Juana Molina "Un Día

Artist: Juana Molina
Album: "Un Día"
Label: Domino
Year: 2008
Tracklist
01. Un día [A day] (5:35)
02. Vive solo [Lives alone] (5:58)
03. Lo dejamos [We leave it] (7:31)
04. Los hongos de Marosa [The mushrooms of Marosa] (7:27)
05. ¿Quién? (Suite) [Who? (Suite)] (7:22)
06. El vestido [The dress] (4:31)
07. No llama [Doesn't call] (5:20)
08. Dar (qué difícil) [To Give (How Hard)] (6:41)
アルゼンチン音響派の歌姫フアナ・モリーナの5thアルバム。
Animal CollectiveやThe Dirty Projectorsなど、00年代以降の先鋭的なインディー・ロック・バンドを多数擁するDomino Recordsからのリリースです。
アコースティック・ギターが描く柔らかで流麗な曲線と、シンセによる音響、そしてループ構造の生み出す浮遊感と、ウィスパースタイルの歌声とが織りなす独特のアンビエンスを特徴とする音楽家で、以前紹介したアレハンドロ・フラノフをプロデューサーに迎え、多くの良作を残して来ました。
やや拙くも、迸る創作意欲により活き活きとした色彩で彩った2nd"Segundo"から3rd"Tres Cosas"、そして4th"Son"に至るまで、その過程の一つ一つに彼女の音楽家としての成長ぶりがしっかりと刻み込まれ、そしてそのそれぞれが彼女のバイオグラフィにおけるランドマークとして存在感を放っています。
特にエレクトロニクスの使用に関しては上達がめざましく、4thでは彼女の柔らかな歌声と、嫋やかなアコースティッ・ギターと組み合わさることで、非常に良質なフォークトロニカ(もはや死語?)として機能していたように思います。
それから2年を経て発表されたこの作品で、彼女はその成長ぶりを加速させ、我々が予想もしていなかったようなところへ到達してしまったようです。
音楽の構成要素自体はそれまでの作品と変わりはありません。
彼女の歌声とアコースティック・ギター、そしてシンセや電子音から楽曲は成り立っています。
アルバムはモリーナの独唱で幕を開け、すぐさま万華鏡のような世界へと迷い込んでいきます。
カタカタとあたりを駆けまわるリズム・トラックや電子音響、多重録音によるサイケデリックなコーラス、それらの隙間を滑らかな線を描きつつ舞うギター。
それらの音が交錯する様は先程も述べたように万華鏡的で、左右対称に広がりながら刻々とその様相を変えていき、ぐにゃぐにゃとしたうねり/グルーヴを生み出しリスナーを飲み込んでいきます。
ヴォーカルも、今までのようなウィスパースタイルだけでなく、トライバルな叫び声やパラノイアックなスキャットなどを交え、狂騒的な雰囲気を増大させています。
どんなに電子音を盛り込もうとも、常にどこかオーガニックな感触を漂わせているのもさすがです。
彼女の今までの特徴はそのままに、グルーヴ・ミュージック及びトリップ・ミュージックとしての機能性を十分に高めた作品であり、そのほとんどが彼女一人の演奏/ループから成り立っているのが驚きです。(一部ギャレス・ディクソンがギターで参加)
最初聴いたときはそれまでの作風と比べあまりにぶっ飛びすぎてて面食らいましたが、現在では一番好きな作品ですね。
アヴァンギャルドでありながらポップでダンサブルな楽しい作品です。
![]() | ウン・ディア (2008/10/22) フアナ・モリーナ 商品詳細を見る |
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