Eric Dolphy "Out to Lunch"

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Artist: Eric Dolphy
Album: "Out to Lunch"
Label: Blue Note
Year: 1964

Tracklist
01. Hat and Beard (8:24)
02. Something Sweet, Something Tender (6:02)
03. Gazzelloni (7:22)
04. Out to Lunch (12:06)
05. Straight Up and Down (8:19)


ビ・バップ成立以降のモダン・ジャズにおいて、最も過激な音を鳴らした男、エリック・ドルフィー
が唯一、ブルーノートに吹き込んだ作品。
バックに当時ブルーノート所属だった新進気鋭のミュージシャンであるフレディ・ハバード(Tp)、ボビー・ハッチャーソン(Vib)、リチャード・デイヴィス(Ba)、トニー・ウィリアムス(Dr)の四人を引き連れての録音です。

ドルフィーは、チャーリー・パーカーの即興フレーズをさらに解体したような、抽象的なソロのためか、フリー・ジャズの括りで語られることの多い印象がありますが、実際のところ、彼のスタイルの根本にあるのはやはりビ・バップです。
確かにここに収められた楽曲はいずれも楽曲の輪郭がぼやけたような、独特の「焦点の合わない感じ」がありますが、よく聴いてみると、どの楽曲もしっかりとしたテーマの提示があるのが分かると思います。
『テーマ-ソロ-テーマ(リプライズ)』というビ・バップの基本構造からは逸脱していないのです。

では、このアルバムの持つアブストラクトな、ぼんやりとした感覚はどこから来るのか。
その秘密は「ソロの取り方」にあるのではないかと思います。

通常、ビ・バップ(というかモダン・ジャズ)では、テーマの提示が終わった後ソロに移行するわけですが、そのソロの取り方は、各プレイヤーが順番ごとにソロを取っていくのが一般的です。もちろん、他のプレイヤーが横槍を入れる場合などもありますが、基本的にはバッキングの上で各人か代わる代わるソロを取っていく、というのが主流だと思います。
これはビ・バップが「プレイヤーが各人の演奏技術を競うためのゲーム」としての側面を持ち合わせていたことにも関係すると思われます。互いに互いのソロを聴きあい、評価しあうことも、ビ・バッパー達の楽しみの一つであったことは間違いないでしょう。

しかし、ドルフィーのこの作品では、そのような決まり事は完全に無視されています。
テーマの提示が終わると、まるでなし崩し的に「バンド全員で即興演奏」を開始するのです。
ドルフィーはいつもどおりのプレイですし、バックの4人もドルフィーに有機的に絡み、時にはドルフィーの見せ場を奪い、奪われしながら楽曲を、それまでのビ・バップにはあり得なかった推進力でもって前進させていきます。

当然、本来のビ・バップではバッキングを担当しているリズム隊(ベース・ドラム)までもがソロイストとして演奏に参加するため、楽曲の土台はかなりぼんやりしたものとなっています。ソロのパートについてだけいえば、楽曲の「枠」そのものが崩壊していると言えるかもしれません。
ビ・バップ/ハード・バップの陥った限界を突破するための方法の一つであるようにも思えますし、そういった点ではフリー・ジャズとは確かに通底しています。

そういった楽曲の「枠」の崩壊とあわせ、ボビー・ハッチャーソンのヴィブラフォンのメタリックな響きなどもあり、演奏にはアシッドな空気が充満していますが、先述のとおり楽曲の推進力はかなりのものなので、だらけた、しまりのない感じは全くありません。
一人一人の音が鋭く研ぎ澄まされていながら、アシッドな空気を漂わせる至高の作品と言えるでしょう。






Out to LunchOut to Lunch
(1999/03/17)
Eric Dolphy

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こんにちは、お邪魔します。
エリックD は、興味があって聞いてみたいと思っていました。割りとフリーといっても、いけそうですね。
ぜひ聞いてみたいと思います。

Re: タイトルなし

>> jamkenさん
こんばんは。
様々なスタイルの作品がありますが、結局のところはドルフィーのソロが気に入るかどうかがキモになると思います。
この作品も良いのですが、とっつきやすいのは"At the Five Spot Vol. 1"だと思うのでぜひそちらも。
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