PARA "CURRICULUM"

Artist: PARA
Album: "CURRICULUM"
Label: Sublime Records
Year: 2008
Tracklist
01. JACK (9:47)
02. CORINTO (8:06)
03. M/O (11:25)
04. PALMET (9:40)
05. EURA (8:04)
前回から開始しております山本精一強化期間。
続きましては幾何学ミニマルグルーヴユニットPARAの2ndを紹介したいと思います。
(以前1st"X-GAME"を紹介しました)
このユニットは短いモチーフの反復により楽曲を演奏することを目的としたユニットです。
まるで80年代のKing Crimsonの如き幾何学的なフレーズが無機質に反復され、独特のグルーヴを生み出していきますが、演奏している本人たちからすれば「何も楽しくない」とのことです(笑)
また、クリムゾンを引き合いには出しましたが、緊張感というものは微塵もなく、愛らしいシンセやギターのサウンドが醸す世界観は非常にポップで、どこか牧歌的とも言いたくなるようなゆったりとした感覚があります。
2ndとして発表された本作でもその方向性は揺らいでおらず、むしろ1st以上にストイックになったのではないかとすら思えます。
1stでは、まだ微妙にミニマル以外の部分にフォーカスすることがありました。例えば'Systrum'では明らかにシンセサイザーが充満させる音響などにはアンビエント的な要素を聴き取れますし、この曲では反復するフレーズそのものもぼんやりとしていました。
ところが今作ではそのような音響や空気感に逃げ込むことは全くなしに、明快なフレーズをひたすら反復しています。
(誤解のないように言いますが、'Systrum'は私がPARAで一番好きな楽曲です)
本当に休む間もないというか、本人たちはただ機械に徹し、各々のプレイアビリティを表出させることは一切ありません。
自分が演奏することを考えただけでもちょっと嫌な気分になります(笑)
しかし、このひたすらな反復が聴く者の感覚を弛緩/酩酊させることは間違いありません。
その性質は今作において1st以上に厳格に、また強力に現れています。
音響的な情報は一切考慮に入れず、ひたすら音韻構造だけを打ち出すこのユニットの音楽性の、一旦の完成形と言っても過言ではないでしょう。
事実、山本はこのユニットの音について「CDが完成形で、ライヴではCDの完全再現が第一の目的となる」というような発言を残しているようです。
ROVOやソロ名義の諸作、あるいは前回紹介したChaos Jockeyとは、同じ反復要素を持っていても全くベクトルが違うということは、彼の音楽性の広さ/深さを如実に語っているように思えます。
すでに発表から6年が経ってしまいましたが、3rdは出るのかなぁ…ライヴはちょろちょろしてるみたいですけど。
動画が見つからなかったので、2010年のライヴをどうぞ。
![]() | CURRICULUM (2008/07/23) PARA 商品詳細を見る |
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コメントの投稿
No title
vuoy様 こんにちは
>自分が演奏することを考えただけでもちょっと嫌な気分になります(笑)
これは確かにつらそうな曲ですね。
>しかし、このひたすらな反復が聴く者の感覚を弛緩/酩酊させることは間違いありません。
ライヴで聴いたら反響の具合によっては更に威力を発揮するかも。
酩酊させつつもジャムのような熱気は残っているのがミソですね。
>自分が演奏することを考えただけでもちょっと嫌な気分になります(笑)
これは確かにつらそうな曲ですね。
>しかし、このひたすらな反復が聴く者の感覚を弛緩/酩酊させることは間違いありません。
ライヴで聴いたら反響の具合によっては更に威力を発揮するかも。
酩酊させつつもジャムのような熱気は残っているのがミソですね。
Re: No title
>> GAOHEWGIIさん
こんばんは。
1stのときはもう少し人間味があったのですが、今作ではほんとにメカニカルにやっていて、同情してしまいます(笑)
>ジャムのような熱気
なんとなく分かります。
私的にはなんとなく「フュージョンっぽさ」を感じるんですよね。
ライヴは確かに見てみたい!
こんばんは。
1stのときはもう少し人間味があったのですが、今作ではほんとにメカニカルにやっていて、同情してしまいます(笑)
>ジャムのような熱気
なんとなく分かります。
私的にはなんとなく「フュージョンっぽさ」を感じるんですよね。
ライヴは確かに見てみたい!