Dal Niente & Deerhoof "Balter/Saunier"

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Artist: Dal Niente & Deerhoof
Album: "Balter/Saunier"
Label: New Amsterdam
Year: 2016

Tracklist
01. meltDown Upshot: 1. Credo (4:48)
02. meltDown Upshot: 2: Parallel Spaces (2:33)
03. meltDown Upshot: 3. Ready (3:19)
04. meltDown Upshot: 4. True/False (1:50)
05. meltDown Upshot: 5. Home (3:51)
06. meltDown Upshot: 6. Cherubim (2:42)
07. meltDown Upshot: 7. Rapture (4:25)
08. Pois que nada que dure, ou que durando (4:52)
09. Deerhoof Chamber Variations (20:40)


インディー・クラシックを掘ってみよう企画(?)後編。
今回は先日紹介したフィンネガン・シャナハンのデビュー作と同じくNew Amsterdamより4月末に発表された、楽団アンサンブル・ダル・ニエンテとロック・バンドDeerhoofのコラボ盤です。

シカゴ・トリビューン誌において「現代音楽が追求するものを体現する楽団(a model of what contemporary music needs)」と評されたダル・ニエンテとDeerhoofとの交わりは、2012年のシカゴ・ミレニアム・パークでの共演にまで遡ります。
その共演以降4年の歳月をかけながら彼らはその結びつきを強固なものへとしていったのであり、今作はその交流が実を結んだ結果と言えるものであることは間違いないでしょう。

さて、本作ですが、実はある点において先日紹介したフィンネガン・シャナハンの作品と共通する、そして相反する作品でないでしょうか。
どういう点が共通し、また相反するのかと言いますと「スモールコンボ(バンド)と多人数の楽団との関係性」という部分ではないかと思うのです。

シャナハンの作品のレビューのおいて、「多くの楽曲においてシャナハン、ギター、ベース、ドラムという最小単位のバンドを核として、そこにオーケストラルなラインを絡ませている」ということを述べました。
コンテンポラニアスという楽団を率いての作品という形ではありましたが、その中でも演奏の核となるバンドとそこに絡んでいく楽器群という二項の役割分担が楽団内でなされていたように思うのです。

対する本作"Balter/Saunier"は、ダル・ニエンテという楽団にDeerhoofというロック・バンドが合流した、という経緯からしてシャナハン作品の在り方に似た部分があるのではないかと思いますが、あちらのような役割分担でもって楽曲を構築してくのではなく、"Dal Niente & Deerhoof"という一つの楽団として演奏にあたっている印象が非常に強いです。
これはやはり、元々別々のユニットが長い年月をかけて交流してきたという経緯から生まれたものなのでしょう。

アルバムは、ブラジル人作曲家マルコス・バルターによる組曲'meltDown Upshot'と小品1曲、そしてDeerhoofのグレッグ・ソーニアによるDeerhoof楽曲の室内楽アレンジメドレーという3曲の構成になっています。
いずれもダル・ニエンテとDerrhoofによる一糸乱れぬ演奏が楽しめるものばかりですが、やはり注目すべきなのは組曲'meltDown Upshot'でしょう。

女性ヴォーカル&コーラスによる愛らしくもゴシカルな歌声、ポスト・クラシカルにも通底するような静謐なアンビエンスや、フリー・ジャズの狂騒、ポスト・ミニマルのループ感覚、そしてロックバンドによるサイケデリックなディストーションの咆哮などの要素が巧みに配置され、組み合わされることで幻惑的に進んでいく演奏は、べたついた感傷にも興の冷めるような自己満足的な前衛にも陥ることなく慎重に、それでいて力強く楽曲を前進させていきますし、先述した様々な要素の要請の通り全てのプレイヤーに見せ場が与えられてキビキビと動く楽団(とDeerhoof)の様子にはすっきりとした爽快さすら感じます。
現代音楽的な要素の強い、ポエムの朗読作品的な小品をはさみながら、その魅力はラストの'Deerhoof Chamber Variations'でも存分に発揮されています。

シャナハンは"The Two Halves"の制作に際して、元々一つのものであった楽団に対して極めて論理的に役割分担を考案し、実践したのだと思います。
そのことはあの作品が明快な、理路整然とした雰囲気を強くまとっていることからも明らかですが、ロックバンドと楽団という2つの別の存在が一つになった今作"Balter/Saunier"ではそれとは真逆の方法論が試され、一つの見事な実を結んだと言えるでしょう。

そして、リスナーの一人として思うことは、これがこのコラボレーション/蜜月の最終報告ではなく、経過報告であってほしいということです。
ぜひとも次回作に期待したいですね。


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