Arthur Russell "World of Echo"

Artist: Arthur Russell
Album: "World of Echo"
Label: Upside(US)/Rough Trade(UK)
Year: 1986
Tracklist
01. Tone Bone Kone (1:05)
02. Soon-to-be Innocent Fun/Let's See (9:36)
03. Answers Me (2:11)
04. Being It (5:17)
05. Place I Know/Kid Like You (3:28)
06. She's the Star/I Take This Time (4:57)
07. Treehouse (2:15)
08. See-Through (2:10)
09. Hiding Your Oresent from You (4:17)
10. Wax the Van (2:11)
11. All-Boy All-Girl (3:44)
12. Lucky Cloud (2:53)
13. Tower of Meaning/Rabbit's Ear/Home Away from Home (4:38)
14. Let's Go Swimming (2:42)
以前当ブログでも紹介したことのあるアーサー・ラッセルの、1986年発表作品。
前回は未発表曲集を取り上げましたが、今回の"World of Echo"(『残響の世界』)は彼が生前発表した(彼名義では)唯一のアルバムのようです。
使用楽器はチェロおよびハンド・パーカッション、そして彼自身の歌声のみ。
チェロはもちろんパーカッションも自身で演奏し、録音とおよびプロデュースはドローン作品などで有名な現代音楽家のフィル・ニブロックが担当しています。
現代音楽家であると同時にディスコ・ムーヴメントの牽引者でもあった彼ですが、この作品はそれらの二点をつなぐような作品です。
多くの楽曲は以前に別名義で発表されたものの再演ですが、今回はチェロ弾き語り(および少々のパーカッション)による非常にシンプルな形での演奏となっています。
さらに声と楽器にはタイトルどおり深いエコーやディレイがかけられています。まさにタイトル通り、空間を埋め尽くすような残響は強い浮遊感を持ち、時に暴力的な勢いで持って聴き手を包み込むのです。
東洋的な雰囲気を漂わせながら、旋律をミニマルに繰り返すチェロを基軸として、パーカッションと歌声の全てが交じり合い、サイケデリックなのはもちろんのこと、祈りのような神聖な雰囲気すら感じさせます。
エコーの果てにラッセルの意識は融解し、また、我々聴き手の意識も融解していく。そんなスピリチュアルさを持った作品だと思います。
ある意味ではダブの極限ということもできるでしょうし、スピリチュアルなアンビエンスを持った作品でもあります。現代音楽やドローンなどの範囲で語ることも可能でしょう。
様々な方向からアプローチ可能なその様態は、そのままラッセル自身の音楽遍歴を表すかのようです。
そういった分野に興味のある方にはぜひ一度聴いてみていただきたいと思います。
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