Zion Train "Passage to Indica"

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Artist: Zion Train
Album: "Passage to Indica"
Label: Universal Egg
Year: 1993

Tracklist
01. Shining Light Steppers (4:12)
02. Plunging Into Darkness (4:30)
03. Earthrush (3:28)
04. Watching Deep Water (5:32)
05. Customs Check (6:17)
06. Daybreak (4:53)
07. Arrival (7:01)
08. Burning Indica (4:52)
09. Power One - Dub Power (7:46)
10. Power Two - Dub To Power (9:09)
11. Sending Out A Positive Message (8:45)


ジャマイカからの移民達とともに、いち早くレゲエ/ダブという音楽が持ち込まれた英国。
今までの音楽にはない、激しく重いベースと乾いたリムショットによりボトムを支えられたレベル・ミュージックを、そして、その音楽から生まれたあまりに狂気的で刺激的すぎる編集手法を、英国のミュージシャンたちは我先にと取り入れ、またはその世界へと飛び込み、英国独特の音楽様式を作り上げました。
奇しくもレゲエは、同時期に英国で勃興した一大ムーヴメントであったパンク・ロックおよびそこから生まれたポスト・パンクというジャンルと抜群の相性を見せ、互いに切磋琢磨するかのようにその音を先鋭化させて行きました。

このことには、パンクというジャンルが、なによりもThe Beatlesがロックンロールをアートとしての『ロック』に作り変えて以降、徐々に浸透/隆盛してきた芸術家ぶった美意識や、それに伴う大作志向/技工主義的な側面に大々的にノーを突きつけ、シンプルなビート・ミュージックを復権させたものであるという事にも関連しています。
その性質や方向は違えど、これらの音楽はどちらも、ビート/リズムによる反逆といった側面を持っていたものであり、正しく『レベル・ミュージック(反逆/反抗の音楽)』であったのです。これら2つの音楽の相性が良かったのも納得できるところだと思います。

しかし、レゲエ/ダブの本場ジャマイカでは、徐々にその様子が変わってきます。
ダンスホール・レゲエの台頭により、それまでのレベル・ミュージックとしてのコンシャスな側面よりも、刹那的な快楽性が重視され、リリックの面でもスラックネス(下ネタ)やラガマフィン/ガントーク(暴力ネタ)といったものが多く見られるようになってきました。
この現象はジャマイカ国内で一気に広がったようで、再度コンシャスなラスタファリズムが(それらの対抗勢力として)台頭してくるには、ガーネット・シルクの登場と、その死(1994年)を待たねばなりません。

再度英国に戻ります。
英国では、海を隔てていたこともあり、そういったジャマイカ本土での動きが伝わりにくく、また、先述の通りパンクとも相性が良かったこともあり、レゲエ/ダブは『レベル・ミュージック』としての側面を失うことなく、まさに純粋培養といってもいいような発展を見せます。

その一つはもちろんUKダブです。
エイドリアン・シャーウッドを筆頭にマッド・プロフェッサーなどの高名なダブ・エンジニアを送り出したこのジャンルは、やがてインダストリアル・ミュージックHIPHOPなどとも結びつき、徐々に英国固有の音楽として洗練されていきます。(The Clashなども忘れてはいけませんね。)もちろん、その代表的な例はブリストル・サウンド/トリップホップであることは間違いありません。

そしてもう一つの流れとして、在英ジャマイカ人達が創りだしたのが、いわゆるニュー・ルーツという動きでした。
時代の流れ(生楽器からエレクトロニクスへの変遷)にうまく対応しながらもラスタファリズム信仰を失わなかった彼らは、UKダブと音の刺激性/先鋭性の面ではリンクしながらも、UKダブがその発展とともにレゲエ要素を失い、ダブという編集手法を極端化させた独自のものへと変貌していったのとは違い、あくまでレゲエであることにこだわりました。

このムーヴメントの立役者はジャー・シャカですが、今回紹介するZion Trainは彼の作り上げた様式をより洗練させることに成功しました。
このバンド、ブラス隊(+メロディカ)以外はエレクトロニクス(打ち込み)により音を構成するのですが、その随所にレゲエらしい泥臭さが滲んでいます。
また、UKダブのような刺激的な音作りや、ストイックでミニマルな曲展開はテクノとも接近します。実際ミニマルテクノ/ミニマルダブなんてジャンルもありますしね。

無機質でスカスカなリズムトラックはダブ処理により先鋭化しながらも、その隙間に英国らしいダークさ/湿り気を滲ませ、サイレン音やシンセ・ノイズなどの、それまでのレゲエには見られなかった要素も取り入れており、音そのものはジャマイカ本土でのルーツ・ロック・レゲエとは随分かけ離れております。
ヴォーカルもないことが多いですが、いざそれが入った時のスピリチュアルさは筆舌に尽くしがたいものがありますし、レゲエの先にある音楽であるということを改めて認識させてくれるような気がします。

この音楽は、さらに広がりを見せ、近年ではRoots ManuvaなどのUK HIPHOP勢にもリンクしていきます。
レゲエのスピリットが最も色濃く保持されているのは、実は英国なのかもしれません。






Passage to IndicaPassage to Indica
(2008/03/25)
Zion Train

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