが交じり合い、なんとも雄大な広がりとディープな精神性を感じさせる作品に仕上がっていると思います。

本作は、コルワーがその類まれな出自を活かし、インド音楽と西洋音楽(特にジャズ)のどちらにも理解を示しながら、一方だけに与することなくフェアに構築した、まさに彼だからこそできる音楽なのです。
こんな出会いがあるから、やはり音楽を聴くのはやめられません。


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