The World of Psyche/Acid Music Vol. 24: Kevin Ayers 'Song for Insane Times'
Soft Machineに所属していたベーシスト ケヴィン・エアーズはまさにサイケ・ポップを作るために生まれてきた、といっても過言ではないほどに「ズレ」ています。
彼は別にシド・バレットのように狂気的な人間ではなく、かといって多くのアシッド・フォーキー達のように「死」の匂いを漂わせたりもしません。
その創作姿勢はむしろどこか飄々としており、自分のやりたいようにしか音楽をつくらない姿勢を崩すことはありません。
それでも、彼の作る作品は「ちょっぴりおかしい」のです。
これは別にコード進行やスケール、リズムなどの話ではありません。楽曲は至極真っ当(に聴こえる)でも、何となく、微妙な違和感を聴き手の心に残します。それは「浮遊感」にもにた心地よさがあります。
「狂気に陥った時のための歌」なんて人を喰ったようなタイトルを付けられたこの楽曲は、彼のその不思議な部分がよく現れた名曲だと思います。
ドリーミーな鍵盤と彼の思慮深い(ような何も考えてないような 笑)バリトン・ヴォイスとが織りなす世界はまさに夢幻の如しですが、でもどこか醒めたような感覚も同時に覚えます。
彼のような「正気」と「狂気」を判別できない(あるいは、両方が混濁して存在している)人間こそ、ある意味では最も『サイケ』な人間なのかもしれません。
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