Fire! "She Sleeps, She Sleeps"

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Artist: Fire!
Album: "She Sleeps, She Sleeps"
Label: Rune Grammofon
Year: 2016

Tracklist
01. She Owned His Voice (7:34)
02. She Sleeps, She Sleeps (13:59)
03. She Bid a Meaningless Farewell (4:04)
04. She Penetrates the Distant Silence, Slowly (18:30)


スウェーデンのハードコアな即興トリオFire!の5thがRune Grammofonよりリリースされました。
当blogでは、ジム・オルークとのコラボレーションの結果を収めた2011年の2nd"Unreleased?"を以前レビューさせていただきましたが、その後の2012年にはオーストラリアの実験ギタリスト オーレン・アンバーチとのコラボによる3rd"In the Mouth - A Hand"を、2013年にはトリオに立ち返っての4th"(Without Noticing)"を、そして2013年から2014年にかけてはFire! Orchestraと題されたビッグバンド的な活動などを意欲的に行ってきました。

今作は、Fire! Orchestraの活動を経た後に初めてバンドに立ち返って発表された作品となりますが、2曲目には2012年以降久々にオーレン・アンバーチのギター(ジョー・タリアが録音を担当)を、そして3・4曲目ではレオ・スヴェンソン・サンダーのチェロ(ドラムのアンドレアス・ワーリンが録音)をバンドの音に加えています。

メンバー的にはむしろ前作の方がコンパクトな形であったように思えますが、今作で特筆すべきはメンバーの担当楽器のシンプルさではないかと思います。
マッツ・グスタフソンはいつもであればフェンダー・ローズやエレクトロニクスも担当するところですが、今作ではテナー/バリトン/バス・サックスに専念していますし、ヨハン・バースリングも鍵盤をプレイすることなくダブル・ベースのみです。
唯一、ドラムのワーリンのみドラムだけでなくラップ・スティール・ギターを(おそらく1曲目?)プレイしていますが、基本的にはメンバーそれぞれがメインフィールドの楽器のみを担当しています。
ゲストの二人にしても(特にマルチプレイヤーのアンバーチ)、一つの楽器に専念していますので、いずれの楽曲も楽器数は3~4程度の少数編成で録音されたということになります。

楽曲の骨子は"Unreleased?"のレビューでも述べたとおり、リズム隊による肉体性をともなったミニマルなグルーヴです。
小品の1,3曲目などでは多少色気も見せていますが、長尺の2,4曲目などでは尺に似つかわしくないほどに禁欲的にリズムを反復させていきます。
ダブル・ベースとドラムというアコースティック楽器のみでひたすら反復されるリズムは非常に色彩感に乏しく、モノトーンかつダークな印象を聴き手に与えます。
ベースの動きが最小限なのもその印象に拍車をかけているかもしれません。

その上で即興を繰り広げるグスタフソンのサックスも、殆どブチ切れる寸前のような雰囲気で音を重ねていきます。
細かく音を重ねて螺旋状のフレーズを構築したり、ロングトーンで音を軋ませたりしながら、虎視眈々と隙を狙うかのような殺気みなぎるプレイで、音そのものは少なめ/余白多めの割に物凄い緊張感です。(特に4曲目が凄まじい!)

ゲストの2人については、アンバーチは2曲目の後半でねじれるサイケデリック・ギターで空間を引き裂いたり、スヴェンソンはドローン的に楽曲の底部を支えるなど、3人のサポートに徹している印象です。
3人だけの演奏に多少なり変化を加える役割といえるかもしれません。

全体的には以前にもまして禁欲的/ミニマルな質感の強い作品に仕上がっています。
しかしながら、ミニマルに徹する一方で人力に由来する有機性が強く現れ、マッチョ的/フィジカルな男臭い雰囲気もあり、ファンクなどのグルーヴ・ミュージック的な側面も微妙に含んだ懐の深い作品でもありますね。
ジャズはもちろん、ミニマルや即興、サイケなどのファンもチェックすべき力作だと思います。

おそらくはオーケストラ活動の反動的なものだと思われますので、そちらの方もまたチェックしてみないとな。


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