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The Roots "Things Fall Apart"

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Artist: The Roots
Album: "Things Fall Apart"
Label: MCA
Year: 1999

Tracklist
01. Act Won (Things Fall Apart) (0:55)
02. Table of Contents (Parts 1 & 2) (3:37)
03. The Next Movement featuring DJ Jazzy Jeff & Jazzyfatnastees (4:10)
04. Step Into the Realm (2:50)
05. The Spark (3:52)
06. Dynamite! (4:46)
07. Without a Doubt featuring Lady B (4:13)
08. Ain't Sayin' Nothin' New featuring Dice Raw (4:34)
09. Double Trouble featuring Mos Def (5:50)
10. Act Too (The Love of My Life) featuring Common (4:55)
11. 100% Dundee (3:54)
12. Diedre vs. Dice featuring Dice Raw (0:47)
13. Adrenaline! featuring Dice Raw & Beanie Sigel (4:27)
14. 3rd Acts: ? vs. Scratch 2... Electric Boogaloo (0:52)
15. You Got Me featuring Erykah Badu & Eve (4:19)
16. Don't See Us featuring Dice Raw (4:30)
17. The Return To Innocence Lost (11:55/Hidden Track: Act Fore (The End?))

[Tracklist only for Japan]
17. The Return to Innocence Lost (5:40)
18. Still Out There (8:48/Hidden Track: Act Fore (The End?))


==2015/8/24の再レビューです==

1999年~2000年というのは、現代のR&B/ソウル、HIPHOPのターニングポイントであり、それと同時のある種の頂点であったように思います。

そのなによりの証拠であり、また、この時代、このシーンをR&B/ソウル側から最も強くリードしたのが、昨年華々しい復活を遂げたディアンジェロが2000年にドロップした傑作"Voodoo"であると言えますが、HIPHOP側ではどうであったかというと、フィラデルフィア出身のHIPHOPバンドThe Rootsが"Voodoo"に先んじて1999年にドロップした4thアルバム"Things Fall Apart"であるように思います。

この2作、そしてコモンの2000年作"Like Water for Chocolate"などを語る上で外せないのがソウルクエリアンズ(Soulquarians)というプロジェクトチームです。

DやThe Rootsのクエストラヴ、コモン、J Dilla(Jay-Dee)らをはじめとする錚々たるメンバーが集った音楽共同体であるソウルクエリアンズは90年代末~00年台初頭にかけ数作のプロデュース作品を残し、そしてその殆どをゴールド/プラチナムディスクに輝かせています。

先ほど、"Voodoo"を「R&B/ソウル側」、この"Things Fall Apart"を「HIPHOP側」と表現しましたが、実際のところ彼らの作る音楽にはそういった明確なジャンル分けは通用しません。
R&Bもソウルも、HIPHOPも、そしてファンクやジャズ、ブルーズに至るおよそ全てのブラックポップを視野に入れたその音楽は、そういった容易なジャンルへの回収を許さず、ただ純粋かつ強靭な「ブラック・ミュージック」として屹立しているのです。

そしてそれは同時に多様な方向性を持っています。
まるでスライの"暴動"にHIPHOPの催眠的なミニマル構造を注入し、現代的にアップデートしたかのような"Voodoo"は何よりも純粋なブラックグルーヴの追求の果てであったと言えるでしょうし、ナイジェリアの「黒い大統領」ことフェラ・クティへトリビュートしながらその息子フェミ・クティをゲストに呼び、ジェイムス・ブラウンをも引用した"Like Water for Chocolate"はブラックミュージックの歴史への多大なリスペクトでありました。
そして本作"Things Fall Apart"でソウルクエリアンズが目指したのは、HIPHOPを、そしてブラックミュージックをアートとしての域に昇華することであったのではないかと思います。

まず、曲目やアルバム全体の流れからは、この作品が非常にコンセプチュアルに構成されていることが見て取れます。
'Act Won(1)'、'Act Too(2)'、'3rd Act'をそれぞれの冒頭に冠した3部構成であることはすぐに分かりますし、楽曲はすべてシームレスに繋がれ、アルバム全体で一つの長大な楽曲であるかのような雰囲気を醸しています。

アルバムの前半~中盤を占める第1部(Act 1)は嵐のようなコラージュで幕を開け、あとはひたすらヒプノティックなグルーヴを反復するという内容ですが、その中にはジャジーな電子ピアノ(一部Dが担当)や、HIPHOPバンドでありながら初の導入であるスクラッチ、あるいはRUN D.M.Cのリリックの引用('Let the poppers pop, and the breakers break')などを含み、また、ブラック・ソートとマリク・Bという二人のラッパー(及びゲスト)のラップが時に重なり、時にポリリズミックに掛け合わされることで聴き手を幻惑させます。

第2部(Act 2)では冒頭'Act Too'におけるあまりにドラマティックで麗しいストリングスの導入や、'Adrenaline!'でのクラシカル/ゴシカルなピアノの反復や、それに被さるメロトロンのような音響が、たった数曲のパートを非常に印象深いものにしており、それは第3部(3rd Act)においてエリカ・バドゥをゲストに迎え、美しく爪弾かれるアコースティックギターをフィーチュアした'You Got Me'でクライマックスを迎え、また第1部のリプライズのように催眠的なパートへと戻っていきます。

非常によくまとめられ、1時間強の長さでありながら無駄な音は一つも見受けられません。
日本盤ボーナストラックですらアルバムの流れと調和しているように感じられます。(いきなりの「アリガトー!」にはちょっと面食らいますが汗)

ストイックにビートが反復されるものの、全体的にはむしろサイケデリックな様相を呈しており、コンセプチュアルなまとまりと相まってアルバム全体が何らかの寓話集であるかのようなイメージすら湧いてきます。
まさにプログレッシヴ・ロックなどに見られるような「アート志向」がアルバムの至るところから感じられますし、そしてそれは自身の思想に耽溺し、ややもすれば自己満足に陥る危険性も孕んだプログレのそれとは違い、やはり黒人としてのリアリティといいますか、とにかく地に足がついた上で志向されているものであることは一目(耳?)瞭然です。

ソウルクエリアンズというプロジェクトチームの最初の作品としてはこれ以上ないくらい素晴らしいものになったこと、そしてこの作品が"Voodoo"や"Like Water for Chocolate"とともにブラックミュージックシーンの至るところで種を蒔いたことは、(共同体は解散してしまったとはいえ)彼らを取り巻く現状が証明しているといえるでしょう。
そしてそれは、ひっそりとジャズ・シーンにまで根付き、10年代の今、ブラック・ミュージック界における大樹にまで成長し始めているといえるのかもしれません。





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