Jeri-Jeri "800% Ndagga"

Artist: Jeri-Jeri
Album: "800% Ndagga"
Label: Ndagga
Year: 2013
Tracklist
01. Gawlo (4:10)
02. Xale (4:06)
03. Ndeye Gueye (7:02)
04. Mbeuguel Dafa Nekh (9:06)
05. Casamance (7:05)
06. Sama Yaye (4:11)
07. Bamba (7:12)
08. Daguagne (6:02)
アフロ・ミュージックの、ポップ・ミュージック界における地位というのは非常に特殊なように思います。
決してアフロ・ミュージックそのものがメインストリームとなることはありませんが、メインストリームのロックやジャズ、ブルース、さらにはレゲエやHIPHOPにいたるいかなる音楽においても、アフロ・ミュージックからの影響というものは否定することができません。
その広汎さと深さを知るにつけ、我々は常にアフロ要素に惹かれているとすら言いたくなります。
先日はケニアのムクングニ村で採取された素晴らしいフィールド・レコーディング集について紹介しましたが、今回紹介するのはセネガルのJeri-Jeriというプロジェクト・バンドです。
このユニットは、これまた先日紹介したモーリッツ・フォン・オズワルドとともにBasic Channelで活動していたマーク・エルネストゥスにより発見・紹介されました。彼は2010年に南アメリカのダンス・ミュージック『シャンガーン・エレクトロ』をコンパイルした編集盤をHonest Jon'sから発表しており、それ以来アフロ・ミュージックに魅せられ、アプローチしてきたそうです。
セネガルのミュージシャンとして、我々がまず思い出すのはユッスー・ンドゥールであることは間違いないでしょう。
彼の音楽は当然の如くセネガルの伝統音楽サバラをそのベースに有しており、雄大で美しいハーモニーがありましたが、それは常に複数のパーカッションによるリズム/ビートの綴織(=ポリリズム)により支えられていました。一定のパルスを保持しながらシンコペイトするビートは、まるで一つの生き物であるかのような動きを見せ、非常に有機的なうねりを見せます。
そして、そのうねりは一種の陶酔感を生み出しており、ビート単体でも十二分にサイケデリックです。
そして、ミニマル・ダブ・シーンを牽引してきたエネルストゥスはそこに着目し、Jeri-Jeriの演奏するポリリズミック・ビートに対し、最良のミキシングを施しました。
中域をくっきりと分離させ、マットな質感を持たせたそのミックスは、ビートの流動性/有機性を損なうことなく先鋭化させ、その陶酔感を強調しています。
この感覚はミニマル・ダブはもちろんのこと、UKダブや、あるいはポスト・パンクにもリンクするものであり、そういった点で非常にヨーロッパらしいもの(=ホワイト・ミュージック的)です。
モーリッツ・フォン・オズワルド率いるトリオは、ダブというヨーロッパ独自のブラック・ポップのメソッドを用い、ホワイト・ミュージックをアフリカへ回帰させようと試みましたが、その相方であるエネルストゥスはサバラというブラック・ミュージックをヨーロッパ的なメソッドで以って解釈しなおし、ホワイト・ミュージックの領域に引き寄せたのであり、全くもって正反対のアプローチであると言えます。
アフリカという、人類の起源とされる地に対するアプローチには、まだまだ我々の思いもよらぬ方法があるのかもしれません。
ちなみに、この作品と同時に"Ndagga Versions"というダブ/リミックス集も発表されております。
そちらも必聴!
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