Licht-Akiyama Trios "Tomorrow Outside Tomorrow"

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Artist: Licht-Akiyama Trios
Album: "Tomorrow Outside Tomorrow"
Label: editions Mego
Year: 2016

Tracklist
01. Blues Deceiver (20:47)
02. Tomorrow Outside Tomorrow (18:52)


アラン・リクト秋山徹次という2名のギタリストによる作品がeditions Megoよりリリースされました。
収録されているのはインプロヴィゼーションによるものと思われる長尺の2曲で、1曲目にはオーレン・アンバーチ(ギター)、2曲目にはロブ・マズレク(コルネット)が参加したトリオ形式での演奏です。

日本人画家の内藤瑶子によるどこか虚ろなジャケットが印象的ですが、収録されている演奏もこのジャケットに相通ずるように幻想的といいますか不気味といいますか、ぼんやりとして掴みどころがないようで、音や響きが空間に充満していくような錯覚を覚えるアンビエンスと、3人による演奏とは思えないほどにパーソナルな雰囲気が充満したものになっていると思います。

1曲目'Blues Deceiver'はギタリスト3人による演奏ですが、クレジットから推測するにリクトは主にエレクトロニクを担当してパルス音をねじり、グリッチさせながら音程を推移させ、アンバーチはいつものごとく自身のギターを変調させてドローン状に融解させています。
秋山の演奏こそギターとしての音の輪郭が聴き取れるものではありますが非常にアブストラクトでとりとめなく、全体的にはあまりギタリスト達の演奏、という雰囲気ではありません。
3者の演奏を多層的にレイヤーしていくというよりは、互いの音に耳を傾けながら、暗闇の中を一歩一歩手探りで進むかのように自分の音を他の2人に投げかける、緊張感のある演奏です。

「ブルーズの詐欺師」という不思議なタイトルですが、私個人としてはこの演奏の中にはどこかローレン・コナーズに似た空気感があるように感じました。
秋山のギターのトーンがクリーントーン中心で、じっくりと残響を空間に滲ませるような所作がそのように感じる主な原因だと思いますが、コナーズのような叙情的な雰囲気は薄く、反対に他の2人の演奏とあわせてなんとも言えない荒涼感/終末感のある風景を描き出すかのように叙景的な印象を受けます。

2曲目'Tomorrow Outside Tomorrow'は一転して和声的な部分が強く現れた演奏です。
なんといってもやはりロブ・マズレクのコルネットによる単声が形作るメロディの役割が大きいですね。
冒頭の数分こそまるでデレク・ベイリーのように弦を擦る音(リクトでしょうか?)が1曲目の続きのような雰囲気を醸しますが、徐々にもう1人のギターが弱音で絡みながらミニマルっぽいフレーズをゆるく反復させはじめ、そこにマズレクの黄昏れるかのようにメランコリックなコルネットがかぶさってきます。
擦過音を担当していたギターも徐々に弱音のディストーション(クランチ?)を響かせながら感傷的になっていき、最終的にはとても叙情的な演奏に変貌していきます。
後半はコルネットのおかげか和声的/旋律的な印象が強く、非常に聴きやすいですし、また、そこはかとないジャジーさも感じられ、とても美しい演奏になっているように思います。

ところで、ジャケットの話に戻りますが、ちょっと面白いなと思ったのは、それぞれの楽曲を聴きながらジャケットを眺めると、随分と違った印象を受けることです。
1曲目であればひどく黙示録的でホラーテイストなものに見えます(3人の人影が幽霊のようでなんとも不気味)し、2曲目であれば黄昏時のような物悲しく、ちょっぴり懐かしい印象を受けます(人影も血の通った人間性があるような…)。
本作の楽曲の印象を両方共に巧みに描き出した、非常に素晴らしいジャケットといえるのではないでしょうか。
ちょっぴりこの内藤瑶子さんの作品が気になりますね。

なかなか言葉にしづらい抽象的な演奏ではありますが、ジャケットもあわせ、不思議な魅力を持った作品に仕上がっていると思います。
インプロ好きはぜひとも聴いてみると良いと思いますし、アンビエントがお好きな方はそっち系の作品として十分に聴けますので、ぜひ聴いてみてもらいたいと思います。


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