Beach Fossils "Clash the Truth"

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Artist: Beach Fossils
Album: "Clash the Truth"
Label: Captured Tracks Records
Year: 2013

Tracklist
01. Clash the Truth (2:04)
02. Generational Synthetic (2:45)
03. Sleep Apnea (2:26)
04. Careless (3:03)
05. Modern Holiday (1:22)
06. Taking off (3:09)
07. Shallow (3:17)
08. Burn You Down (2:58)
09. Birthday (2:53)
10. In Vertigo [Feat. Kazu Makino] (3:20)
11. Brighter (0:33)
12. Caustic Cross (2:41)
13. Ascention (1:30)
14. Crashed out (3:26)


80年代の初めほど、ポピュラー・ミュージックにおいて「音の隙間」というものが目立った時期はないように思います。
80年代初頭を代表するドラムスのサウンド・メイク法であるゲート・リヴァーブは強力なリヴァーブでドラムのサウンドを増幅させながら、ノイズゲートによりその余韻をバッサリと区切ることでドラムの一音一音を孤立化させ、人々の意識をその隙間に存在する空間に向けさせました。
また他にも、テクノロジーの進歩によりクリアーな音像が録音として残しやすくなったことや、ジャズ・ファンク/フュージョン・サウンドの台頭、また、アフロ・ミュージックへの接近などの様々な要素が全て「音の隙間」を強調させることをその側面として持っており、それら全てが音楽の最新形として注ぎ込まれたあの時代のポップ・ミュージックが、他の時代に比べても格段に強調された「音の隙間」を有しているのは、改めて考えれば至極当然のように思えます。

80年代末から90年代にかけて成長し、ポップ・ミュージックに大きな痕跡を残したギター・ポップの多くは、こうしたサウンドに大々的にノーを突きつけ、ヴィンテージな音やラフでローファイな音こそが真実、とでも言わんばかりにざらついたノイズを好みました。
素晴らしいメロディを着飾るのに最も相応しいのはそういった、「生々しい音」である、というストイックで、ある意味では頑固とも言えるイデオロギーは、多くのポップス・ファンの間で共有され、この手の音楽に於いて80年代的なサウンド・メイキングは(それが興隆し始めた80年代末の、一部の作品を除いては)禁忌とされたと言っても過言ではないように思います。

しかし時代は流れ、80年代的な音が再度「クールなもの」としてポピュラー・ミュージックの文脈で取り扱われるようになってきているのは、様々な音楽に耳聡い方であれば「何を今更」と言いたくなるほどに当然のことであるでしょう。
そして、ダスティン・ペイジュール率いるブルックリンのインディー・ポップ・バンドBeach Fossilsは80年代的なスッキリとしたサウンド・メイクと、90年代的な青臭いメロディーをそのまま混ぜあわせたような習作"Clash the Truth"をCaptured Tracksよりリリースしました。

彼ら楽曲は、一聴して分かる通りシューゲイザー・フォロワー(≒ニューゲイザー)に代表されるギター・ポップの系譜に連なる、甘美で青春を感じさせるメロディーを持っています。
印象的なフックを配することを避け、ぼんやりとしたラインをこれまたぼんやりとしたウィスパー・ヴォイスでたどるそのマナーは、間違いなくMy Bloody Valentineなどの空間系ポップス勢に連なります。Blonde RedheadのフィメールVo.カズ・マキノが参加した11曲目などはそのまんま、といった感じです。

しかし、演奏こそコードストローク中心であるものの、サウンド・メイク自体は驚くほど80年代的です。
金物よりもスネアやタムを重視したドラムスのミックスや、クリーントーンにフェイザーやフランジャーなどの空間系エフェクトをかけたギターやファズ・ベースのアタック音を重視した音作りは空間を丁寧に埋める残響の中でくっきりと浮かび上がり、印象的な「音の隙間」を作り出しています。
ニューウェーヴやネオアコなんて評を見るにつけ、多くの人がこのサウンドの「80年代っぽさ」を嗅ぎとっていることは間違いないでしょう。
「音の隙間」を重視したサウンド・メイクが「密室性」を楽曲に付与することは、以前ジェイムス・ブレイクの1stのレヴューでも述べましたが、この作品も同様に「密室性」を感じさせる仕上がりになっています。

薄くリヴァーブを施されたヴォーカルがその上にさらに重ねられることで、アルバムは全体を通して、その密室的な音の質感とは裏腹な浮遊感を感じさせます。
無理やり言ってしまえば「凄く明るい耽美系」みたいな印象があるんですね。不思議とクセになる音です。
…結構、今年のベスト10とかに入れちゃうかも(笑)






Clash The TruthClash The Truth
(2013/02/19)
Beach Fossils

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