Karine Polwart "Faultlines"

Artist: Karine Polwart
Album: "Faultlines"
Label: Neon Productions
Year: 2004
Tracklist
01. Only One Way (2:52)
02. Faultlines (3:15)
03. Four Strong Walls (3:46)
04. The Sun's Comin' over the Hill (4:56)
05. Resolution Road (3:37)
06. Waterlily (4:34)
07. What are You Waiting for? (2:47)
08. Skater of the Surface (3:27)
09. Harder to Walk these Days than Run (3:47)
10. The Light on the Shore (4:23)
11. Azalea Flower (5:17)
スコットランドのSSWカリン・ポルワートのソロ1st。
かねてから紹介しているケイト・ラズビーやジョン・マカスカーらとも通じるような、トラッド・フォークを基調としたコンテンポラリー作品と言えると思います。
根幹にあるのはもちろん彼女の歌とギターです。
トラッドに影響を受けた、旅情溢れるメロディーラインはそれ単体で非常に壮大なサウンドスケープを描きますが、彼女の場合それをバンドがしっかりと支えている印象ですね。
グルーヴィーなダブル・ベースが導くうねるリフを根幹にしたフォーク・ロック曲'Only One Way'から、トラッド系とは思えないような、叩きつけるような激しさが感じられます。
もちろん、楽曲によってはシンプルな弾き語りやそれに近しいものもあり、それだけというわけではないのですが、この手の音楽に想像されるものからかけ離れた音であったもので、初めて聴いたときは面食らいました。
彼女のヴォーカルも、過去のトラッド・シンガー達の抑えた歌唱とは違います。
どこか淡々としていた先駆者たちと違い、彼女は声を張り上げたりすることこそ殆どないものの、個人の感情とトラッドとして歌われる物語の語り部としてのあり方(全作自作曲ですけど…)との間をふらふらと行き来し、楽曲に適したシンギングを自在に使い分けています。
SSWとトラッド・シンガーという存在は、それぞれ「個人の感情の翻訳者」と「伝統的な感情の語り部」という、本来的には相反する性格を持ち得ていると思いますが、それらのペルソナの両方を彼女は自然に持ち得ているのではないでしょうか。
楽曲の方も、シンプルな弾き語りによるモノトーンなトラッド・フィーリングと、ブラスやバンジョー、電子ハープやフィドルなど様々な楽器を以って彩られた豊かなバンド・サウンドとが入り混じりながら、それがちぐはぐではなく、とても自然なポップ・アルバムとして構築されています。
あまり日本では知られていないようですが、かなりの力作です。トラッドファンだけでなく、ロックファンやジャズファンなんかにも間口が広がった良い作品かと。
![]() | Faultlines (2005/03/22) Karine Polwart 商品詳細を見る |
スポンサーサイト