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Tom Waits "Rain Dogs"

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Artist: Tom Waits
Album: "Rain Dogs"
Label: Islands
Year: 1985

Tracklist
01. Singapore (2:46)
02. Clap Hands (3:47)
03. Cemetery Polka (1:51)
04. Jockey Full of Bourbon (2:45)
05. Tango Till They're Sore (2:49)
06. Big Black Mariah (2:44)
07. Diamonds & Gold (2:31)
08. Hang Down Your Head (2:32)
09. Time (3:55)
10. Rain Dogs (2:56)
11. Midtown (1:00)
12. 9th & Hennepin (1:58)
13. Gun Street Girl (4:37)
14. Union Square (2:24)
15. Blind Love (4:18)
16. Walking Spanish (3:05)
17. Downtown Train (3:53)
18. Bride of Rain Dog (1:07)
19. Anywhere I Lay My Head (2:48)


ポピュラー・ミュージックにおいては、「調子っぱずれ」であるということが価値を帯びるという倒錯的な事態が往々にして起こりえます。
トーキング・ブルースなんてものはその代表的な事例でしょうし、60年代のロック/フォークにおいてもボブ・ディランジミ・ヘンドリックスなどは決して歌が巧かったわけではありませんでした。

乱暴な物言いではありますが、西洋音楽理論は基本的に「調性に設定された喜怒哀楽という感情を聴き手に押し付ける」感情操作能力を研ぎ澄ましたものであり、彼らの歌声のような雑音(ノイズ)を多分に含んだ音というものは「正しくない」として排除されてきました。
しかしながら、彼らの歌(言葉)には強烈な感情喚起能力があるのです。これはメジャー/マイナーという調性などを磨き上げシステマイズされた西洋音楽理論の持つ効能とは正反対です。
近年で言えばJoan of Arcのティム・キンセラもこの系譜に連なるヴォーカリストと言えるでしょう。

そしてまた、今回紹介するトム・ウェイツもそういった歌を武器にしたミュージシャンであることは疑いようもありません。
彼はフランク・ザッパなどのマネージャーを務めたハーブ・コーエンに見出されデビューして以来、酒と煙草にまみれたしわがれた声で歌い続けています。
今作"Rain Dogs"は彼が古巣のアサイラム・レコードからアイランズ・レコードに移籍してからの第2作目であり、彼のキャリアの中でも最高傑作と目される作品です。

それまでの彼は、雑音をたっぷり含んだ歌声を武器にしながらもソフィストケイト(ホワイトナイズと言ってもいいかもしれません)されたジャズ/ブルーズを基軸としながら、酒場の片隅で酔いつぶれるようなロクデナシ達の挽歌を歌っていました。
しかし、前作"Swordfishtrombones"で彼はその様相を一変させます。
それまでのピアノやブラスなどを中心とした音作りから、エレキギターやジャグ・バンド風のパーカッションに支配された、国籍を感じさせない音楽へと移行したのです。

今作において、多くの楽器は非常に不安定な音を聴かせます。
スケールから半音外れたような動きや、ホンキートンク・ピアノの響き、あるいは雑音を多分に含むアコーディオンの生み出すドローンなどの多くの音が不協和に重ねられ、騒々しく鳴り響いています。
それらの音はトムの声と折り重なって重層化し、聴き手の心のなかに潜む『嘆き』を顕在化させ、自覚させます。

パーカッシヴな部分が強調されているのは、そういったノン・ハーモニックな音の群れによりソング・フォームが瓦解するのを防ぐための知恵のようにも思えます。
ファンクや民族音楽など様々なジャンルからの着想を感じさせるリズム/ビートは見事に楽曲を引き締め、形式を強固に保っています。自己満足的な美意識だけでなく、ポップスとしての機能性にも十分に配慮がなされ、1時間近い長さを感じさせぬほどにタイトにまとまった作品に仕上げています。
8曲目や9曲目、そしてロッド・スチュワートのカヴァーにより大ヒットを記録した17曲目など、アサイラム時代の作風の延長線上にあるような楽曲を上手に配置しているのも聞き逃せません。

長調の演奏の上で短調のメロディーを歌った、ブルーズのアンビバレンツな構造が持つ感情喚起能力は未だ説明のつかないものではありますが、彼は違った方向からこの機能を発揮することにアプローチし、見事に成し遂げたといえるでしょう。
まさにホンキートンク(調子っぱずれ)・オーケストラとも言うべき本作、ぜひ聴いてみてください。

(聴きながら思ったけど、フィータスとも似てる気がします)






レイン・ドッグレイン・ドッグ
(2011/10/12)
トム・ウェイツ

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こんばんは、お邪魔します。
トムウエイツは、私もよく聞いていました。しかし、この作品は、まだ聞いていません。
確かに初期の作風とは違うようですね。かなり、外れた音程がまたいい味のようですね。

Re: タイトルなし

>jamken(i?)さん
こんばんは。
この辺り以降のトムは、初期のファンには評判が悪い場合も多々あるようです。
しわがれ声自体は変わっていません(多少パワーアップはしていますが笑)が、
やはり楽曲を構成する音がかなり変化しています。

初期の美しい楽曲に慣れた耳には辛い場合もあるのかも知れませんね。
キャプテン・ビーフハートに影響を受けたという話も聞きます。
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