Solo Andata "In the Lens"

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Artist: Solo Andata
Album: "In the Lens"
Label: 12K
Year: 2016

Tracklist
01. Drop Canvas (3:10)
02. Late Night Games With Her (3:13)
03. Painting Dust (3:22)
04. Separate Lovers (3:14)
05. Porcelain Blue (4:47)
06. Left (2:27)
07. Diffused (3:52)
08. Leaden Sky (2:33)
09. From All The Broken Pieces (4:41)
10. Dancer (1:27)
11. Laugh Shattered (3:02)
12. Miscible (3:38)
13. Canvas (5:03)


オーストラリアのデュオSolo Andataが2009年に12Kより発表したセルフタイトルの2ndは紛れも無く名作でした。
チェロによる幽玄でクラシカルなテクスチュアを持ったドローンと、無機質でインダストリアルな電子音、繊細なギター、微弱なノイズ、そしてフィールドレコーディングが複雑に重なりあいながら、非常にディープな音響空間を形作っている様子には、彼らのストイックな制作風景が透けて見えるかのようでありましたし、また、そうであるからこそあの作品にはそういった折り目正しさからくる崇高さのような感覚が漂っていたように思います。

翌年にDesire Path Recordingsよりレコードオンリーの3rd"Ritual"(未聴です)を発表した以降の活動はというと、ケイン・アイキンのデビュー作が12Kから、また、デイヴィッド・ウェングレンとアイキンの共作がサイモン・スコットのKESHHHHHHから発表された程度で、音沙汰がありませんでした。

4月にアイキンがTypeより発表した2nd"Modern Pressure"が今までに比べると随分テクノ寄りだったため、最近はそういう志向なのかと予想しておりましたが、5月に入って12Kからの発売がアナウンスされた本作"In the Lens"はむしろ1st"Fyris Swan"の頃にまで立ち返ったかのようにメロディアス、メランコリックな雰囲気のある作品に仕上がっています。

本作では、ギターや鍵盤、ブラスなどの音とフィールドレコーディング、そしてチリチリ、ザワザワとした電子ノイズが一曲のなかで重なりあいます。
各楽器のフレーズは即興から生じたものらしく、殆どの場合明確な意味や輪郭を持たず、まるでぽつりぽつりとつぶやくようにたどたどしく紡がれていきます。
1stや、あるいは2ndの頃は結構かっちりとしたコンポジションを感じることができましたが、今回はそういった空気は薄く、かなり緩めのアブストラクトな雰囲気が全体を覆っており、それが逆にジャケットのように幻想的なイメージを喚起させるように思います。

また、演奏そのものはそういったように意味性(=物語性)を排除したような、アトモスフェリックな雰囲気がありますが、楽曲タイトルなどには何らかの感傷/感情のようなものが感じられるものが多く、最近の12K的な志向に寄せてきたと思われる、サウンドのオーガニックな質感と合わせて、どこかノスタルジーな物語性を感じさせるようなところもあります。
聴いていると演奏や楽曲構造の抽象性と、タイトルやサウンドの物語性というアンビヴァレントな感覚の間をふらふらと行き来し、幻惑されるかのように心地よいサイケデリアを感じることができるのです。

そして最終曲'Canvas'において本作は強く物語性を感じさせる方向に収束します。
いままでふらふらと、楽曲ごとに違う空間を漂うかのようであったアルバムの空気が、ここにきて一気に統一的な空気を持ち、見事な幕引きとなっているのには唸らされます。
終わりよければ全て良し、というとなんだかそれまでが良くなかったみたいな言い方になりますが(笑)、本作の魅力の大部分はここに集約されるんではないかと思うほどに素晴らしいエピローグなのです。

本作は夢想的、幻想的、幻惑的な空気を強く持ち、抽象的で、そして最後には物語性/ドラマティシズムを強く匂わせてアルバムとしての個性を強く主張して終わる、という近年のオーガニック/メロディアスな12Kの方向性の到達点と言っても過言ではないかと思います。
ただの雰囲気ものに堕することなく、しかし出来る限り意味性/物語性を排除しながらも、ドラマティックな魅力も損なわせない、という限りなく不可能に近いことを、Solo Andataの2人はやってのけたのです。
やはりこのユニット、素晴らしい!


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