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Andrew Hill "Judgment!"

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Artist: Andrew Hill
Album: "Judgment!"
Label: Blue Note
Year: 1964

Tracklist
01. Siete Ocho (8:56)
02. Flea Flop (7:18)
03. Yokada Yokada (5:16)
04. Alfred (7:02)
05. Judgment (6:53)
06. Reconciliation (7:22)


ゴールデンウィークも終わり、短かった春があっという間に過ぎてしまったように感じられる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
長い冬が終わり、やっと暖かくなってきた…とホッとしたのも束の間、日中はじりじりとした日光のせいで汗ばむことも多くなってきてますが、こんなときにはクールな音楽を聴いて涼を取りたいものです。

今回紹介する、アンドリュー・ヒル"Judgment!"はまさにそういった要望に応えてくれる作品なのではないかと思います。
ちょっと応え過ぎな部分も見受けられますが(笑)

さて、ヒルはジャズ愛好家ならご存知だと思いますが、ウェイン・ショーターやハービー・ハンコックらいわゆる新主流派と呼ばれるジャズが(主にブルーノート内で)隆盛を極めるのに合わせるかのように頭目を表してきたピアニストで、その陰にはレーベルオーナーであるアルフレッド・ライオンの強力な後押しがあったことで知られています。
なにせBN第1作の"Black Fire"の録音以降の3ヶ月で、3枚分のアルバムの録音をしてしまってるわけですから、ライオンの力の入れようも推して知るべしといった感じではないかと思います。

今作"Judgment!"はその最後のセッションを作品化したものですが、2ndセッションからの作品である"Smoke Stack"の発表がやや遅れた(1966年になってようやく陽の目を見た)ため、発表順的には彼の2ndアルバムということになります。

脇を固めるのはヴィブラフォンのボビー・ハッチャーソン、ベースのリチャード・デイヴィス、ドラマーはエルヴィン・ジョーンズといった布陣になっています。
前2者はこのセッションのすぐ後(翌月)にエリック・ドルフィーの"Out to Lunch"セッションに参加していますし、エルヴィン・ジョーンズは当時のジョン・コルトレーンのカルテット一員ということで、当時のジャズ界の中でもとりわけアーティスティックなメンバーが集められているのがよく分かります。

楽曲は全てヒルの作曲によるもので、全体的にはかなりアブストラクトな印象です。
1、3曲目のような(彼にしては比較的)分かりやすいテーマと各人のソロにより構成される楽曲でもその空気感が強く感じられます。
ヒルの楽曲や演奏自体が単純なメジャー/マイナーに依らない、当時の新主流派ジャズにも通底するような調性にこだわらないものであることがもっとも根本的ではありますが、各人のソロの間他のメンバーが完全に伴奏に徹するのでなく、互いを挑発し合い、高め合うようなインタープレイを重視して演奏していることも大きな原因なのではないかと思います。

特にそれが顕著なのは、レーベルオーナーのファーストネームを冠した4曲目'Alfred'ではないでしょうか。
テーマの提示すらなく、7分間の静謐なインタープレイ/即興にそのままタイトルを付けただけにも思えるこの曲の透き通った美しさは筆舌に尽くしがたいものがあります。
ぐねぐねと動きながらもモノトーンな感覚を湛え続けるデイヴィスのベースと、ハッチャーソンによるメタリックで冷ややかな質感のヴィブラフォンが、ヒルのピアノと有機的に絡むことで、彼の個性がより一層際立っているように感じられるのです。
なお、エルヴィン・ジョーンズは曲によりいつもの爆裂ドラミングを聴かせてくれますが、この3者の演奏と併せて聴くと、そこには熱気ではなく殺気のような緊張感がみなぎっているように思えてきますね。

このアブストラクト/シュールな感覚、そしてインタープレイを重視したバンドのディレクションについては、現代のヴィジェイ・アイヤージェイソン・モランなどのトンガッたピアニストに間違いなく受け継がれています。
当時はお世辞にもヒットしたとは言えなかった彼の作品ですが、ここで蒔かれた芽はジャズ・シーンの深部にまで根付いたと言えるのかもしれません。





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No title

vuoy様 こんにちは

アンドリュー・ヒルは
ゴツゴツした歪さが魅力だと思っていましたが
この曲だけ抜き出して聴いてみると、
とてもスマートで美しく感じました。

ヴィヴラフォンも気まぐれな風鈴の様で
確かに涼を求めるのに最適かもしれませんね。

Re: No title

>> GAOHEWGIIさん

こんばんは。
彼の作品は他に"Point of Departure"、"Compulsion!"、"Grass Roots"と聴きましたが、
今のところ一番聴くのはコレです。

ピアノとヴァイブスが前面にでることで、音響的にも引き締まった印象がありますし、
ハッチャーソンの参加は大正解だったと思いますね。

彼独特の無調でありながらドロドロとした旋律/和声が、
硬質で透き通った響きの中で独特のメロウさを獲得しているように感じました。
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