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Emerson, Lake & Palmer "Brain Salad Surgery"

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Artist: Emerson, Lake & Palmer
Album: "Brain Salad Surgery"
Label: Manticore
Year: 1973

Tracklist
01. Jerusalem (2:41)
02. Toccata (7:16)
03. Still... You Turn Me on (2:15)
04. Benny the Bouncer (2:15)
05. Karn Evil 9
  a. 1st Impression (Part 1) (8:39)
  b. 1st Impression (Part 2) (4:43)
  c. 2nd Impression (7:05)
  d. 3rd Impression (9:05)


The Beatlesが、単なるビート・ミュージックであったロックンロールをロックというアートに昇華して以来、そのフォーマットの上では様々なジャンルの音楽が交錯することになりました。
ジャズやクラシックを始めとして、現代音楽や実験音楽、あるいはフォークやトラッド・ミュージック、時代を下ればテクノやヒップホップなど、本当に様々なジャンルを取り込みその都度自身の領域を拡大していったロックは、その勢いに陰りが見える現在においても、未だ20世紀で最も大きなポップ・ミュージックにおけるムーヴメントだったと言えます。

そして、ロックが最初に(目立って)その領域を拡大し始めたのはやはり60年代末~70年代中頃にかけてのプログレッシヴ・ロックの全盛期に間違いないでしょう。
今回紹介するEmerson, Lake & Palmerはその中でもKing Crimsonや以前紹介したYESと並び有名で、日本では4大プログレバンドの一角にも数えられます。(他はKing Crimson、Yes、Pink Floyd。Genesisを含め5大とする場合もあり)

彼らの音楽的な特徴を端的に述べると「クラシックからの影響」と「モーグ・シンセサイザーの導入」という2点に尽きます。
これまでにもオーケストラとの共演などで「ロックとクラシックの融合」というのは試みられてきました。例えばThe Moody Bluesの名作"Days of Future Passed"ではオーケストラとの共演によりそれが試行されていますし、オーケストレーションにより楽曲を彩るという方法は、そのままズバリそれを目的とした側面があったといえるでしょう。

しかし、彼らはクラシックの象徴とも言えるオーケストラル・サウンドの導入を拒否し、シンセサイザーという近代電気楽器によってクラシック楽曲を(ロック風に編曲した上で)奏でる、という手法をとりました。
ムソルグスキーの『展覧会の絵』などはその好例と言えます。(他にもコープランドの『ホウダウン』や、聖歌『エルサレム』など多くのクラシック楽曲を自分たちの楽曲として再構築しています)
彼らはそういったケースを重ねることでクラシック音楽の本質をロックというジャンルの内に取り込むことに成功したと言えます。

明と暗、静と動のコントラストがくっきりとした、壮大な楽曲展開により、彼らはそれまでのロックになかった様式を提示しましたが、それが最も美しく完璧な形で表現されたのは、今回紹介する"Brain Salad Surgery"(『恐怖の頭脳改革』)収録の'Karn Evil 9'に間違いありません。

楽曲はおおまかに3つのパート(インプレッション)に分かれ、合計すると30分弱にも及びますが、キース・エマーソンによるシンセサイザーの様々な音色や、練りに練られた楽曲展開(と色々な仕掛け)により緊張感が保たれており、退屈な瞬間は全く存在しません。
元King Crimsonのグレッグ・レイクはベースとギターを必要に応じて持ち替えるという器用な芸当を見せますし(ギターを担当するときはエマーソンがベースラインも担当)、ブリティッシュ・トラッドからの影響とも思われる憂いと、男らしいマッチョイズムを同居させたような歌声(後者はクリムゾン時代には見られなかったように思います)も実に感動的なものとして聴こえます。
そして、カール・パーマーのドラムはテクニカルというよりはどちらかというと猪突猛進型で、ライヴではパワフルではあっても走り過ぎたり緩急というかスウィング感に欠け、繊細なニュアンスを表現できるタイプではないのですが、むしろそれによって30分弱という長大な楽曲がロックンロールとしてのシンプルな快楽を忘れることなく備えているようにも思えるのです。

結構、パーマーの存在は大きいというか、彼の単純さ(失礼)のおかげでELPというバンドはどこかバカっぽい(またも失礼)というか、お芸術ぶった美意識だけが先行するようなバンドには成り得ていないように思います。
クラシックやジャズなどを取り入れてロックの新しいフォーマットを提示すると同時に、それをエンターテイメントとしても成立させるという奇跡を(恐らく意図せず)成し遂げているのです。

また、エマーソンはクラシックの編曲/カヴァーだけでなく、自作曲の中でも様々なクラシック/ジャズ楽曲のフレーズを引用しています。
無断で、作曲者のクレジットも行わなかったため作曲家本人とトラブルになったことも多いようですが、これはある意味初期のサンプリングの形とも言えるのかもしれませんね。(ザッパもそうですけど…)

この時代の長尺ロック・ソングの中ではYESの'Close to the Edge'と並んで完成度の高い、素晴らしい楽曲だと思いますし、またその他の4曲も聖歌の編曲、ヒナステラの『ピアノ協奏曲第1番』の編曲、レイクによるトラッド風のバラード、シンセサイザーによるブギ・ウギと、それぞれに異なったカラーを持っていて非常に魅力的です。
さすがにヴォリュームが凄いのでプログレ初心者には勧められませんが、避けては通れない名盤であることは間違いありません。ぜひ聴いてみていただきたいと思います。

ちなみに、ジャケットを担当したのは映画『エイリアン』におけるエイリアンの造形で有名なH.R.ギーガーだったりします(笑)






Brain Salad SurgeryBrain Salad Surgery
(2011/02/10)
Emerson Lake & Palmer

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