Aphex Twin "Cheetah EP"

cheetahat.jpg


Artist: Aphex Twin
Album: "Cheetah EP"
Label: Warp Records
Year: 2016

Tracklist
01. CHEETAHT2 [Ld spectrum] (5:53)
02. CHEETAHT7b (6:43)
03. CHEETA1b ms800 (0:27)
04. CHEETA2 ms800 (0:37)
05. CIRKLON3 [Колхозная mix] (8:13)
06. CIRKLON1 (7:17)
07. 2X202-ST5 (4:39)


2014年、"Syro"での華々しい復帰以降、コンスタントに作品を発表してきたAphex Twinことリチャード・D・ジェイムス。
昨年はAphex名義による実験的なEP"Computer Controlled Acoustic Instruments Pt.2"とAFX名義での復帰作"Orphaned Deejay Selek 2006-2008"という2作をリリースしましたが、およそ1年程度のスパンで出された今作"Cheetah EP"はその名の通り英Cheetah社が90年代初頭に発売したシンセサイザーCheetah MS800とSequentix社のシーケンサーCIRKLONにフォーカスしたものとなりました。

リチャードはこのシンセサイザーの独特の音色にご執心らしく、本作の宣伝フライヤーでは、「Cheetah社のシンセで良い作品ができたらWarpまで送ってほしい」と宣言している他、本作にCheetah MS800のデモンストレーション的な楽曲(3・4曲目)まで収録しているのですから、その熱の入れようといったらありません。

さて、本作の内容について言えば、"Syro"でも聴かれた、洗練された楽曲構築が相変わらず見られます。
うねうねと動くアシッドなベースライン、虚無的なアンビエンスを纏いながら冷ややかに漂うウワモノなどの以前からの作品でも見られた要素はより精度を増してより印象的に響いていますが、今作で注目したいのはなんといってもリズムだと思います。

思えば、これまで(特に95年の"... I Care Because You Do"以降)の彼の音楽において、ビートは非常に複雑に構築されていました。
それは"Syro"でも(ある程度シンプルになったとはいえ)聴かれていた要素だと思いますが、今作では逆に簡素なビートが並んでいます。
それこそ「ドリルンベース」なんて言われていた時期からするとシンプル過ぎて素人かと思うほどです。

しかし、それはシンプルであるからこそ独特の心地よさを生み出しています。
ビートとビートとの間にたっぷりと設けられた空白に雄弁に語らせるかのようなビート構築には黒いファンクネスが溢れており、彼の音楽に今まで感じられなかったセクシーな印象を覚えます。
そこにさらにCheetah MS800というヴィンテージ・シンセの音がかぶさることで、まるでニューウェイヴ/ニューロマンティック全盛期のように妖艶な雰囲気すら感じますが、まさかリチャードにこういうセンスがあるとは、とここにきてまた驚かされました。

もちろん、先行で公開された5曲目などは今までの狂気的な/何を考えているのか分からない雰囲気も漂っていますが、根本的にはリスニングテクノ/IDMというよりはより原型的なテクノだと思いますし、そうであるがゆえの享楽性みたいなものがアルバム全体を覆っています。

そう思ってみてみると、デザイナーズ・リパブリックによる、なんともバレアリックでディスコティックなジャケットが本当に今作にはフィットしています。
最初は何かのジョークかと思いましたが、実際に本作を聴いてみるとこのジャケットそのままのイメージの音だと思うようになりました。

リチャードの音楽的なバックボーンについては相変わらずはぐらかされて分からない部分も大きいと思いますが、その1つとしてデトロイトテクノやディスコ、さらにはニューウェーヴがあるというのはなんとなく想像のつくところだと思います。
本作は今までのどの作品よりも素直に、そういった原点に回帰した作品、ととることができるのではないでしょうか。
次はどんな手を打ってくるのか、まだまだリチャードから目を離すことはできなさそうです。


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