想い出波止場 "金星"

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Artist: 想い出波止場
Album: "金星"
Label: トライエム
Year: 1995


Tracklist
01. 金星 (0:10)
02. オルタナティヴ・ファンカホリック (2:30)
03. ギオン (2:06)
04. GO (3:48)
05. サテライト・グルーブ (3:53)
06. ヒューマン・トルネード (4:47)
07. 日本解散 (1:58)
08. 空中はB (2:29)
09. グッバイ!サブマリーン (0:28)
10. 幽霊山脈のテーマ (3:05)
11. クール (0:34)
12. おやじ (2:29)
13. ロケンロール・ファンタジア (2:21)
14. WE ARE ハロー (3:39)
15. ホワイト・アワー (7:22)
16. アーメン (3:24)

さて、新年一発目のレビューは邦楽バンドでもいってみましょう。
先日のリイシュー作品でも挙げた山本精一率いる想い出波止場の5thにして、メジャーデビューアルバムです。

山本精一と言うと「Boredomsの元ギタリスト」ということでご存知の方も多いかと思いますが、個人的にはBoredomsに山本精一が含まれるというよりは山本精一の多岐にわたる活動の一つがBoredomsにおけるギタリストとしての活動であった、というように思っています。
"なぞなぞ"のときも申しましたが、日本においては最も意味のわからない、「狂気」をうちにはらんだミュージシャンだと思うのです。非常階段のJOJO広重なんかも彼をそのように評していたと記憶しています。

彼の活動はBoredoms以外にはフォークロックバンド羅針盤やトランスロックバンドROVO、室内楽グルーヴ追求ユニットPARAや日本のアンダーグラウンド界における伝説的ヴォーカリストPHEWとのパンクバンドMOST(これは未聴です)など、非常に多岐に渡るのですが、この想い出波止場はそれらを全て含めて吐き出したような総体的な活動であり、山本の総本山ともいえるものです。

何が凄まじいかというと、彼がこのバンドで表現したいものが聴き手には全く「分からない」ことです。
このバンドの作品というのはどれもものすごい熱意を傾け、あり得ないほどの手間をかけて作られており、恐ろしいまでの完成度を誇る、とうところまでは多くの人が納得できるところでしょうが、多分そういった人達であっても誰一人として「山本精一は何がしたかったのだろう?」という問いには首を傾けざるをえないと思うのです。

おそらく、ずっと山本と一緒にこのバンドをやってきた津山篤にさえ山本の表現しようとしていることは完全に理解できていないんじゃないかな、とさえ考えてしまいます。
それほどまでにとにかく「意味不明」なのです。しかしながら聴けば聴くほど、その「意味不明」性というのは山本自身やりたいことが多すぎて取っ散らかってしまった、という類のものではなく、彼には明確なヴィジョンがあってそれをものすごい情熱をもって表現しているが聴き手には分からない、という性質のものであることがありありと見えてくるのです。
誤解を恐れずに言うならば、ここに表現されているのはすなわち「山本精一そのもの」あるいは「人間そのもの」であるとも言えましょう。「山本精一」あるいは「人間」の持つ多面性こそが恐らく山本精一の表現したかったもので、その多面性故に我々にはそこに何が現れているのかが見えてこない、と。

このアルバムは一聴するとFaustやNEU!などのクラウト・ロック勢からの影響をストレートに示した「山本精一版クラウト・ロック」ともいうべき作品であるように感じられます。コラージュの嵐が駆け抜ける二曲目や六曲目、ハンマービートにギターによるホワイトノイズが乗っかる十五曲目などまさにそのまま、といえる出来です。
しかしながら細部に目を(耳を)凝らしてみると見えてくるのは山本精一が自身のルーツであるとかたる日本のアングラ・フォークなどにも通呈するような無常観や、山本の不思議なポップ感覚、ロック的な衝動、そしてジャズもどき。コラージュなどのせいで勘違いしがちですが、アルバムの構成自体がかなり分裂症的なものであるように思えるのです。それぞれが孤立しているようでありながら全体としては非常にまとまっておりそんなこと微塵も感じさせないのも恐ろしいところです。

分裂しているのか渾然一体なのか、意味があるのかないのかという境界すら融解させていく「毒」。それこそが本アルバムの、ひいては想い出波止場、山本精一の大きな魅力の一つなのです。



金星 (HQCD)金星 (HQCD)
(2009/01/09)
想い出波止場

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