Esperanza Spalding "Emily's D+Evolution"

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Artist: Esperanza Spalding
Album: "Emily's D+Evolution"
Label: Concord Records/Universal Music
Year: 2016

01. Good Lava (3:38)
02. Unconditional Love (3:47)
03. Judas (4:10)
04. Earth To Heaven (3:50)
05. One (3:15)
06. Rest In Pleasure (4:57)
07. Ebony And Ivy (4:21)
08. Noble Nobles (3:32)
09. Farewell Dolly (2:08)
10. Elevate Or Operate (4:04)
11. Funk The Fear (5:04)
12. I Want It Now (2:51)


現代ジャズ・ベースの才媛エスペランサ・スポルディングの新作は、自身の誕生日の前日に夢に現れたというキャラクター「エミリー」(彼女自身のミドルネームと同じ)が案内する、進化(evolution)と退化(devolution)とをテーマとする作品です。
前作"Radio Music Society"はしなやかな色気を帯びたファンクネスを、弾けるような陽性の空気で装飾した、まるでお手本のようなブラックポップでしたが、今作は一転して彼女のベース、ギター、ドラム(と一部コーラスとシンセ)という最小単位のバンドによるロック色の強い作品に仕上がっています。

本作で何よりも特徴的なのはやはりギターです。
昨年初リーダー作をリリースしたばかりのマシュー・スティーヴンスが担当していますが、1曲目から派手なオルタナ風味のヘヴィ・ギターをぶちかましてくれています。
その他では楽曲によりアコースティックギターを用いたり、あるいはバラード的な楽曲でサイケデリックな音色をむしろ浮遊感を演出するものとして使ったりと、なかなかに多芸なプレイをみせてくれます。
彼のギターが今作のロック色に大きな貢献を果たしているのは間違いありません。

ドラマーはジャスティン・タイソンとカリーム・リギンスという2人を楽曲により使い分けていますが、こちらは両人もロック主体のバックビート強調型のドラムを試みながらも、やはり黒人らしいダウンビートの強調も忘れられない、といった風です。
エスペランサもうねうねと複雑に動くしなやかなベースを弾き倒しながら相変わらずの美声で歌っていますし、コーラスとシンセで参加しているグループKingも、エスペランサが歌う主ラインにもたって絡んだりしながら、リズム的な快楽を享受するかのようなサポートを見せています。
スティーヴンスによる、音色とスタイル両面でのいかにもロックなサウンド・テクスチャーのギターと、エスペランサ本人やドラムス2名の両義的なプレイ、そしてブラック感溢れるコーラスといった要素が巧みに組み合わさることで、本作はブラック由来のグルーヴと、今回志向されているロック色が見事に同居したものに仕上がっているように思います。

共同プロデューサーにトニー・ヴィスコンティを迎えていることから、ボウイの"★"に絡めた評を多く見る印象ですが、何度か聴いてみて思うのは、やはり彼女の芯にあるのはブラックポップであり、それをロック的な意匠で装飾した本作はむしろかの天才プリンスに通じる部分が大きいのではないか、ということです。
プリンスの最近の作品をフォローできていないのではっきりとしたことは言えませんが、個人的には"1999"から"Parade"あたりまでのポップネスとグルーヴを見事に両立していた時期の彼に通底するものを今作からは感じます。

そしてそこには殿下が大きな影響を受けたジョニ・ミッチェルの影も感じられるように思います。
そういえば、ジョニもその活動の中期にはジャズに接近しましたし、そういう意味では、その時期の共同作業者であるジャコ・パストリアスの影、と言った方が適当なのかもしれません。
そう思って聴いてみると、プレイの随所にもジャコに通じるものを感じる…かもしれません(笑)
(実際、彼女はフェンダーのジャコモデルのベースを使用しています。)

前作の時点でポップ方向に大きく舵取りをして、十分に成功していたのですが、まさかそれをさらに上回るような充実した作品を出してくるとは(しかもスタイルをがらりと変えて)思いませんでした。
間違いなく、2016年を代表する名作の中の1枚となることでしょう。


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