Donald Byrd "Places and Spaces"

placesandspaces.jpg


Artist: Donald Byrd
Album: "Places and Spaces"
Label: Blue Note
Year: 1975

Tracklist
01. Change (5:06)
02. Wind Parade (6:06)
03. (Fallin' Like) Dominoes (4:31)
04. Places and Spaces (6:17)
05. You and the Music (5:19)
06. Night Whistler (3:39)
07. Just My Imagination (4:36)


50年代末、それまでジャズにおいて革新的なものとされてきたビ・バップの方法論は行き詰まりをみせるようになりました。
要は、コードによって即興に使用できる音が限られているため、即興演奏そのものが出尽くしたに等しい状況に陥り、どんなに努力しても、新しい刺激的な即興演奏をとることが難しくなってしまったわけです。

この状況を打破するために、様々な試行錯誤が繰り広げられたのは多くの方がご存知でしょう。
即興演奏において革新性よりも洗練されていることに重きをおき、よりメロディアスに研ぎ澄まされたハード・バップ、コードによる楽曲の進行を放棄し、旋法(モード)という、かつて教会音楽などで使われていた方法論を復権させたモード・ジャズ、そしてアフロ回帰や方法論そのものの放棄を選択し、フリー・ジャズに合流した者達もいました。

そして、それらの流れと同様に起こったのが60年台後半からのジャズ・ファンク/クロスオーヴァー/フュージョンというムーヴメントです。
この根源にあるのはマイルス・デイヴィスを始めとするジャズの電子化の流れと、それに伴ったロック/ファンクへの接近です。
その時期のマイルス・バンドに所属していたハービー・ハンコックによる"Head Hunters"などがクラシックとして知られますが、今回紹介するドナルド・バードの75年作"Places and Spaces"もまた、クラシックと呼んで遜色のない作品と言えるでしょう。

根幹にあるのはダウン・ビートを強調するファンク・ビートであることは間違いありません。
ドラムス、パーカッション、ベース、ギターが作り出すビートは実にソリッドかつストイックで、これだけでも十分聴けてしまいそうですが、バードはそこに精緻かつ豊かなアレンジメントを施しました。
ストイックなファンク・ビートにホーンはヴァンプで呼応し、時に流麗なソロをのせ、またストリングスはジャケット通りどこまでも飛翔していくような高揚感と、メロウな旋律でもってビートを装飾しました。

先程も述べたように非常に精緻かつ豊かなアレンジメントは、バードのナディア・ブーランジェなどに師事したという経歴からきたものではないかと想像されます。理路整然とした感触は恐らく誰が聴いても感じるのではないでしょうか。
アレンジメントから、即興という技法に寄っていったジャズが、ここで改めてアレンジメントの世界に帰ってきたということもできるかもしれません。

この類の音楽は、ジャズにおいて「バップ」という殻を破る方法の一つとなっただけでなく、ファンクにおいても新たな道標となったのでしょう。
そして、この先にはフュージョン、ディスコを始めとしてHIPHOP(サンプリングネタとして)に至るまでの道が長く続いていくことになるのです。






Places & SpacesPlaces & Spaces
(1997/02/19)
Donald Byrd

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youtube動画のベスト盤のジャケ

vuoyさん
こんばんは

ドナルドバードの、この時期のアルバムはとってもポップで
とっつきやすいですよね。
これも緻密なアレンジメントあればこそなのですね。

それにしてもyoutube動画のベスト盤のジャケ・・・・・・
味がある。

Re: youtube動画のベスト盤のジャケ

>>GAOHEWGIIさん
ジャケットはこのアルバムの次の"Caricatures"がオリジナルだと思われます。
多分印象深いイラストなのでベストに流用されたのかと。

最近急に思い立ってこの前後のバードを掘ってみてますが、
一作毎にファンクに対するアプローチが違っているように思え、面白いです。

今ではレアグルーヴなどの動きで見直され、再評価されてるこの時期のバードですが、
当時はどうだったんですかねぇ。熱心なジャズファンからは叩かれそうですよね。
こんなに聴きやすくて気持ちいいのに。
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