Kenneth Kirschner "Compressions & Rarefactions"

Artist: Kenneth Kirschner
Album: "Compressions & Rarefactions"
Label: 12K
Year: 2015
Tracklist (CD Edition)
01. September 13, 2012 (29:20)
02. April 16, 2013 (24:40)
USのサウンド・アーティスト ケネス・カーシュナーが今年の7月に発表した新作。
『Compressions(圧縮)』と題されたCDには20分超の2曲が収められている他、12Kから直接購入すると『Rarefactions(希薄化)』と題された3曲の追加トラック(いずれも1時間半超えという長大なトラック)をDLすることができるようになります。
アルバム・タイトルは「音」そのものの生成過程(空気の圧縮と希薄化の波により音は発生します)を現したものであると同時に、楽曲の性質を現したものといえるでしょう。『圧縮』には短めの(とはいっても20分超ですけど 笑)、『希薄化』には1時間以上のトラックを収録した形ですね。
先述の通りCDには2曲が収められています。
1曲目'September 13, 2012'は引きつるような音響(ストリングスかな?)が浮かんでは消えていく中、点描のようにピアノなどの音がドロップされる曲、続く2曲目'April 16, 2013'は先程とは打って変わってベルやグロッケンシュピール、シロフォンの音が絶え間なく絡み続ける楽曲となっています。
聴感上でも明らかではありますが、音が減衰していく過程に耳がいく静謐な1曲目、複数のキラキラとした打楽器音が倍音を生み出しながらファンタスティックに空間を満たしていく躍動的な2曲目という対照的な作風になっているように思います。
特に2曲目は、その構造上/楽器編成上の性質からミニマルな要素が聴取しやすく、この作家としては非常に分かりやすい類の作品であると言えると思います。
ある意味、イージーリスニングなエレクトロニカの延長線上としても聴けてしまいそうなくらい美しい楽曲です。
また、1曲目の方も各楽音がやや不安定な和声関係を結ぶことで隔世の感のある美しさを孕んでおります。
こちらはかなり「らしい」作風です。先日仕事で東京出張した際、帰りにモノレールの中で聴くと都会の夕暮の光景にとてもマッチしていてひどく感動を覚えました。
出た当時は気分にのらなくてあまり再生することがなかったのですが、この秋~冬の空気が非常に似合う作品であると思います。
あと、DL楽曲についてはその長さのせいもあってまだまだ聴き込めておりません(汗)
いずれ追記できれば、と考えております。
個人的には1時間という時間で聴けるCDの方がどうしても再生回数が増えてしまうのですが(笑)
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