The Weeknd "House of Balloons"

Artist: The Weeknd
Album: "House of Balloons"
Label: XO
Year: 2011/2012
Tracklist
01. High For This (4:07)
02. What You Need (3:26)
03. House of Balloons / Glass Table Girls (6:47)
04. The Morning (5:15)
05. Wicked Games (5:25)
06. The Party & The After Party (7:39)
07. Coming Down (4:55)
08. Loft Music (6:04)
09. The Knowing (5:41)
["Trilogy" Bonus Track]
10. Twenty Eight (4:18)
カナダのR&Bシンガー/プロデューサー、The Weeknd(ウィークンド)のデビュー作。
ミックス・テープとして2011年にネット上で無料公開され、話題になった作品とのことです。
昨年話題を呼んだフランク・オーシャンがエレクトロニカ的な音を恥ずかしげもなく取り入れたのと同じように、彼の作品にもここ20年くらいのホワイト・ポップ(なんて言い方をしていいものかどうか…)のような雰囲気が漂っています。
まず聴いて思い浮かぶのはトリップ・ホップ、あるいはジェイムス・ブレイクではないでしょうか。
ゆったりと揺蕩うビートの心地よさはもちろんなのですが、それ以上に音響的な側面/音の重ね方を意識させるような音作りです。
そういった音作りで生み出された楽曲は、耳馴染みが非常に良いのですが、トリップ・ホップやガラージ、グライム、あるいは(ポスト)ダブ・ステップの音楽家たちが、黒人音楽を意図的に曲解して作ったスタイルを、さらに曲解したような感覚を覚えるんですよね。
カナダのミュージシャンではありますが、UKっぽい雰囲気が濃密に漂っているのはそういったところにあるのかもしれません。
様々な音をサンプリング(Siouxsie & the Bansheesからもサンプルを取ってきてたり)し、ミニマルに楽曲を構築していく様は昨今のR&Bのフォーマットを踏襲してはいますが、どこか歪な感覚が随所ににじみます。
しかし、そこにのるヴォーカルには若手(アマチュア?)らしい拙い甘さがまだまだ残っており、とても直截的な感触があります。そこがまたなんとも言えずアンビヴァレントで中毒的。
最初聴いたときは「歌がもっと巧くなればなー」と思ってたのですが(それはそれで面白くなるのでしょうが)、このままの歌声でトラックだけどんどん歪になっていくのも面白いかもしれません。
どう転ぶにしても先が楽しみなミュージシャンだと思います。
ちなみに、昨年、この作品の後に発表した2作とあわせた3枚組"Trilogy"としてフィジカルでも発表されてます。
ボーナス・トラックも収録してなんと2,000円程度という値段ですのでぜひこちらをお求めください。
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