The Pretty Things "S.F. Sorrow"

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Artist: The Pretty Things
Album: "S.F. Sorrow"
Label: Columbia
Year: 1968

Tracklist
01. S.F. Sorrow Is Born (3:13)
02. Bracelets of Fingers (3:41)
03. She Says Good Morning (3:24)
04. Private Sorrow (3:52)
05. Balloon Burning (3:51)
06. Death (3:06)
07. Baron Saturday (4:01)
08. The Journey (2:46)
09. I See You (3:56)
10. Well of Destiny (1:49)
11. Trust (2:50)
12. Old Man Going (3:10)
13. Loneliest Person (1:30)


UKのロックバンドThe Pretty Thingsが1968年に発表した作品。
初期は荒々しいガレージR&Bなサウンドで、ストーンズ以上のワルなイメージで売っていた彼らですが(ギタリストのディック・テイラーはストーンズ以前にジャガー/リチャーズとバンドを組んでいたみたいです)、3rd"Emotions"で当時流行のサイケデリックな方向へ大きく舵を取りました。

続く今作でも、そういったサウンド志向は継続されています。
中近東的な旋律、えげつなく下品なファズギターのサウンド、クラシカルなブラスやメロトロンの導入、シタールなどの特殊な楽器の使用などお手本のようなサイケ要素が散りばめられておりサイケファンの心を巧みにくすぐってくれるうえ、楽曲ごと、あるいは楽曲内ですらテンションが乱高下する様には、この手の作品特有のインスタントな狂気を感じ取ることができます。
いわゆるUK的なサイケ・ポップ愛好家にはどストライクなサウンドでしょう。

しかしながら、彼ら自身がビートルズやストーンズ、あるいはキンクスやフーのような名声を手にすることができなかったのと同様に、今作は当時全く売れなかったようです。
そのせいもありアメリカでの発売は延期され、およそ8か月後に本来のEMI系列でなくモータウン系列のRare Earthというレーベルから発表されることとなったのですが、このことが現在の本作品に対する誤った評価の大きな原因となったのではないかと推測されます。

何が問題だったかといいますと、本作がいわゆるコンセプト・アルバムの最初期の一例であったうえ、その中でも特にストーリー性を強調したサブジャンルであるロックオペラの、最も早い事例であったことです。
ロックオペラの金字塔としては、何をおいてもまずフーの"Tommy"(次がキンクスの"The Kinks Are Village Green Preservation Society"か"Arthur"あたりでしょうか)が挙がりますが、"Tommy"が69年の5月に発表であったのに対し、こちらは(UKでは)68年の12月に発表されています。
ピート・タウンゼンドも本作を非常に熱心に聴いていた、という話を聞きますし、何よりも彼が"Tommy"を制作している最中に発表されていますので、おそらくロックオペラの金字塔として不動の評価を得ている"Tommy"の影にはこの作品からの影響が息づいているのではないかと思います。(ピートは否定しているようですが)

しかし、当時のレコード産業において最も大きなマーケットであったアメリカにおいて、本作は"Tommy"よりも後の69年8月に発表されることとなってしまいました。
たった数ヶ月の差なので、録音時期を考えればそうでないことは明白なのですが、アメリカでは本作は「"Tommy"の二番煎じ」的な印象を持たれ、殆ど黙殺と言っていいような低評価に甘んじることとなりました。

ヴォーカリストのフィル・メイ考案の「孤独な男S.F.ソロウの人生を描く」というストーリーは、時に美しく、特にダーティで、そしてまた時には弾けるほどにポップな楽曲群によりその紆余曲折を語られ、ラストの短い弾き語り曲'Lonliest Person'で静かに幕を閉じます。
正直歌詞が分からなくてもサウンドとメロディーだけでもストーリー性が感じられ、アルバム自体が非常に良く練られた構成になっているのは明白です。
要は、本作は時代性や本当の意味で「初の」ロックオペラであるという事実を差し引いても十二分に魅力的な作品であり、当時の低評価は完全に誤りであったということです。(再評価されているとはいえ、正直なところ今も不十分だとは思いますが…)
これについては聴けば分かってもらえると思います。そう言い切れるくらいに質の高い作品です。
サイケや60年代のロックを愛するなら、聴かなきゃ損!ですよ!


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