Youssou N'Dour "The Guide (Wommat)"

41UkkCbkQxL.jpg


Artist: Youssou N'Dour
Album: "The Guide (Wommat)"
Label: Columbia
Year: 1994

Tracklist
01. Leaving (Dem) (5:03)
02. Old Man (Gorgui) (6:30)
03. Without A Smile (Same) (4:13)
04. Mame Bamba (4:58)
05. 7 Seconds (5:07)
06. How You Are (No Mele) (3:39)
07. Generations (Diamono) (5:46)
08. Tourista (4:37)
09. Undecided (Japoulo) (5:25)
10. Love One Another (Beuguente) (4:52)
11. Life (Adouna) (4:05)
12. My People (Samay Nit) (4:38)
13. Oh Boy (4:37)
14. Silence (Tango) (4:39)
15. Chimes Of Freedom (4:52)


いわゆるワールド・ミュージック/民族音楽というものは商業的なルートにのせることはできても、一定の成果(身も蓋もない言い方をしてしまえば「売上」)を残すのが難しいように思います。
もちろん、英米の音楽にはないエキゾチシズム漂うメロディやハーモニー、あるいは土着的なリズムやビートを求める向きは、熱心なリスナー達の間に確かに存在するわけですが、しかしそれはやはり「ニッチ」なものであることもまた、間違いのないことなのです。
そういった理由から、この手の音楽を世に問う際にはやはり「戦略」が重要視されてきたのだと思います。

では、よく見られる、オーソドックスな戦略とはどのようなものでしょうか。
それはもちろん、ロック等の既存のフォーマットをベースとし、ワールド・ミュージック的な要素を取り込むことが一番でしょう。Talking Headsなどに顕著ですが「それまでのロックになかった要素を世界中のプリミティヴな音楽に求め、換骨奪胎することによりロックそのものをアップデートする」…という文句は先鋭的/刺激的なものを好む傾向にあるリスナーには非常にアピールするでしょうし、あくまでベースは英米のロック/ポップスに置いてあるわけで、本場の、ややもすればどぎついものよりはずっと整理されており聴きやすいのですから、ある程度のヒットは望みやすいのでしょう。
しかし、それは結局のところ「民族音楽の魅力」が十全に理解された/受け入れられたとは言いがたいのは明白です。結局のところ民族音楽を「(英米向けに)翻訳しなければ通用しないキワモノ」として見ている、と言われても仕方のない部分があると思います。

セネガルの魅惑的なヴォーカリスト(兼パーカッショニスト)であるユッスー・ンドゥールは、その活動の舞台を自国から世界に移す際に、その辺りの「戦略」を非常にうまく設定しました。
そしてその最良の成果は、彼が94年に発表した"The Guide (Wommat)"にあるのではないかと思うのです。

彼の音楽の根底にあるのは、セネガルの民族音楽であるサバラです。
複数のパーカッションの織りなす高速ビートを基調としたポリリズムは、非常にアグレッシヴで力強く、確かに英米の音楽には見られないものです。
コレに加え、エレキギターの鋭いカッティングや、同じくパーカッシヴにアタックするベースなどにより、彼の音楽はビート・ミュージックとしての機能、そしてエキゾチシズムを強く持っています。

しかし、彼はこのアルバムをセルフ・プロデュースするにあたってそのビートをメロディやハーモニーで覆い隠し、ビートだけに耳が向かないような音作りを心がけたように思います。
ざっと聴いていただければ明白ですが、先に挙げたカッティングギター、ベース、パーカス以外の楽器(ギターの美しいコード・ストロークやホーン、シンセなど)が非常に幅を利かせたサウンドはむしろ、豊かなハーモニーと雄大で美しいメロディを強調しているように感じられます。(なにせ、もっとも強調されているのはンドゥールの美しい『声』なのですから!)
もちろん、ビートも完全に覆い隠されたわけではなく、その動きやパルスがメロディ/ハーモニーを支持/補助するような音量バランスは保たれています。生々しくうねるリズムがメロディ/ハーモニーにより一層の深みを与え、作品を自然かつ豊かなアフロ・『ポップ』として成立させているのです。

昨年の新譜の中でベストに選ばせていただいたJeri-Jeri(こちらもベースにあるのはサバラですね)と比較すると分かりやすいと思います。
先のレビューでも述べましたが、Jeri-Jeriに対するマーク・エルネストゥスの視点は非常に白人的で、「外の人間」だからこそのプロデュースだと思います。(だからこそ、あの作品はトンガッてて素晴らしいのですが)
逆に、この"The Guide (Wommat)"は、生粋のセネガル人であるンドゥールの考える、ありのままの「セネガル・ミュージック」の美しさ、豊かさが見事に表現されているのではないでしょうか。
ワールド・デビュー後は「薄くなった」と言われることも多いようですが、むしろ世界を相手にとった場合の、セネガルのポップ・ミュージックとしては、こちらの方があるべき姿なのかもしれません。






The Guide WommatThe Guide Wommat
(1997/02/06)
Youssou N'Dour

商品詳細を見る
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

vuoy

Author:vuoy
音楽好きです。
情報に間違いなどありましたらコメント欄で結構ですので気軽に連絡ください。
Last.fm
twitter

【注意事項】
まれに、当blogの記事をオークションの商品説明に引用またはURL貼付されているページを見ることがあります。
当blogの記事はあくまで個人の感想であり、ミュージシャン本人以外の利益に供する目的はありませんので、商用目的での無断引用/URL貼付はご遠慮願います。
どうしてもという場合には、twitterなどでご相談いただければ検討しますので何卒ご理解いただきますようよろしくお願いします。

アクセスカウンター
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
vuoy's Profile Page
Twitter
検索フォーム
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
音楽
272位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
洋楽
61位
アクセスランキングを見る>>
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR