Sandra Cross "Just a Dream"


Artist: Sandra Cross
Album: "Just a Dream"
Label: Hana Records
Year: 1996
Tracklsit
01. Just A Dream (Intro) (0:40)
02. Cry Me A River (4:07)
03. Autumn Leaves (3:40)
04. Over The Rainbow (4:06)
05. Sunny (3:12)
06. Tenderly (3:18)
07. Lullaby Of Birdland (3:37)
08. When You Wish Upon A Star (3:25)
09. Fly Me To The Moon (3:56)
10. You've Changed (4:05)
11. Good Morning Heartache (3:37)
12. The Shadow Of Your Smile (4:05)
13. Summertime (3:35)
14. Just A Dream/Summertime (18:18)
UKラヴァーズ・ロック/レゲエ界のフィメール・シンガー サンドラ・クロスの96年作。
この作品までに、マッド・プロフェッサーのプロデュースの下、レゲエ・シンガーとして多くの作品を残していたようですが、この作品に収録された曲の殆どはジャズ・スタンダードです。
突如として他ジャンルのミュージシャン(特にヴォーカリスト)がジャズ・スタンダードにチャレンジする、というとなんだか嫌な予感を感じさせますが、この作品は単なる「ジャズへのチャレンジ」というものにとどまらない、良作となっていると思います。
スカ/ジャズ・バンドのジャズ・ジャマイカのギタリスト アラン・ウィークスをプロデューサーに迎え、さらにバンドの全面的なバックアップを得て制作された今作は、彼女自身がレゲエ・ミュージシャンであることを活かし、ジャズとレゲエの融合を試みた意欲作であり、そしてその試みはかなり高いレヴェルで成功していると言えるでしょう。
ピアノやギター、そしてブラスによる思慮深い即興フレーズにはジャズ特有の「夜の空気」が刻み込まれています。
サンドラの歌唱も、レゲエ・シンギングとは別ベクトルの繊細さを持ちあわせており、陰影と表情に富むその声はまさにジャズ・ヴォーカルといった雰囲気です。
そして重要なのはやはりリズム。
ブンブンと低音を効かせるエレクトリック・ベース、裏で気怠く刻まれるリズム・ギター、そして心地よいリムショットのパルスが牽引するドラムスなど、リズム隊が紡ぐのは当然レゲエのリズムであり、非常に巧くピアノやヴォーカルのジャジーな雰囲気と共存しています。
単純にレゲエ楽曲のリディムを引っ張ってくる、というのではなく、レゲエ・リズムの本質を掴んだ上で、ジャズのスウィング感覚を交えて構成しなおしたようなリズム・パターンは、ともすれば自家中毒に陥りそうなジャズ・スタンダードの再演を、そのオーガニックな音の質感と軽妙なスウィング感覚とで引き締め、スタンダード曲に潜むスピリチュアル性を増大させます。
作品全体を通して、ネオ・ソウルやオーガニック・ソウルといった90年代の先鋭的なソウル作品と通じ合うような空気があり、ジャズとレゲエとの出会いがブラック・ポップの中に新たな1ページを形作っているようにも思えます。
彼女は、もう一作この方向で作品を作っているようですが、今現在あまり知られていないようです。
非常に良質な作品ですが、ブック・オフなどの中古チェーンを探すと案外ありますので、見つけたらぜひ聴いてみてください。
![]() | Just a Dream (1999/07/09) Sandra Cross 商品詳細を見る |
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