Captain Beefheart & The Magic Band "Shiny Beast (Bat Chain Puller)"

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Artist: Captain Beefheart & The Magic Band
Album: "Shiny Beast (Bat Chain Puller)"
Label: Warner Bros
Year: 1978

Tracklist
01. The Floppy Boot Stomp (3:51)
02. Tropical Hot Dog Night (4:48)
03. Ice Rose (3:37)
04. Harry Irene (3:42)
05. You Know You're a Man (3:14)
06. Bat Chain Puller (5:27)
07. When I See Mommy I Feel Like a Mummy (5:03)
08. Owed t'Alex (4:06)
09. Candle Mambo (3:24)
10. Love Lies (5:03)
11. Suction Prints (4:25)
12. Apes-Ma (0:40)

「ビーフハートと言えば"Trout Mask Replica"」という言説は現在では非常に一般的なものであると思われます。

勿論、私含めファンの方々からすれば

「いや"Safe as Milk"が原点にして最高だよ」
「いやいやギットギトのアシッド・ブルース"Mirror Man (Sessions)"の方が」
"Trout..."の方法論を踏襲しよりポップな"Lick My Decals Off, Baby"が」
「いやいやポストパンク全盛の時代に隊長の実力を改めて示した"Doc at the Radar Station"が」
「いやいやもろサザンロックな"Unconditionally Guaranteed"が」

とまあ色々な意見があるのは分かっております(最後は隊長ファンの中でもちょっとマイノリティな気がしますが汗)。
しかし、やはりあまり隊長に興味を持たない人がとりあえずでチョイスするのに"Trout..."が多いこと、そしてビーフハートの名前が雑誌で取り上げられるときには必ずこの作品に関する情報が述べられることを考えると、「一般」にはまだまだこの言説が有効、というよりはこの言説でしか語られない部分があるのは疑いようのない事実です。

この事実はまさに、あの作品がロック、ひいてはポピュラーミュージックの世界に与えた「トラウマ」が如何に大きなものであったのかを如実に物語っていると言えます。そして、最初に"Trout..."を聴いてトラウマとなり、それっきり…と言う人は非常に多いのです。実際、私の周りでも隊長の名前を出すと「意味が分からない」という返答しか帰ってきません。これはちょっと悲しすぎるんじゃないでしょうか。12枚も質の高いアルバムを残しておきながら"Trout..."のみで語られるなんて。

今回紹介する"Shiny Beast (Bat Chain Puller)"ですが、私は"Trout..."が駄目だったという人には必ず薦めるようにしています。理由は「"Trout..."のポリリズミックなアヴァンさと、ポップネスの見事な共存が達成されているから」です。

74年の"Bluejeans & Moonbeams"の後、隊長は一旦自分の音楽作品制作を中止し、実家に帰った模様です。"Bluejeans & Moonbeams"とその前の"Unconditionally Guaranteed"はバンド解散がほぼ確定した中で作られたものであり、今までの作品に見られるような実験的な試みはあまり見られず、オーソドックスなサザンロックといった形に落ち着いていました。肩の力が抜けているとも言えますが、この時点ですでに隊長にやる気がなくなっていたことは否定出来ないでしょう。勿論、私はこの二作大好きなのですが、それは別のお話。

そしてそれを見かねたザッパに誘われ、マザーズとともにライヴを敢行。75年には"Bongo Fury"というライヴアルバムを二人とマザーズの連名で発表しています。

これによりやる気を取り戻したのか、隊長は"Trout..."以来久々のザッパプロデュースの下、一つの作品を録音します。それがこの"Shiny Beast"の副題ともなっている"Bat Chain Puller"でした。

しかし、レーベルとの権利問題が発生してしまい、この作品はお蔵入りとなってしまいます。ここに収録されていたマテリアルの一部を再録音し、新曲を付け加えたものがこの"Shiny Beast"なのです。ちなみに、この後の二作"Doc at the Radar Station""Ice Cream for Crow"にも"Bat Chain Puller"のマテリアルは再録音の上、収められています。

音の方は先程も述べましたように「ポリリズミックなアヴァンさとポップネスの共存」が特徴的な作品です。ポリリズミックな部分は当然"Trout..."などの経験から得られたものでしょうが、それに「ポップネス」を並置し得たのは"The Spotlight Kid"から"Bluejeens & Moonbeams"における肩の力を抜いた、ある意味自然体での作品作りを覚えた結果では、と思っています。

そう、ここに収録されている曲は「ポップ」なのです。勿論、天下の隊長ですから、一筋縄ではいかないものではありますが、それでも難解なところはあまりなく、かなりストレートに楽しむことができる作品となっています。"Trout..."のトラウマを解消すると同時に、隊長のひねくれながらもポップな側面を堪能できる、最初に"Trout..."を選んでしまった人の二枚目の選択としては最適ではないかと思うのです。



Shiny Beast (Bat Chain Puller) (Hk)Shiny Beast (Bat Chain Puller) (Hk)
(2006/09/05)
Captain Beefheart

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