Various Artists "The Colorado: Music from the Motion Picture"

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Artist: Various Artists
Album: "The Colorado: Music from the Motion Picture"
Label: New Amsterdam/VIA Recirds
Year: 2016

Tracklist
01. Beginnings (6:15)
02. A Parade, A House, A Telescope (7:37)
03. An Unknown Distance Yet to Run (6:37)
04. Shimmering Desert (6:32)
05. The Colossus (5:26)
06. Cathedrals in the Desert (6:42)
07. El Corrido de Joe R. (5:05)
08. Welcome to the Anthropocene (4:34)
09. Palette of a New Creation (5:58)


人の声/肉声というものは特別な力を秘めています。
声というものが調律された楽器(あるいは、されていないものであったとしても)から生じる楽音とは全く異なる、そしてはるかに強烈な印象を与える力を持っていることは、音楽を聴く者であれば誰しもが感じることだと思いますし、その印象は声が発せられるときに殆どといっていいほどに伴われる「言葉/意味性」について、考慮から外して考えたとしても間違いないことでしょう。

2009年に結成されたRoomful of Teethは、男女混声合唱団という形態からも分かる通り、肉声/歌声というものの限界に挑み、そのスリリングな魅力をリスナーに提示してくれています。
そして、ドキュメンタリーフィルム『The Colorado』のサウンドトラックである本作は、彼らの試み/挑戦がより広汎に世に問われる契機となる作品ではないかと思います。

そもそも彼らは、2012年にセルフタイトル作でレコードデビューし、昨年には第2作目"Render"を発表しました。
私自身どちらもまだ聴けていないのですが、特に第2作ではグラミー賞を受賞するなどしたこともあり、彼らに対する評価の機運、そして期待は現在正に最高潮を迎えていると言えるでしょう。

今作では5名の作曲家のペンによる楽曲を彼らが実演しています。
その内の1人はなんとWilcoのドラマーでありシカゴインディシーンの重要人物(最早大御所?)のグレン・コッチェで、彼はパーカッション担当として演奏にも参加しています。
その他はチェリストのジェフリー・ツァイグラー(ツィーグラー?Jeffrey Zeigler)と、7曲目ではバンジョー奏者のジェイムス・ムーアが参加しています。

合唱・チェロ・パーカッション(+バンジョー)という編成なのですが、ここで表現されているハーモニーは非常に豊かで、そして何よりもポップで聴きやすいです。

楽曲は昨今のインディークラシックの例に倣い、ミニマルな反復を基本としながら進んでいきますが、8人の団員は殆どの場面でソリストも含めて3~5程度の声部(まさに「声」ですが笑)を重ねており、非常にポリリズミック/ポリフォニックな響きが全編で聴かれます。
これだけの歌声が重なる様は凄まじく強烈ですし、フレーズによっては非常に現代音楽的な調性(というか無調というか?)もあって、Roomful of Teethの合唱だけだとややもすれば取っ付きづらいというか、刺激が強すぎるところがあるかもしれません。

しかしながら、ツァイグラーのチェロがそこにさらなるテクスチュアを加えたり、あるいはコッチェのパーカッション(恐らくエレクトロニクスも彼だと思いますが)がリズム面のガイドラインをより分かりやすく提示することで楽曲はポップソングとしての機能性も備えていきます。
特にコッチェは大活躍といった雰囲気で、声の重なりに彼のミニマルなパーカッション/エレクトロニクスががっぷりと組み合わさることでより強く楽曲が進行していく感覚を覚えるシーンが非常に多いです。
また、多彩な音色を使い分けることで、合唱とパーカッション/エレクトロニクス、チェロだけとは思えないオーケストラルな力強さを生み出すことにも成功していると思います。

そして、彼らの好サポートによりRoomful of Teethの歌声はより一層魅力的に、力強く響いていますし、それは反対にコッチェらの楽音や電子音の魅力をも引き出し、相乗的に音楽的な深度を深めています。
そしてその様子は、本作において彼らが、最終曲のタイトル『新たな創造のパレット(Palette of a New Creation)』が示す通り、合唱と楽音、電子音という要素を様々な比率で融け合わせ混交させながら、大衆を無視する小難しい前衛/実験音楽とも、反対に大衆に阿るポピュラー・ミュージックとも違う、非常に意義深く魅力的な新たな音楽を作り出していることを証明しているのではないかと思うのです。


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