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Heldon "Interface"

heldon.jpg

Artist: Heldon
Album: "Interface"
Label: Cobra
Year: 1978

Tracklist
01. Les Soucoupes Volantes Vertes (2:26)
02. Jet Girl (9:49)
03. Le Retour des Soucoupes Volantes (2:21)
04. Bal-A-Fou (7:22)
05. Le Fils des Soucoupes Volantes [Vertes] (1:47)
06. Interface (19:02)


60年代後半あたりから、ロックの世界においても即興演奏がクローズアップされるようになります。
その動きに先鞭を付けたのは勿論ジミ・ヘンドリックスであり、UKにて勃興したアート・ロック/ハード・ロックのバンドであり、そしてプログレッシヴ・ロックひいてはKing Crimsonでした。

ことクリムゾンに関して言えば、ブートさながらの音質で爆走するライヴ作品"Earthbound"後に一旦沈黙(解散)した後の活動では、同時代のどのロック・グループよりも即興演奏に重きを置いていたのは間違いありません。

この時期のクリムゾンの、お互いの音を傾聴しながら緊張感ある音を連ねていく即興演奏には明らかに同郷のデレク・ベイリーからの影響を見て取れますし、事実第3期クリムゾン(Line-Up 3)の第一歩となった"Lark's Tongues in Aspic"ではベイリー及びエヴァン・パーカーらによる『ミュージック・インプロヴィゼーション・カンパニー』に参加した経験もあるパーカッショニスト ジェイミー・ミューアがメンバーに加わっていたという事実も、この時期のフリップが即興演奏の可能性についていかに探求していたかを証明するのではないかと思います。

そして、先日オーレン・アンバーチとのデュオ作について紹介した、リシャール・ピナス率いるフランスのロック・ユニットHeldonこそ、この時期のクリムゾンに多大な影響を受け、そしてその方法論をより推し進めたバンドだと言えます。

アンバーチとの共作でも触れましたが、彼がフリップに強い影響(崇拝に近いレヴェルで)を受けたのはHeldonの2nd"Allez Teia"の冒頭を飾る楽曲に冠された'In the Wake of King Fripp'というあからさまなタイトルを見ても明らかです。(フリップの名を冠するのは勿論、タイトルそのものもクリムゾンの2nd"In the Wake of Poseidon"のもじり)
その影響はギターのプレイスタイルにも見て取れ、重々しいディストーションによるロングトーンを揺らし、フィードバックノイズをまき散らしながら進んでいくその様から、「フリップのエピゴーネン」というあまりありがたくない通名を与えられたこともあるようです。

エピゴーネン、という表現からも予想されるとおり、この時期のピナスのギターはフリップらしさを随所に散りばめていながらもそこから脱することはできていないように思えます。
正直、このギターだけなら本家クリムゾンを聴いたほうが…(笑)

しかし、Heldonの先鋭性/魅力はそんなところではありません。
彼らはプログレッシヴ・ロックに分類されると同時に、ノイズやインダストリアルなどにも言及されるほど、電子音を自分たちの音楽に取り入れることで、即興演奏に新たな可能性を提示したと言えます。

楽曲の根幹をなすのはピナスのギターではなく、シーケンサーによる冷徹で無機質なミニマル・ビートです。
このような音楽の場合、有機的な変化(=ぶれ/揺らぎ)の可能性を根本の部分で有さないシーケンサー・ビートをどう扱うかということがまずもっての問題となるかと思います。
人の手による演奏が関わる音楽において、何よりも他との差別化をはかる要素になるのはやはり演奏者独特の揺らぎなわけですが、ただ機械的に反復するビートに合わせて演奏するだけでは歌でいうところのカラオケと何も変わりません。いわゆる「魂」のこもってない、ただの音の垂れ流しになってしまうのです。

その問題をクリアし、さらに新たな即興演奏の可能性を提示するという離れ業をやってのけたのは当時「シーケンサーと共演できる唯一のドラマー」とまで賞賛されたフランシス・オージェであり、後期Heldonの音楽性の根幹は彼にあると言っても過言ではありません。
彼のドラミングは、拍子を自由自在に(有機的に)分解しながらシーケンサーの機械的で均一なミニマル・ビートと対立し、そこに緩急を与えることでミニマル・ビート単体では成し得ないようなグルーヴを生成していきます。
先述した「カラオケ」のような演奏が、シーケンサーと共演というよりはむしろ支配されきった演奏であるとするならば、彼の演奏は逆にシーケンサーを支配し、即興的にスピードを調節することで、無機質なビートに新たな意味を付与し続けているということができるでしょう。
Magmaへの参加経験のある鍵盤奏者パトリック・ゴーシェも彼に追随するような形で様々な装飾的な電子音を楽曲に盛り込み、シーケンサーの単一なビートを聴き手に感じ取らせるようなことはしません。

ピナスはゴーシェとともにムーグを演奏したりもしますが、彼の本分はやはりギターですので、彼らが創りだした、「無機質なビートを有機的に作り替えたグルーヴ」の上で伸び伸びと好き放題演奏しています。ミニマル・ビートのもつどこか脅迫的な印象と彼の(フリップ譲りの)神経質なギターはとても相性がよく、オージェやゴーシェの知性を感じる演奏とは別に、シーケンサーの暴力性を強調しているように感じられます。
この矛盾する2つの演奏が、シーケンサー・ビートを対立軸として交錯することで彼らは「すでにあるもの(=プログラミングされたビート)を相手にした即興演奏」のあらゆる可能性を提示したのです。

ラストでは突如挿入されるロックンロール・リフには、フリップのエピゴーネンなんて評に対する彼なりの歯がゆい思いが見て取れるような気もします。自分のやっている音楽はフリップのそのままのコピーではない、ということをフリップが苦手とするブルースベースのリフを盛り込むことで主張した…ってのは考え過ぎでしょうか(笑)
そんなことしなくても十分に革新的だと思うのですけどね。

[2014/8/28追記]
イタリアではなくフランスのロックバンドであるとの指摘をいただいたため修正しました。
初歩的なミスで申し訳ありません。



CD化に際しタイトル曲(6曲目)前に収録された、同曲のライヴバージョン(パート2)




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(2012/05/25)
エルドン

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No title

vuoy様 こんばんは

昔プログレ専門店に勤めていた自分が訂正をば。

エルドンはフランスのバンドですよぉ。

それはともかく、エルドンはやっぱり、
あのクールな機械作業音と凶暴さが同居しているのがたまらないですね。



Re: No title

>>GAOHEWGIIさん

こんばんは。

>エルドンはフランスのバンドですよぉ。
うわ、申し訳ありません!
Magmaにしろそうなのですが、何度頭の中で「フランス」と上書きしたつもりでも、
ふとした拍子に「イタリア」って書いちゃうんですよね。
PFMだのArti E MestieriだのAREAだのはちゃんとイタリアと認識しているのに不思議です(汗)

おっしゃる通り、無機質さと暴力性の同居が魅力的なバンドだと思います。
次の"Stand By"はフリップナイズドされたギターが大々的にフィーチュアされている(とくに表題曲)ため、
ギタリストのカタルシスのようなものがやや強く、Heldonというバンドのベストとしてはこちらかな、と思っています。
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