Raime "Tooth"

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Artist: Raime
Album: "Tooth"
Label: Blackest Ever Black
Year: 2016

Tracklist
01. Coax (4:10)
02. Dead Heat (4:35)
03. Hold Your Line (4:28)
04. Front Running (4:24)
05. Dialling In, Falling Out (4:57)
06. Glassed (5:15)
07. Cold Cain (4:58)
08. Stammer (4:47)


UKにおいて、70年代後~80年代はロック(パンク)とレゲエ/ダブとの蜜月とも言うべき時代だったように思います。
The ClashやThe Policeなどを始め様々なロック・バンドがレゲエ的な手法を取り入れ、あるいは自身の楽曲をダブ・ミックスしました。

それはいわゆるポスト・パンクと呼ばれたバンドたちに特に顕著な志向であり、The Pop GroupやThe Slitsなどから始まった流れはエイドリアン・シャーウッドとも合流し、New Age SteppersやDub SyndicateなどのON-U Soundsの各ユニットを経て、ニュー・ルーツ(UKにおけるレゲエのレベル精神/ラスタファリズムの再発見)を呼び覚ましました。
一方でダブの手法は独立してインダストリアルミュージックと接近することでクラブミュージック(EBM)と交じり合い、ドラムンベース/ジャングルから2ステップへ、2ステップからダブ・ステップへと流れていきます。(ニュー・ルーツがデジタル楽器を使用したことも関係は深いと思いますが)

後者の流れは近年ではポスト・インダストリアルと呼ばれるような、硬質/無機質でマシニックなビートや、ダークなアンビエンスを絡めた志向を見せていましたが、これはある意味で先祖返りと呼べるような流れではないか、と個人的には感じています。
そして、ロンドンを拠点に活動するベース・ミュージック・デュオRaimeはそこからさらに一歩踏み込み、我々にロックとレゲエ/ダブの蜜月を思い出させるようなサウンドを新作"Tooth"で聴かせます。

元々かなりストイックなミニマリズムと、呪術的なダーク・アンビエンスに裏打ちされた不気味な楽曲を得意としていた彼らですが、今作ではその雰囲気はそのままに、ギター(風?)のテクスチュアを全編で用いています。(前作でも少しだけそれっぽい音が使われていはいましたが)

ペナペナとした、クランチ気味の単音はシンプルなフレーズを執拗に繰り返します。
その音は、これ以上になくヘヴィにボトムを支える低音が見せる音程の推移と同期して、楽曲の持つダークでゴシカル/オカルティックな雰囲気を強化していますが、それ以上に、トリッキーに刻まれるビートと絡まって、有機的/肉体的とすら思える緊張感をはらみ続けます。

その音がいつノイジーに変貌し、暴力的な爆発を見せるかとハラハラしながらアルバムを聴き進めるリスナーも多いでしょう。(私はそうでした)
しかし、結局のところそんなことは起こらず、アルバムは呪術的な緊張感を燻らせ続けたまま幕を閉じるのです。

ざっと聴いた感触では、1stの"Quarter Turns over a Living Line"のおどろおどろしい、深淵のような音楽性はやや薄れているように感じられるかもしれません。
しかし、このアルバムの醸す居心地の悪い緊張感、そしてそれが爆発することなくくすぶり続ける寸止め感には特筆すべきものがあります。
そしてそれらの全ては、今作で大々的に導入されたギターサウンドと、その音が彼らの音楽に呼び込んだ肉体性(=ロック的な要素)にこそあるのではないかと思うのです。
そう考えると、"Tooth"というアルバムタイトルのもつ原始的/野性的なイメージはどことなく初期のThe Pop GroupやThe Slitsのイメージにもつながっていくような気がします。

確かに、ここに現れているのは当時のような苛烈なレベル・ミュージック然とした意識でなく、現代的な閉塞感・諦念の空気かもしれません。
それでも、ギターサウンド(とビート)が生み出す肉体性が、この音楽にどこか「踊れそうな」雰囲気を付与していると思いますし、それはもしかしたら、根底の部分でポスト・パンクの時代の精神とつながっているのかもしれないと、なんとなく思えるのです。


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