2010年リイシュー作ベスト5
新年あけましておめでとうございます。
昨日の予告通り2010年のリイシュー作を5作ほど選んでランキングしました。
昨年は重要作のリイシューが非常に多かったです。以下に挙げるものはいずれも発表当初に新たな音楽の地平を切り開いたとも言うべき傑作ばかりだと思います。
ではやはり簡単な解説と共に。
5位: Thomas Köner "Nunatak/Teimo/Permafrost"
マルチメディア・アーティスト、トーマス・コナーの90年代の初期三作。
コンパクトにまとめられたドローン作品集です。種々のドローン作品における「音の変化」は少なめで、まるで時間の止まったかのような極寒の地を思わせる曲ばかりです。
4位: Nurse With Wound "Chance Meeting on a Dissecting Table of a Sewing Machine and an Umbrella"
Steve Stapleton率いるNWWの1st。9年ぶりのリイシューです。
70年代後半、This HeatやThrobbing Gristle、Public Image Ltd.と同じく「ロックの解体」を見事なまでにやってのけたグループの一つだと思います。今作は1stということでまだまだそれぞれの素材が取っ散らかった感がありますが、人をくったようなユーモラスなコラージュセンスは顔をのぞかせているのではないかと。
全体的にはわりと衝動的なノイズ・ロック。
3位: 山本精一 "なぞなぞ"
日本のシド・バレット、山本精一の2003年の弾き語り作品が奇跡の再プレス。
アコギ一本で繰り広げられる山本の歌世界。どこか純粋で、そいれでいて卑俗、言いようのない悲しみに暮れていたかと思いきや突然大声で笑い出す。山本精一という人の「狂気」がかなり分かりやすい形で提示されているんではないかと思います。山本の活動としては想い出波止場でのバンド活動が最も興味を惹かれますが、それとは別の意味で、これは折にふれて聞き返している作品なのです。
以前人から借りてデータだけ所有でしたが、ついに手に入れることが出来ました。
2位: João Gilberto "Chega de Saudade"
ジョアン・ジルベルトのデビュー作がまさかの再発、という衝撃的なニュースですが、その割にはあまり騒がれることなかった気がします。事実、私がそれを知ってこの作品を手に入れた時には再発からすでに一ヶ月が経過しておりました。
以前レビューした"João Voz E Violão"での弾き語りとは違い、芳醇なオーケストレーションが施された作品です。しかし、色彩豊かというよりはジョアンの声とギターに寄り添うように展開され、元来のモノトーンな雰囲気を支えているような上品なアレンジです。
1stから3rdを網羅した"The Legendary of João Gilberto"が廃盤になって久しいですが、今年頭には2nd"O Amor O Sorriso E a Flor"も再発されるとのことなので(Amazonではすでに在庫ありで発送されるようですがHMVでは10日…?)、そちらも楽しみに待ちましょう。
1位: Tim Buckley "Starsailor"
タワレコ限定とはいえ、間違いなく今年一番の再発でしょう。
ながらく廃盤だったティム・バックリィの最高傑作"Starsailor"。フリージャズとフォーク、ロック、シャンソンやファンクまで、様々な音楽を飲み込んで、吐き出したようなカオスさが特徴的です。
演奏のほうも勿論ですがバックリィの声が凄まじく、「フリージャズのサックスのラインを追って練習していた」というのも納得の上から下まで変幻自在のそのラインは最早狂気じみて響きます。
音響とヴォイスパフォーマンスのみのトラックもあったりと、むしろ今こそ聴かれるべき作品ではないかと思うのです。
Tim Buckley "Starsailor"(Tower Records Online)
以上でベスト5ですが、他にも重要作目白押しの一年だったと思います。
個人的にはデヴィッド・ボウイによるミックスで久々に再発された"Raw Power/Iggy and the Stooges"なども面白かったですね。今年も色々と過去の名作が再発されることを願っております。
それでは、本年もよろしくお願いします。
昨日の予告通り2010年のリイシュー作を5作ほど選んでランキングしました。
昨年は重要作のリイシューが非常に多かったです。以下に挙げるものはいずれも発表当初に新たな音楽の地平を切り開いたとも言うべき傑作ばかりだと思います。
ではやはり簡単な解説と共に。
