The Gaslamp Killer "Breakthrough"

Artist: The Gaslamp Killer
Album: "Breakthrough"
Label: Brainfeeder
Year: 2012
Tracklist
01. Breakthrough (2:15)
02. Veins (featuring Gonjasufi) (1:45)
03. Holy Mt. Washington (featuring Computer Jay) (2:27)
04. Father (1:13)
05. Critic (featuring Mophono) (2:20)
06. Dead Vets (featuring Adrian Younge) (2:25)
07. Flange Face (featuring Miguel Atwood-Ferguson) (3:39)
08. Fuck (1:11)
09. Apparitions (featuring Gonjasufi) (2:51)
10. Impulse (featuring Daedelus) (3:33)
11. Peasants, Cripples & Retards (featuring Samiyam) (2:15)
12. Meat Guilt (featuring R.S.I) (1:50)
13. Mother (2:59)
14. Nissim (featuring Amir Yaghmai) (4:31)
15. Keep It Simple Stupid (featuring Shigeto) (1:46)
16. Seven Years of Bad Luck for Fun (featuring Dimlite) (3:52)
17. In the Dark... (6:23)
「LAビートシーンの狂人」と持て囃されている、The Gaslamp Killerことウィリアム・ベンジャミン・ベンサッセンのデビューアルバムが、あのFlying Lotus主宰のレーベルBrainfeederよりリリースされました。
フルアルバムとしては初の作品ですが、これまでにもEPやMix CDなどを発表し期待が高まっていたこともあり、満を持してのデビューということができるでしょう。
近年、雑多なジャンルを飲み込んで吐き出すことのできるセンスを持ったミュージシャンが(特に若手に)多くなってきているように感じますが、The Gaslamp Killerのそれはさらに輪をかけて凄まじいです。
モンドな電子音やサイケデリックな質感のノイズ・ギター、ビリビリと痙攣するノイズや狂騒的なヴォーカル・チョップ、夢心地のヴィブラフォンや妖しく踊るシタール/タンブール(トルコの弦楽器)などがブレイクビーツ(やはりどぎついダブ処理がなされています)の上でぐちゃぐちゃに混ざり、あらぬ方向へと暴発します。
彼は以前、辺境サイケ/ファンク・ディガー御用達のレーベルFinders KeepersのレコードオンリーのMix CDなども発表しており、特にタンブールなどの使用はそのあたりからきたものであることは間違いありません。辺境サイケからHIPHOPやダブステップまで、彼の目の前では全てが等価なものなのです。
ほぼすべての音が不協和に響きあいながらも強烈なリズムを形作り、ブレイクビーツと混じって異様なグルーヴを形成する様は聴いていて心躍るものがあります。
こと14曲目'Nissim'は出色のトラックでしょう。祖父と兄の名を冠したこのトラックは、アミール・ヤグマイ(と読むのでしょうか?)によるとてもエキゾチックなタンブールによるソロに突然レイドバックしたビートが覆いかぶさる、ワールド・ミュージックとHIPHOPのクロスオーヴァーとも言える楽曲で、異常に跳ねるベースと変質的に隙間を埋めるパーカッションにより昇華され、異次元からの音楽のように響きます。
混沌をそのままビートで継ぎ接ぎし、Mix CDとして仕上げたかのような作品であり、同時に今の時代を代表するサイケデリック・ミュージックでもあります。
特にサイケファンは要チェックです。
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