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かしぶち哲郎 "fin ~めぐり逢い~"

kashibuchi.jpg


Artist: かしぶち哲郎
Album: "fin ~めぐり逢い~"
Label: East World
Year: 1993

Tracklist
01. Roman d'amour -恋愛小説- (1:04)
02. 恋のためらい (5:00)
03. 彼女と彼 (0:46)
04. Deux Ciels -ふたつの空- (5:01)
05. オブジェの花 (5:14)
06. ある夏のマリアージュ (5:18)
07. Egoiste (5:26)
08. Noël à Paris -パリのクリスマス- (4:30)
09. 唇のフィアンセ (5:47)
10. Fin -めぐり逢い- (6:08)
11. Collage d'amour (4:15)

(平成25年12月17日、かしぶち哲郎氏が逝去されました。拙い部分はあるかもしれませんが、このレビューを以って氏の追悼とするとともに、心よりご冥福をお祈りします。)

一時期のムーンライダーズは、日本でも一・二を争うほどに先進的で、刺激的なバンド/作家共同体であると同時に、どこまでも情けなくて、ロマンティックなSSWの集まりでもあったように思います。
どこまでもトンガッた音を模索する一方で、常にアルバムに数曲程度(美しさの方向性の違いはあれ)美しいバラード的な楽曲を用意していましたし、アヴァンギャルドな演奏で楽曲を再構築した時期ですら、ライブの途中では名曲'スタジオ・ミュージシャン'などをはさみ、アーバンな寂しさを滲ませずにはおれないようですらありました。

この「ロマンティスト成分」というものが、ライダーズの音を魅力的なものにしている要因の一つであることはライダーズ好きの方ならきっと分かってくれるものだと思っております。
そして、その「成分」を担っているのが中心人物である鈴木慶一と、ドラマーのかしぶち哲郎である、ということも。

ライダーズのかしぶちの楽曲の多くには、耽美的な雰囲気と、かなりどぎつくも決して下世話にはならないエロティシズムが香っています。
そして、それらの要素はヨーロッパ的な演奏と折り重なり、どこか「死」の匂いも漂わせるかのように虚無的で、無常観にあふれた世界観を提示していました。(特に顕著なのは"ANIMAL INDEX"の'さなぎ'とか)

しかし、93年のソロ第3作目であるこの"fin ~めぐり逢い~"ではそういった要素はあまり感じられません。
こちらも確かに甘すぎるほどにロマンティックな楽曲が並んでいますが、そこには「死」などの無常な香りは漂ってはいません。
流麗なオーケストレーション(フランス映画音楽界の大御所ミシェル・ルグランが担当)に彩られながら、まるで浮名を流すかのように多くの楽曲で女性とデュエットし、そのジゴロっぷりを発揮しています(笑)

こうやってみると、同じ「ロマンティスト」でも、鈴木慶一のものとかしぶちのものとでは、その根っこがずいぶんと違うように思えます。
鈴木慶一はどちらかというと女性的で、自身の心に耽溺するようにナルシスティックな部分がありますが、対するかしぶちは男性的で力強く「弱さ」や「辛さ」をあえて隠そうとするその「強がり」の部分こそがロマンティックであるように感じるのです。

今作では、今までのようなヨーロピアンテイストはもちろん香っていますが、コード進行やリズム構築などの端々にボサノヴァやラテン的な要素が感じられます。
特にボサノヴァはこの世界観/ロマンティシズムと相性が良かったのでしょう。「サウダーヂ」という後ろ向きな感情を爽やかに彩り、クールであろうとするボサノヴァの姿勢は驚くほどかしぶちのそれと一致します。楽曲を彩る方法が抑制の効いたオーケストレーションというのも共通してますね。
ヨーロピアンではありながらも、日本歌謡曲の類型の一つとしての要素をしっかりと持っていたそれまでの作風から比べると、一気に洗練されたように思うのは、こういう部分に起因するのではないでしょうか。
ライダーズ一の伊達男の、甘く危険なポップ・アルバム。名作です。







Fin~めぐり逢い~Fin~めぐり逢い~
(2013/09/25)
かしぶち哲郎

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No title

vuoy様

こんにちは

かしぶち哲郎さんのソロ作は初めて聴きましたが、
おっしゃるとおりの独特な世界観ですね。

海外の音楽を輸入するという意味で
すごく歌謡曲らしさに溢れています。

エコーが堕落した感じでいいです。
退廃的なロマンティックですね。

Re: No title

>>GAOHEWGIIさん
ライダーズでの作風と比べると随分と端正にはなりましたが、
やはりどこか陰りのある部分というのが持ち味の人だと思います。
それと同時に、どうしようもなくロマンティックであると。

1stや2ndでは日本的な湿り気みたいなものも匂わせてましたが、
この3rdは本当に洗練されていると思います。
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