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Prince "Lovesexy"

princelovesexy.jpg


Artist: Prince
Album: "Lovesexy"
Label: Paisley Park/Warner Bros.
Year: 1988

Tracklist
01. Eye No (5:47)
02. Alphabet St. (5:38)
03. Glam Slam (5:04)
04. Anna Stesia (4:56)
05. Dance on (3:44)
06. Lovesexy 85L48)
07. When 2 R in Love (4:01)
08. I Wish U Heaven (2:43)
09. Positivity (7:15)
(US盤は全部の曲がトラッキング無しでつながっています)


昨日(4月22日)の朝、目が覚めたところに一つの驚くべきニュースが舞い込んできました。
それは、プリンス・ロジャー・ネルソンこと殿下が57歳という若さで突然の死を迎えたというニュースで、先のデヴィッド・ボウイの時と同等か、もしかすると(殿下の方が若かった分かもしれませんが)それ以上のショックを受けました。

昨日から追悼の意を込め、殿下の作品を1stから聴き直していますが、改めてどの作品も素晴らしく、その才気が見事に具現化したものばかりでありまして、78年のデビュー以来コンスタントに作品を発表し、さらには膨大なアウトテイクが残っていると噂される程にワーカホリックな彼であっても、もはやこれ以上純粋な意味での新作は生まれ得ないということに改めて悲しみを覚えます。
今回はレビューでの追悼もあわせてと思い、88年の名作"Lovesexy"をご紹介させていただきたいと思います。

さて、まずこの作品、何よりもまず印象深いのはジャケットかと思います。
全裸に十字架のみ下げて恍惚の瞳でどこかを見つめる殿下…どう見てもソッチ系の人にしか見えませんが(汗)、これは『神の前に自分の全てを曝け出す』ことを意図したジャケットとのことで、意外や意外(失礼)随分真面目なジャケットだったのですね。

この時期(というかこれ以降というか)の殿下は、所属レーベルであるワーナーが契約を盾に作品作りに口をはさむなどしたことで関係が悪化してきた頃でして、実はこの作品の直前に"The Black Album"と題した過激でグルーヴ・オリエンテッドな作品を発表しようとした経緯があります。

"The Black Album"はブート流出などもあって最終的に94年に正規で発表されることとなりましたが、改めてそちらを聴いてみると驚くほどアグレッシヴで、"Sign O' the Times"まで彼の作品から感じられたポジティヴな雰囲気は全く感じられません。
唯一、本作にも改めて収録された'When 2 R in Love'こそ美しいバラード作品ですが、その他は全て硬質なビートが先導するファンキーな曲ばかりです。
歌詞も、ものによっては当時の関係者を口汚く罵るものであったりと攻撃的です。

ただ、作品としての出来は文句なく、もし予定通り発表されていれば、黄金期の殿下のブラック・ミュージシャンとしての側面を代表する一作となったことは疑いようのない内容です。
では、なぜ"The Black Album"は封印されてしまったのか?

殿下本人は先述の「攻撃性」を自身の作品として発表するのに躊躇した、というコメントを残しているそうですが、それは要するに殿下自身が描く「プリンス像」に合致しない、殿下としては発表できる許容ラインを超えていない作品であったということだと思います。
その後、93年にはワーナーとの関係が悪化しすぎたため、最早そんなところに気がまわらないほど怒り心頭だったためか、1週間で作曲からミックス・ダウンまで仕上げた"Chaos and Disorder"を発表していますが、これがあったからこそ94年の"The Black Album"正規発売があったのかも、なんて推測したりしています。(もうどうでもよくなったのかも?)

しかしながらこの時点ではそんな経緯がありつつも、殿下は自身のうちから沸き起こる負の感情をぐっとこらえ、「人間 プリンス・ロジャー・ネルソン」でなく「音楽家 プリンス」としての新作を発表することを選び、本作"Lovesexy"を制作したのです。
そして自身の感情を抑えた状態が逆に倒錯的に創作意欲を刺激したのか、本作はそれまでの名作群と比べても遜色のないどころか、彼のディスコグラフィの中でも随一の完成度を誇るポップ・アルバムとして完成していると思います。

まず1曲目'Eye No'の、美しい音響と女声の語りから、殿下のシャウトで一転して弾ける、ポップでファンキーな始まりからして痛快です。
殿下が明らかに"The Black Album"と正反対の作品をつくろうとしたことはこの導入だけでも存分に感じられるでしょう。

全体的には"The Black Album"にも通底する、硬質なプロダクションがドラムなどに感じられるものの、ビートはよりゆったりとした質感が強く、メロディやハーモニーを活かす形に丁寧に構築されています。
使用楽器やコーラスも非常に贅沢で、華やかなホーンや女性コーラスなどが多くの楽曲で用いられていますが、見事にその音は整理され、隙間を十分に取りながらビートの効能を最大化するように多層化されています。

また、ジョニ・ミッチェルに多大な影響を受け、SSW的な側面も殿下は持っていますが、それが見事に結実したかのような美しくスピリチュアルなメロディが多くの曲で聴かれるのも本作を名作たらしめている要因の一つです。
先述の'When 2 R in Love'の他に'Glam Slam'の多幸的なコーラス部分や、'I Wish U Heaven'や'Positivity'のもつタイトル通りのソウルフルな優しさは一度聴けばその虜となることは間違いないと思います。

全曲名曲で、初期の殿下に見られた個人制作に起因するプロダクションの弱さ(初期はそれが逆に魅力でもありますが 笑)も克服され、演奏や歌唱も脂が乗り切った時期のものであって、その状態で意図的に「高品質なポップ作品」をつくろうとしたわけでして、そしてそれをやっているのがポップ界随一の完璧主義者である殿下なわけですから、最初から傑作になることは約束されていたわけですね(笑)

ジャケットについて冒頭で「神」と申したものの、殿下が本当に自身の全てをさらけ出そうとしたのはむしろ「音楽(の神)」だったのかもしれませんね。
音楽そのものに奉仕するのでなく、自分の負の感情に奉仕するために音楽を道具として使おうとしたことに対する悔恨の念が執念と化し、本作を名作たらしめたのだと思います。
まさに殿下の最高傑作と断言できるでしょう。


ありがとう、そして、さようなら、殿下。
心からご冥福をお祈り申し上げ、追悼のレビューとさせていただきます。



(殿下はネットにおける楽曲の無断転載に厳しく、youtubeなどにあげられた動画を即削除申請して対応しておりました。
亡くなって以降多くの追悼の楽曲がアップされていますが、おそらく遺族等によりすぐに削除されるであろうと考えられますし、また、本人の意向を尊重する意味でも今回は楽曲の貼付けはなしとさせていただきます。
ご了承いただき、ぜひ作品を購入いただければと思いますのでよろしくお願いいたします。)
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