Kane Ikin "Modern Pressure"

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Artist: Kane Ikin
Album: "Modern Pressure"
Label: Type
Year: 2016

Tracklist
01. Partial (6:12)
02. Haze Shimmer (5:26)
03. Crosstalk (6:36)
04. Tap Tap Collapse (4:04)
05. Smoke Hood (7:11)
06. Auto Dialler (4:44)
07. Pulp (5:11)
08. Closer Closer (7:55)


オーストラリアはメルボルン出身のケイン・アイキンの新作がTypeよりリリースされました。
個人的には2012年に12Kより発表された"Sublunar"がとても印象深かったのですが、今作では"Sublunar"で志向されていたサウンドを踏襲している部分と、新たに盛り込まれた要素とがせめぎあい、非常に挑戦的な作品に仕上がったように感じます。

まず、1曲目'Partial'からして度肝を抜かれることでしょう。
まるで地獄の釜でも開いたかのような不穏な音響による導入の向こう側から、一気にダークなベースとトライバルなビートが迫ってきます。
非常にマシニックで硬質な音は、そこに絡められる種々のノイズやメタリックな音響と相まって非常にインダストリアルな印象を聴く者に与えます。

初めて聴いた時はかなりガラリと方向性を変えてきたように感じましたが、そもそも"Sublunar"の時点ですでにダブっぽい処理がありましたし、ダブそのものは80年代にインダストリアルと(主にポストパンク経由で)接続されています。
そう考えるならばこの変化も不思議ではないというか、元々アイキンの内にあった音楽的志向なのだろうと思います。

続く2・3曲目では”Sublunar"収録曲のように、シンセ音や電子音響に対してその残響を虚空に投げ込むかのような処理を施してスペイシー/コズミックな印象を創りだしています。

多かれ少なかれそういった”Sublunar”的な音処理はアルバムの随所で聴けますし、ストイックにミニマルな構造も手伝い、"Sublunar"のような自分のインナースペースに潜り込んでいくような思索的/内省的な感覚は今作でも存分に味わえます。

Typeからのリリースということで、Basic Rhythm "Raw Trax"と比べたくなりますが、デトロイト・テクノに立ち返る、ギラギラとしたストリート感覚をポストインダストリアルなテクノ・ミュージックに取り戻したあちらと比べると、こちらの方はポストインダストリアルの民族的/呪術的な側面にフォーカスをあて、あるいはアイキン自身のもつ思索的な空気を存分に反映させた作品のように思います。
(前者については、どこかオーレン・アンバーチの最近の作品を思い出したりもします。)

ラスト曲ではまるでYves De Mey "Drawn with Shadow Pens"のように音響彫刻的な曲で、8分弱たっぷり反復しながらベース音、メタリックなハット、怪しげなシンセ/音響で空間を満たしています。

全体的に見ればかなりヴァラエティに富んだ作風で、それでいてサウンドに一本芯の通ったところのある好盤であり、現在のTypeの方向性にも合致した職人的な一枚です。
個人的には結構気に入ってまして、年間とおしてちょいちょい聴き直すことになりそうです。


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