iLLuHa "Akari"

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Artist: iLLuHa
Album: "Akari"
Label: 12K
Year: 2014

Tracklist
01. Diagrams of The Physical Interpretation of Resonance (17:12)
02. Vertical Staves of Line Drawings and Pointillism (12:11)
03. The Relationship of Gravity to The Persistence of Sound (12:45)
04. Structures Based on The Plasticity of Sphere Surface Tension (7:39)
05. Requiem for Relative Hyperbolas of Amplified and Decaying Waveforms (8:56)


伊達トモヨシとコリィ・フラーという日本在住の2人によるアンビエント・ユニットiLLuHaの音楽には、常に硬質な音響が寄り添っています。
それはメタリックな冷ややかさを持ちながら楽曲の空気を強く決定しますが、決して無機質なものでなく、音そのものの持つ冷ややかさとは正反対の、滲むような温かさを空気中に浸透させます。

2011年のデビュー・アルバム"Shizuku"(同じく12Kより。こちらも名作)は、録音~エディットに4年もの歳月をかけたこともあり、明確なコンポジションを感じさせる作品でありました。
硬質な音響の上を漂うピアノやギター、フィールドレコーディングなどの様々な音を非常に大切に、繊細に取り扱いながら、これ以上もなく美しい位置に配置した前作は教会での録音ということもあってかポストクラシカルにも通底するような湿り気のある(しかしドライ=感情に深入りしすぎない)叙情性を持っていました。

それから3年、2013年のライヴ・エディット作品"Interstices"を挟んで発表された今作"Akari"は、前作とは対照的に、とりとめのない音の群れが空気中に滲んでいくような、なんとも密やかなアンビエンスを感じさせる作品に仕上がっています。

明確なコンポジションがあった前作とは反対に、今作での演奏はむしろ即興性の強いものであることは聴いてすぐに分かると思います。
前作同様、多種多様な作品やフィールドレコーディングから各楽曲は構成されていますが、前作のように2人の作曲者としての意思を感じさせる瞬間は殆どなく、音は常に他の音と無関係に存在するかのように鳴らされています。
この音の群れを聴いて、個人的にぼんやりと思い浮かべたのはオーレン・アンバーチの"Grapes from the Estate"デヴィッド・グラブス、あるいはBlue Note脱退直前のウェイン・ショーターの作品でした。

これらの作品に共通するのは、音と音の「間」を重視した作風というところではないかと思います。
音が生じ、減衰していく間の残響と無音との境界こそが美しいといいますか、その「境界」の中に美的なニュアンスが滲んでいるような感覚があるのです。
こういった音楽の場合、メロディや和声よりもむしろ、音の濃淡こそが魅力を放つのであり、その様はまさに水墨画的と言うことができます。(思えばジャケットもそれっぽい)

多くの楽器を使っていながら楽曲の色彩は常に(水墨画のように)モノトーンでありますが、では少ない楽器でこの空気感が表現できるかというと難しいでしょう。
やはり多種多様な音が関係性を結ばない(あるいは結んだとしても極めて希薄である)ことから、音そのものの濃淡のニュアンスが生まれているのではないかと思います。
このような音楽性は2人が日本育ちであることに起因する部分も少なからずあるのだとは思いますが、単純な生まれ育ちの問題だけでなく、彼らの「音を大切に扱う」姿勢がこのような作風に結実した、と思いたいですね。

春先の発表ではありましたが、むしろ今からの時期に似合いそうな作品です。






AkariAkari
(2014/03/18)
Illuha

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No title

vuoy様 こんばんは

このプチプチ入るノイズはフィールド・レコーディングのせいなのでしょうか。
川の音や鳥の声が遠くから聞こえてくるので
深夜に聴くとほっとします。

日本出身ということで、
鐘の音の余韻のようなキーボードが印象に残りました。

これは欲しい・・・買います。

Re: No title

>> GAOHEWGIIさん

こんばんは。
おそらくノイズはフィールドレコーディングだと思います。
音の関係性が希薄なので、そういったノイズもしっかり楽曲の中に取り込まれているように思えますね。

前作はより流麗で美しい作品です。CDは完売のようですが、
デジタルフォーマットでは手に入ると思いますので、ぜひ。

今作については、レーベルからの直販であれば、
ジャケットと同様の作品の美麗ポストカード付きのヴァージョンも
売ってますので、そちらから入手されるのも良いと思います。
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