Zoltán Kocsis "Bartók: Works for Piano/バルトーク:ピアノ作品集"

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Artist: Zoltán Kocsis
Album: "Bartók: Works for Piano/バルトーク:ピアノ作品集"
Label: DENON
Year: 1975

Tracklist
01. Allegro Barbaro / 『野蛮なアレグロ』(2:31)
02-04. Three Rondos of Folk Tunes / 『民謡による3つのロンド』
 02. I - Andante (3:04)
 03. II - Vivacissimo (2:26)
 04. III - Allegro molto (2:36)
05-07. Three Hungarian Folk Tunes / 『3つのハンガリー民謡』
 05. I - Andante tranquillo rubato (0:56)
 06. II - Allegro non troppo un poco rubato (1:05)
 07. III - Maestoso (1:37)
08-11. Suite Op.14 / 『組曲 作品14』
 08. I - Allegretto (1:49)
 09. II - Scherzo (1:49)
 10. III - Allegro molto (2:09)
 11. IV - Sostenuto (2:55)
12-14. Piano Sonata / 『ピアノ・ソナタ』
 12. I - Allegro moderato (4:31)
 13. II - Sostenuto e pesante (4:12)
 14. III - Allegro molto (3:18)
15-20. Rumanian Folk Dances / 『ルーマニア民族舞曲』
 15. Jocul cu bâtā (1:03)
 16. Brâul (0:29)
 17. Peloc (1:01)
 18. Bucimeana (1:23)
 19. "Poarga" româneascá (0:27)
 20. Mānuntelul (0:48)
21-29. Old Dance Songs from "15 Hungarian Peasant Songs" / 『古い踊りの歌(『15のハンガリー農民の歌』より)』
 21. VII - Allegro (0:44)
 22. VIII - Allegretto (0:32)
 23. IX - Allegretto (0:14)
 24. X - L'istesso tempo (0:27)
 25. XI - Assai moderato (0:56)
 26. XII - Allegretto (0:33)
 27. XIII - Poco piú vivo (0:29)
 28. XIV - Allegro (0:30)
 29. XV - Allegro (1:31)


ハンガリー出身の作曲家ベーラ・バルトークの音楽には、ラディカルな響きと、叙情的な響きとが混在しています。そしてその2つは東欧の民族音楽を研究/解析し、自身の理論体系の中に組み込んだ、その音楽スタイルを源としていることも間違いありません。
彼の音楽の特徴としてよく挙げられるのは、『無調への接近』や『変拍子』など、ラディカルな部分を強調するものが多いかと思います。前者は「西欧の機能和声にとらわれない、民族音楽的な和声感覚/構造を志向した」ことに、後者は「東欧民族音楽などのダンス・リズムを根底に楽曲を構築した」ことに起因しているわけですが、どういうことか「民族音楽が持つ独自の叙情性」には中々眼が(耳が)向けられないことが多いように思えるのです。

バルトークの音楽には、慣れないと「分かりづらい」部分が確かにあると思います。
西洋音楽理論(いや、むしろ「西欧」音楽理論でしょうか)をその根底に有しながらも、そこからは排除されていた(あるいは意図的に無視されていた)東欧の民族音楽/民謡を蒐集/分析し取り入れることで生み出された彼の音楽には和声/調性が危うく感じられるフレーズが散見できます。初聴で、そらで歌えるようになる人はあまりいないでしょう。
しかし、それはあくまで「西欧から見た場合」です。彼の出身地ハンガリーやその周辺国では、その響きは代々歌い継がれた「当然の感覚」であったわけで、バルトークの音楽を解釈する際に、この「東欧の感覚」を持ちえていないと、彼の音楽のラディカルな側面(=西欧との不和)だけが強調されることになります。
それはそれで面白いとは思うのですが、やはりバルトークが自身のルーツと、そこから生み出した音楽に何を投影していたのか、ということを知るためにはその感覚を知る演奏家の存在は不可欠だと思うのです。

そして、ラディカルさと叙情性という相反する側面を味わうには、彼と故郷を同じくするピアニスト ゾルターン・コチシュが、その活動初期にDENONに録音した"Bartók: Works for Piano"が最適ではないかと思います。
ハンガリー出身ということでバルトークに近い(あるいは同等の)「民族的なセンス」を携えた彼は、バルトークの音楽の先鋭的な側面を損なうことなく、東欧民族の「歌心」をその演奏の中に込めることに成功しています。
素朴で牧歌的、しかしどこか独特の神秘性を帯びたその歌心が確かにバルトークの作品の中に息づいていることはこの作品を聴けば存分に理解できることでしょう。

勿論、民族舞踊に使われるリズムに対する理解も同様で、どんなに複雑な変拍子であろうと、その演奏は常に自然です。
そうであるがゆえに、バルトークが厳格な対位法に沿って織り込んだメロディの綴織が新鮮味を損なうこと無く、より一層の美しい響きで以って提示されています。
大掛かりなオーケストラ曲(『弦チェレ』とか『管弦楽のための~』とか)も確かに素晴らしいのですが、バルトークの音楽語法が最も輝くのは、実はピアノ独奏曲じゃないのか、とすら思えてきます。(というか、今では実際そう思ってます)
確かなテクニックと、東欧民族独特の感性の共有があるからこそ、コチシュはバルトークの思いに近い形で、その音を鳴らすことができるのです。バルトークに苦手意識のある方は、ぜひ聴いてみてはいかがでしょうか?






バルトーク:ピアノ作品集バルトーク:ピアノ作品集
(2010/08/18)
コチシュ(ゾルターン)

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No title

vuoy様 こんばんは

バルトークは、初めて聴きました。

民族舞踊に使われるリズムというご指摘通りのハキハキした演奏ですね。
ただ一方でピアノによる高音の旋律が続くせいなのか、
とても硬質であるという印象を受けました。

そのあたりの冷徹なイメージも、個性的で楽しめました。

Re: No title

>> GAOHEWGIIさん

こんばんは。
硬質ですか。なんとなく分かる気がします。
アタックが鮮明で、なんとなく尖った印象はありますね。

個人的には結構プログレっぽいところのある作曲家だとも思っていて、
事実『野蛮なアレグロ』はELPがカヴァーしてたと記憶してます。

No title

クラシックは苦手だったのですが、バルトーク自体には興味があったので、これを機会に聞いてみました。すんなりを聞きやすくてとてもいいですね。とまあ、月並みなことしかいえませんが……

Re: No title

>> ありたん さん

こんばんは。


>すんなりを聞きやすくてとてもいいですね。
バルトークが生きた当時より、逆に今のほうが彼の音楽に素直に向き合えるかもしれませんね。
1曲目の『野蛮なアレグロ』なんか不協和な和声をガツンガツンと重ねていくさまが非常にロック的で
かっこよいと思います。
そういや、Emerson, Lake & Palmerも(無断で)カヴァーしてましたね(笑)
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