King Crimson "Earthbound"

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Artist: King Crimson
Album: "Earthbound"
Label: Help/Island
Year:1972

Tracklist
01. 21st Century Schizoid Man (11:45)
02. Peoria (7:30)
03. The Sailor's Tail (4:45)
04. Earthbound (7:08)
05. Groon (15:30)


先日に引き続きクリムゾン話を続けます。(なんか久々に聞き返したらハマりにハマってクリムゾン熱再燃中)
『クリムゾン・キングの宮殿』を発表後、サウンド面でのキーマンであったイアン・マクドナルドを始めとして、ベース&ヴォーカルのグレッグ・レイク(この後EL&Pを結成)、ドラムスのマイケル・ジャイルズといったメンバーがほぼ全員脱退してしまいます。
リーダーであるフリップとともに残ったのはピート・シンフィールドのみであり、2nd"In the Wake of Poseidon"ではレイクやジャイルズに頼み込んで録音を敢行することでなんとか作品発表にまで漕ぎ着けましたが、以降クリムゾンは激しいメンバーチェンジを繰り返しながら、その音楽性を変化させていきました。

ただ、3rd"Lizard"及び4th"Islands"においてもフリップはバンドを完全に掌握できたわけではなく、サウンド面のリーダーシップは執れたとしても、コンセプト面ではシンフィールドの影響(というか支配力)が非常に強かったのではないかと思われます。
UKらしい陰りと、神秘主義的なところを匂わせる彼の世界観は非常に魅力的であるがゆえに、クリムゾンの音楽性をサウンドとは別のところで規定してしまっていたのです。

"Islands"発表後、フリップはシンフィールドを解雇します。
"Islands"自体、クリムゾンの諸作の中でもことさら独特の世界観を持つ作品ですが、それは間違いなくシンフィールドに依るところが大きかった。フリップからしてみれば、サウンド面は自分が牽引していても、彼に裏からバンドの主導権を握られているようで面白くなかったのかもしれません。
シンフィールド脱退により解散も検討されましたが、契約消化の必要からクリムゾンはアメリカ・ツアーを敢行しました。

しかし、この時期のライヴにおいて、フリップが巧くバンドの指揮を執れていたか、というとそうでもないようです。
管楽器担当のメル・コリンズ、ベース&ヴォーカルのボズ・バレル、ドラムスのイアン・ウォーレスの3人はブルーズやジャズ的な演奏をプレイすることにこだわり、隙あらば演奏の方向をそちらへ向けようとしていたようで、フリップはそんな3人と悪戦苦闘しながらもあくまで「キング・クリムゾン」としての演奏にこだわりました。

そんな一触即発の状況でアメリカ・ツアーは進みましたが、そのツアー終了の数ヶ月後、突如として発表されたのがクリムゾン初のライヴ・アルバムである本作"Earthbound"でした。
カセット・テープで録音されたという音質の悪さと、先述の通りの一触即発の雰囲気により、作品全体にものすごい緊張感が漂っています。
特に1曲目の代表曲'21st Century Schizoid Man'なんてまさに『暴虐』の一言で、全てをなぎ倒すような荒々しい演奏となっています。
あまりの内容に本丸のアイランド・レーベルからは発表できず、サブ・レーベルのHelpからの発表となったのもむべなるかな、という感じです。

これを以って1回目の解散となってしまうクリムゾンですが、フリップにとってこのアルバムはある意味収穫だったのかもしれない、と思います。
もちろん、内容自体は自分に反抗的な3人と拮抗状態の中にあった演奏ということで満足とは程遠いものでありましょうが、『ライヴ=演奏』という自分の領分を作品として発表することを通じて、フリップはライヴの要素をそのままスタジオに持ち込むことを思いついたのではないでしょうか。
ライヴの要素、というのはもちろん即興演奏であり、このアイディアが発展する形で5th"Lark's Tongues in Aspic"以降の3作が生まれたのかもしれません。

そういった意味で、シンフィールドの世界観により規定されてしまったクリムゾン・ミュージックを、フリップ自身の手で再構築するための指針となったこの作品は、まさに"Islands"と対をなす、双子のような作品と言うことができるでしょう。






EarthboundEarthbound
(2005/03/17)
King Crimson

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