Smith & Mighty "Bass is Maternal"

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Artist: Smith & Mighty
Album: "Bass is Maternal"
Label: More Rockers
Year: 1995

Tracklist
01. Hold On [Strange Mix] (3:15)
02. Jungle Man Corner (4:20)
03. Closer (5:07)
04. Walking (4:09)
05. Evolve (4:36)
06. Drowning (3:43)
07. Accept All Contrasts (3:35)
08. Bass Is Maternal (4:12)
09. Down in Rwanda (4:37)
10. Higher Dub (5:10)
11. Maybe for Dub (4:51)
12. Time (4:32)
13. U Dub (3:35)
14. Yow He Koh (2:37)
15. Odd Tune for Piano (5:05)


90年代にかけて、英国の一地方で発生した音楽様式が巷を席巻しました。
その地の名前をとって『ブリストル・サウンド』と呼ばれるこの音楽様式は、同時に『トリップ・ホップ』とも呼称されます。
代表的なユニットとしてはMassive AttackPortisheadが挙げられるでしょう。

この音楽の特徴は、トリップ・ホップという名前の暗示する通り、HIPHOPビートの生み出すスモーキーな感覚と、音響の生み出すトリッピーな空気感でした。
多くの楽曲は暗く沈むような、耽美的な雰囲気を持ちあわせており、そこにのせられるのもラップではなくヴォーカル(特に女性が多い)が選択されたため、このジャンルはダークでメランコリックなアンビエントとしての側面も持ちあわせることとなります。

しかしながら、このジャンルの楽曲はどれをとってみても、その源流とみなされるThe Pop Group、そしてマーク・スチュワートとの間に大きな断絶を感じさせざるを得ません。
これらのバンド(ユニット)の音は基本的にはロック(パンク)、ダブ(場合によってはインダストリアル)であり、いわゆるブリストル・サウンドの典型的な音像からは離れているように思えます。

その隙間を埋めるミッシング・リンクこそがSmith & Mightyであり、そして彼らの蒔いた種は、ブリストル・サウンドだけでなくジャングル(ドラムンベース)2ステップガラージ、そしてダブステップにもつながっています。
彼らはフルアルバムこそこの"Bass is Maternal"まで待つこととなりましたが、80年代の半ばにはすでに活動していたようです。

ブリストル・サウンドの発生はいつか、というと諸説あるかと思うのですが、私はそれがマーク・スチュワートの3rdアルバム"Mark Stewart"ではないかと思っています。
このアルバムは、基本的にはそれまでのマークの作品と同様に、ダブ・ノイズ・ファンクな作風の延長線上にあるものでしたが、その中でひときわ異彩を放つ楽曲が存在していたのです。

その楽曲は'Stranger (Than Love)'と題され、エリック・サティ「ジムノペディ第1番」の印象的なメロディとブレイクビーツ、そしてマークの不安定な歌が見事に統合された名曲でした。
特にバックトラックの見事さは筆舌に尽くしがたく、ブレイクビーツのスモーキーなダブ処理と、マークの作風にはそれまでみられなかったアンビエンスが不自然さを感じさせることなく融合した、マーク・スチュワートの作品の中でもとりわけ美しい楽曲となりました。
このトラックの作者こそ、Smith & Mightyの3人です。彼らはUKダブの絶対零度的な冷ややかさと、HIPHOP由来のシンプルなブレイク・ビーツ、そして音の隙間を埋めるアンビエンスををもってブリストル・サウンドのひな形を完成させたのです。

そして彼らが満を持して発表したこの1stでは、もはやブリストル・サウンドだけにとどまらない作風になっています。
様々な様態のブレイクビーツ、呪術的なチャントのようなヴォイス・サンプル、深い残響を残す楽音のサスティンと、ブンブン唸るベース。
それらの音の一つ一つから、UKダブとその向こうにある(ルーツ)レゲエからの影響と、先程も述べたようなドラムン、2ステップ、ガラージ、ダブステップにまで至る音楽スタイルの萌芽とを同時に感じることができます。
現代UKのダンス/ベース・ミュージック全ての源流ともいえる作品であるとともに、未だにそれらのどのジャンルよりも自由で広がりを感じることのできる名作と言えるでしょう。






Bass Is MaternalBass Is Maternal
(2000/06/20)
Smith & Mighty

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こんにちは、お邪魔します。
スミス、マイティは初めて知りました。
私のかんせいに,ビビッときましたよ。
それにしても、知らないアーチストが多いです。

Re: タイトルなし

>jamkenさん
こんばんは。
ブリストルというと私もマッシヴ・アタックやポーティスヘッドが主だったのですが、
最近彼らやマークの3rdを聴いて「コレこそブリストル・サウンドのオリジナルだ!」と思った次第です。

私も、まだまだ知らない音楽は山ほどあるのでぜひ教えていただければ幸いです!
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