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Spangle call Lilli line "ghost is dead"

scll-gid.jpg


Artist: Spangle call Lilli line
Album: "ghost is dead"
Label: felicity
Year: 2015

Tracklist
01. azure (5:09)
02. echoes of S (3:55)
03. ghost in a closet (3:34)
04. escort & landing (5:05)
05. feel uneasy (5:27)
06. dawn draw near (1:05)
07. iris (5:58)
08. evoke (5:26)
09. anthology of time (3:26)
10. constellation (4:58)
11. sogna (4:10)


正直なところ、2010年以降のSpangle call Lilli lineの活動については、個人的に完全な『迷走』だと思っていました。
2010年当時、シングル"dreamer"の後に発表された2作のうち、"VIEW"ではある程度作数を重ねてきたミュージシャン/バンドが陥りがちな『原点回帰』や『自分探し』に嵌っていたように思いましたし、あるいは"forest at the head of river"ではtoeの美濃隆章をプロデューサーに迎えるということで"VIEW"とは逆に、今までと違うアプローチを試みているのは分かりましたが、美濃氏には失礼ながらも、その人選自体が微妙に予定調和な気がしてしまって「なんだかなぁ」という思いが強かったのを覚えています。(その割に"forest..."はそこそこ気に入って結構聴いていましたが)

続く2011年には、どうにもSCLLらしくないギターロック/オルタナなEP"New Season"と、過去曲のピアノアレンジ集"Piano Lesson"を出したものの、正直一リスナーとしては彼らのしたいことが全然見えてこなくて、「もうこの人達はあまりSCLLで新作を発表するつもりがないのではないか」なんて心配したものです。
そんな思いがあった故か、私自身、ギター2人が09年にリリースした点と線 "ten to sen"のレヴューの中で、そこに現れた音を彼らにとっての『結論』『完成形』なんて言ってしまっています。(汗)

しかしながら、彼らが4年(オリジナルアルバムとしては5年)の沈黙を破って突如発表した新作"ghost is dead"を聴いてその印象が全くの間違いであったことに気が付かされました。
それどころか、SCLLは08年の"ISOLATION""PURPLE"以降も試行錯誤を繰り返し、彼ららしいマイペースではありながら、しかし着実に自分たちの進むべき道を探していたのです。

新作を一聴してまず思ったのは、彼らのディスコグラフィの中でも特に風変わりな05年作"Trace"に似たような感覚があることです。
キラキラとしたサンシャインなポップを見せた"Trace"とはサウンド的には正反対でありながらも、同様の風通しの良さを持ち、そしてどことなくブラックミュージックの影響を感じさせる作風がそのように感じさせるのかとも思いましたが、音楽レヴューサイトMikikiでのインタヴューの中で、今回のプロデュースを"Trace"の時と同じ神田朋樹氏にお願いしたという発言があって更に納得がいきました。
アルバムの制作自体もフレーズのニマルな反復と、神田氏とのやりとりの中で行われたポストプロダクションを中心として進んでいった模様ですし、それが"Trace"で見られたブラックネスの導入やすっきりと整理された音の印象との共通項を作っているのだと思います。

特に「音の整理」という部分については今作の目玉とでも言うべき要素でして、今までのSCLLはどちらかというと様々な素材を多層的にレイヤーしていくことで豊かなサウンドスケープを作り上げることを得意としておりましたが、今回はむしろ音を整理して無駄なものを削ぎ落とすことでアルバムを作っていったようです。
そのおかげか、全体を通してベース&ドラムというリズム隊が強調されてアンサンブルの躍動感が押し出され、今までのSCLLにでは希薄だった『バンドとしての肉体性』みたいなものが強く感じられる作品に仕上がっているように思います。

そしてそこには彼らの根源的な影響源でもある80年代ニューウェーヴ的なシンセの音像や、Voの大坪がソロ作でも志向し、今回のインタヴューでも触れられているPortisheadを筆頭とするブリストル・サウンド的な隙間とダダイズムの美学、ギター2人が点と線で試した対位法/ポリフォニックな旋律構築が投影され、今までのSCLLサウンドを総決算するとともに、それがとても客観的に、非常によくデザインされた形で提示されているのです。

そう考えると、2010年/2011年の諸作は彼らが自身の音楽性を、それを特徴付ける要素ごとに強調/排除していくことで客観的に分析していく過程の経過報告であったと捉えることができるようになります。

"dreamer"では『大坪の歌詞』を排除すること
"VIEW"では出世作である2nd"Nanae"のプロデューサーを迎えて『彼らの根本的なスタイル』を改めて強調すること
"forest..."では美濃氏を迎えることで彼らが主としてカテゴライズされている『ポスト・ロック的な部分』を強調すること
"New Season"ではあえてのギターロックをやってみることで"VIEW"とは逆に『根本的なスタイル』を排除すること
"Piano Lesson"では過去曲をピアノ中心にリアレンジすることで彼らの『メロディセンス』を強調すること

こうやってみると、彼らが1枚のシングル、2枚のアルバム、2枚のEPで着実に自身の音楽性を分析していったことが分かります。
そしてその歩みがあったからこそ、本作"ghost is dead"は彼らのディスコグラフィの中での新たなピークとして、傑作と呼ばれるに相応しい作品に仕上がったのだと思います。

さらに、今作が生まれたことで2010年/2011年の5作を新たな視点で聴き直すことができるようになりました。
そして今作という『結論』を得た後で聴くそれらの作品は、すべて一つの事実を物語っています。
『彼らは今まで一度たりとも間違えたことも迷ったこともなかった』ということを。


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