水曜日のカンパネラ "UMA"

Artist: 水曜日のカンパネラ
Album: "UMA"
Label: Warner Music Japan
Year: 2016
Tracklist
01. チュパカブラ (4:26)
02. ツチノコ (3:17)
03. 雪男イエティ (3:46)
04. ユニコ (3:37)
05. フェニックス (4:39)
06. バク (5:42)
07. クラーケン (6:28)
コムアイ(主演/歌唱)、ケンモチヒデフミ(作曲/編曲)、Dir.F(左記以外全て)の3人からなるテクノ/ハウス/HIPHOPなポップユニット水曜日のカンパネラがメジャーデビュー作"UMA"をリリースしました。
昨年の"ジパング"がかなり評価が高く、至るところでジャケットを目にしたような覚えがあります。
実際、"ジパング"は本当に作品としてのまとまりや各楽曲の出来が非常に良く、また、それ以前の作品で見られたカンパネラらしさも随所で確認できるという意味で、アノ時点での彼ら3人の音楽の総まとめのような雰囲気すら漂っていました。
(メジャーデビューの話がどの段階で決まったのかは定かではありませんが…)
そしてメジャーデビューとなる今作ですが、端的に言うと(メジャー)デビュー作らしい彼らの基本スタイルとこれからの展望が入り混じった野心あふれる作品に仕上がっていると思います。
今作はおおまかに分けて(狙った曲順ではないと思いますが)3つのパートに分かれます。
1~2曲目は今までの作品でも聴かれたアッパーなナンバー、3~5曲目はメロディ重視のナンバー、そして6~7曲目は新機軸/実験的なナンバーといった感じです。
特に1~2曲目は今までの名曲と比べても遜色のない出来で、また、"ジパング"あたりから前景化していたUK志向(グライム/ガラージあたり?)がより良く消化されたバキバキのトラックと、コムアイのラップ(というか早口言葉というか…?)及び歌唱がアンビバレントな一体感(ちぐはぐなようでがっぷり組み合わさっている)を感じさせる中毒的な魅力が満載です。
歌詞は相変わらず意味が有るのか無いのかよく分かりませんが(汗)
3~5曲目ではやや歌唱の割合が増え、楽曲もリズムよりはハーモニーを聴かせるメロデイアスなものが用意されています。
民族楽器的な音(管楽器)を配して今までの和を感じさせるメロディと組み合わせ、さらにそこに雪山というイメージを投影することでなんちゃってアイヌ風(個人的な印象です)に仕上げた'雪男イエティ'が特に光るとは思いますが、過去の'ドラキュラ'なども想起させる、アコギをフィーチュアした優しいナンバー'ユニコ'や、歌詞通りダークなサンバ(風)の'フェニックス'の2曲も興味深い出来だと思います。
そして、ラスト2曲は今までの彼らからすると随分実験的です。
楽曲の尺も気持ち長めですし、ミニマルな反復や呪術的なハーモニーといった、ちょっと一般受けしなさそうな要素が見られます。(「"UMA"って最後2曲よく分かんないよねー」とか言われないか心配)
個人的には、ラストの'クラーケン'が重心低めのベース、薄く被さるピアノや狂騒的で、もはや効果音と化したものが殆どのリズムトラックに、ダウナーなコムアイの歌唱がまるでツジコノリコのようで、聴いててゾクゾクする意味不明情念系ナンバーに仕上がってて素晴らしいと思うのですが。(ちなみに妻はやっぱり苦手でした。ツジコも苦手って言ってたなー)
なお、3、5、6、7曲目は外部のプロデューサー/ミュージシャンに楽曲を提供してもらており、そういった試みからもメジャーデビューにあたって彼らがこのユニットの守備範囲を広げていこうとしているのが分かるような気がします。
前作に比べるとまとまりという点では弱いものの、メジャーデビュー作としては非常に充実したものであると言えるでしょう。
スポンサーサイト