XTC "Mummer"

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Artist: XTC
Album: "Mummer"
Label: Virgin
Year: 1983

Tracklist
01. Beating of Hearts (3:56)
02. Wonderland (4:50)
03. Love on a Farmboy's Wages (3:58)
04. Great Fire (3:47)
05. Deliver Us from the Elements (4:36)
06. Human Alchemy (5:11)
07. Ladybird (4:32)
08. In Loving Memory of a Name (3:16)
09. Me and the Wind (4:17)
10. Funk Pop a Roll (3:14)

[Bonus Track on CD]
11. Frost Circus (3:53)
12. Jump (4:39)
13. Toys (4:20)
14. Gold (3:33)
15. Procession Towards Learning Land (3:46)
16. Desert Island (4:52)

みんな大好きXTC。最初はどのアルバムでいこうか、と考えた挙句今の気分でこの作品を。
通算六枚目のアルバム"Mummer"です。

このバンドはメインソングライターのアンディ・パートリッジが神経質な人でして、前作"English Settlement"発表後のツアーではステージ恐怖症のためステージより逃走してしまいました。一説によれば当時の妻がアンディの飲んでいたステージ恐怖症の薬を黙って捨ててしまったため、とも言われますが真偽の程は分かりません。

で、このXTCはこの作品の制作にとりかかるわけですが、ここでまた問題が勃発してしまいます。
なんと、初期からバンドを支えたドラマー、テリー・チェンバースが脱退してしまうのです。

そんな散々な状況のなか発表されたため「勢いのない」とか「何がやりたいのか分からない」とか、駄作と判断される向きの多い作品ではあるのですが、実際聴いてみるとそうでもないんですよね。

下敷きになっているのは前作同様英国らしいシニカルさを孕んだフォークです。
特にシングルカットもされた三曲目なんかは非常にその方向性が顕著に現れています。
他の要素としては民族音楽(あくまで「風」ですが…)とか、大々的な打ち込みの導入(二曲目)、サイケ(五曲目や六曲目)、オーケストレーション(四曲目)など結構色々なものに挑戦していることが見て取れます。確かにやりたいことがまとめきれていない感はありますが、どの曲も大なり小なり実験性を備えており、アンディが「ライヴなきあとのXTC」を明確に意識して作品を作ろうとしていることは明白だと思います。

そう考えると十曲目、あからさまなギターポップにのせて最後の最後に「バイバーイ!」なんて叫んでいるのは「ライヴバンドとしてのXTC」に自ら決着をつけるためだったのかもしれませんね。

結局、これは「勢いのない、散漫な駄作」ではなく、「アンディの問題意識への強さが浮き彫りとなった意欲作」と言ったほうが良いように感じます。個人的には後半の楽曲が醸すノスタルジーが大好きなのでこれから再評価が進むといいなぁ…



MummerMummer
(2001/04/28)
XTC

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No title

こんにちわ、
ありがとうございます、
『ママー』は傑作の一つだと、私は思っています。
また、『ママー』『ビッグエキスプレス』『スカイラーキング』を、三部作と捉えてもいいのでは、とも思っています。

アンディの妻が、精神安定剤 ( バリウムだったかと ) をトイレに流したというのは、クリス・トーミィのバイオグラフにもありましたけれど、ツアー中だったかどうか? ( それもイングリッシュセトルメント・ツアーだったかどうか? ) 安定剤は、少年期から使っていたそうで、妻の断行で依存から抜け出せたそうです。

『ママー』は、ツアーと、精神の不安定さからの解放感の生んだものではないかとも思います。
それに、テリーの脱退は、アンディ、コリンに、より自由さをソングライティングにもたらす結果になっていると思います。

ツアーについては、よく言われるのですが、XTC も5年のツアーをしています。それも、非常にタイトなスケジュールです。同じ頃のポリス、トーキングヘッズ、ジャパンは解散しています。たぶん、一般的に限界なのではと思います。その後どうするかは、それぞれなのでしょうけれど、XTC は、緻密な作品を創ることに専念したのだと思います。

No title

>ノエルかえるさん
はじめまして。
薬は元々飲んでたのですね。バリウム、という話はどこかで聞いたことあります。
テリーの脱退が自由さを、というのは初耳ですね。作曲しないから収入の関係でXTCだけに専念していられなくなった、というように聞いていたので。

世間一般ではステージ恐怖症とつなげて考えて「アンディの不安定さが表出している」なんて評もあったかと思いますが、むしろライヴから解放されてイマジネーションが沸き上がっているのは聴いていて感じますね。僕もこの作品はXTCのカタログの中でもベスト3に入りますし、折にふれて聴き返しています。

No title

テリーの脱退とソングライティングの関係ですけれど。

アンディは、プレイヤーを想定して曲を書いていたと言うことです。
『Go 2』までは、バリーのオルガンが頭を占めていたでしょうし、
『ドラムズアンドワイアーズ』では、「頭が割れるようなでかいドラムの音」と言って、テリーのドラムを前提にしていたと思われます。
『ブラックシー』では、テリーのドラムとデイブのギター。
『イングリッシュセトルメント』では、よりデイブのギターに比重が移っているのだと。その経過で、アンディは、デイブが優れたギタリストであるばかりでなく、ピアニストでもあり、オルガン・プレイヤーでもあることを知って、『ママー』に至って、より多彩な楽器を想定出来ると思ったのではないでしょうか。そうなると、テリーの存在は、枷のように感じられていたと思います。アンディの音楽的資質は、実はかなりジャズ的です。その傾向をデイブのピアノは上手く引き出すことが出来るのですが、テリーのドラミングでは、微妙なニュアンスや表情は出せなかったのだと思います。ですので、テリーの脱退は、アンディにとっては、災い転じて福だったのではないでしょうか。

No title

>ノエルかえるさん
色々興味深いです。
確かに、テリーのドラミングはロックドラマーのそれですし、これ以降のXTCの展開を考えるとたしかにテリーでは厳しかったかもしれませんね。

後の"Oranges and Lemons"なんかでも、後にクリムゾンに参加するパット・マステロットを起用していたあたりもそのことを証明している気がします。
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