5位: Thomas Köner "Nunatak/Teimo/Permafrost"
マルチメディア・アーティスト、トーマス・コナーの90年代の初期三作。
コンパクトにまとめられたドローン作品集です。種々のドローン作品における「音の変化」は少なめで、まるで時間の止まったかのような極寒の地を思わせる曲ばかりです。
![]() | Nunatak Teimo Permafrost (2010/08/17) Thomas Koner 商品詳細を見る |
4位: Nurse With Wound "Chance Meeting on a Dissecting Table of a Sewing Machine and an Umbrella"
Steve Stapleton率いるNWWの1st。9年ぶりのリイシューです。
70年代後半、This HeatやThrobbing Gristle、Public Image Ltd.と同じく「ロックの解体」を見事なまでにやってのけたグループの一つだと思います。今作は1stということでまだまだそれぞれの素材が取っ散らかった感がありますが、人をくったようなユーモラスなコラージュセンスは顔をのぞかせているのではないかと。
全体的にはわりと衝動的なノイズ・ロック。
![]() | Chance Meeting on a Dissecting Table of a Sewing (2010/01/19) Nurse With Wound 商品詳細を見る |
3位: 山本精一 "なぞなぞ"
日本のシド・バレット、山本精一の2003年の弾き語り作品が奇跡の再プレス。
アコギ一本で繰り広げられる山本の歌世界。どこか純粋で、そいれでいて卑俗、言いようのない悲しみに暮れていたかと思いきや突然大声で笑い出す。山本精一という人の「狂気」がかなり分かりやすい形で提示されているんではないかと思います。山本の活動としては想い出波止場でのバンド活動が最も興味を惹かれますが、それとは別の意味で、これは折にふれて聞き返している作品なのです。
以前人から借りてデータだけ所有でしたが、ついに手に入れることが出来ました。
![]() | なぞなぞ (2003/11/28) 山本精一 商品詳細を見る |
2位: João Gilberto "Chega de Saudade"
ジョアン・ジルベルトのデビュー作がまさかの再発、という衝撃的なニュースですが、その割にはあまり騒がれることなかった気がします。事実、私がそれを知ってこの作品を手に入れた時には再発からすでに一ヶ月が経過しておりました。
以前レビューした"João Voz E Violão"での弾き語りとは違い、芳醇なオーケストレーションが施された作品です。しかし、色彩豊かというよりはジョアンの声とギターに寄り添うように展開され、元来のモノトーンな雰囲気を支えているような上品なアレンジです。
1stから3rdを網羅した"The Legendary of João Gilberto"が廃盤になって久しいですが、今年頭には2nd"O Amor O Sorriso E a Flor"も再発されるとのことなので(Amazonではすでに在庫ありで発送されるようですがHMVでは10日…?)、そちらも楽しみに待ちましょう。
![]() | Chega De Saudade (2010/01/26) Joao Gilberto 商品詳細を見る |
1位: Tim Buckley "Starsailor"
タワレコ限定とはいえ、間違いなく今年一番の再発でしょう。
ながらく廃盤だったティム・バックリィの最高傑作"Starsailor"。フリージャズとフォーク、ロック、シャンソンやファンクまで、様々な音楽を飲み込んで、吐き出したようなカオスさが特徴的です。
演奏のほうも勿論ですがバックリィの声が凄まじく、「フリージャズのサックスのラインを追って練習していた」というのも納得の上から下まで変幻自在のそのラインは最早狂気じみて響きます。
音響とヴォイスパフォーマンスのみのトラックもあったりと、むしろ今こそ聴かれるべき作品ではないかと思うのです。
Tim Buckley "Starsailor"(Tower Records Online)
以上でベスト5ですが、他にも重要作目白押しの一年だったと思います。
個人的にはデヴィッド・ボウイによるミックスで久々に再発された"Raw Power/Iggy and the Stooges"なども面白かったですね。今年も色々と過去の名作が再発されることを願っております。
それでは、本年もよろしくお願いします。
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